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盗賊団編
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「うわぁ…なんだよこれ…酷いな」
あれからしばらく歩いた。スラム街に向かって歩いていたのだが、その道中にボロボロの村を見つけてしまった。原型を留めている民家が遠目から見て二、三件ほどしか無い。
(ここもスラム街特定区域の場所だったか?)
俺は物珍しさと好奇心が故に、村の中を覗いてみる事にした。
村に向かって歩き出し、近づけば近づくほど分かる村の惨状。窓は割られ、扉も、屋根も壊され、そんな家ばかりで本当に住めるような場所が無い。
「きっ…来たぞ!かかれーーー!!」
『うおおおおぉ!!』
「へぁ!?」
村に入りかかったその時、近くの茂みや民家の陰に隠れていた小さな子供達が飛び出して来た。子供達は各々、木の棒、石、ガラスの破片などを手に持って俺に襲いかかって来た。
「殺れー!」
「殺せー!」
「ええっと…」
大の大人が剣や斧なんかを持って襲いかかって来たなら、俺は容赦なく炎魔法や雷魔法で一掃していただろう。しかし相手は子供だ。手に持っている物も大した武器では無い。何より、安易に子供達を傷つける、最悪殺してしまったら村と対立する事になってしまう。せっかく見つけた初めての村。あまり揉め事はしたくない。
(うぅん…軽く、本当に軽く風魔法で…少し…)
「はっ!」
『うわぁ!?』
極少量の魔力で風魔法を子供達に向かって放った。すると、子供達の手にしていた武器は吹き飛び、数人の子供が尻もちを着いた。大方狙い通りの結果だ。
「よしっ、良い感じ」
「コラッ!!何をしとるか!!」
「!?」
声がした方を見ると、村の方から一人の男性が駆け寄ってきた。そこそこガタイの良いおじさんだ。
しまった。見られた。子供達に攻撃した事を咎められる。そう思ったのだが。
「何をしてんだ!ガキ共!」
「いてて…あ、アールさん。何って、この盗賊団のヤツをこらしめてやろうとしただけだ!」
「バカ!この人は盗賊団なんかじゃねぇ、ただの一般人だ」
『えぇ!?』
どうやらアールと呼ばれた男性は俺ではなく、子供達の方を叱りに来たようだ。ふぅ…良かった。
にしても、"一般人"か…。一応は王族の出身なんだがな…。
「すまねぇなアンタ。怪我はねぇか?」
「あ、はい。大丈夫です」
スグにアールは先ほど俺を襲った子供達にも頭を下げさせて謝罪してくれた。特に怪我は無かったので、もちろんあっさり俺は許した。
(にしても…盗賊団か…気になるな…)
「えと…アールさん?」
「なんだ?」
「ちょっと色々聞いても良いですか?」
あれからしばらく歩いた。スラム街に向かって歩いていたのだが、その道中にボロボロの村を見つけてしまった。原型を留めている民家が遠目から見て二、三件ほどしか無い。
(ここもスラム街特定区域の場所だったか?)
俺は物珍しさと好奇心が故に、村の中を覗いてみる事にした。
村に向かって歩き出し、近づけば近づくほど分かる村の惨状。窓は割られ、扉も、屋根も壊され、そんな家ばかりで本当に住めるような場所が無い。
「きっ…来たぞ!かかれーーー!!」
『うおおおおぉ!!』
「へぁ!?」
村に入りかかったその時、近くの茂みや民家の陰に隠れていた小さな子供達が飛び出して来た。子供達は各々、木の棒、石、ガラスの破片などを手に持って俺に襲いかかって来た。
「殺れー!」
「殺せー!」
「ええっと…」
大の大人が剣や斧なんかを持って襲いかかって来たなら、俺は容赦なく炎魔法や雷魔法で一掃していただろう。しかし相手は子供だ。手に持っている物も大した武器では無い。何より、安易に子供達を傷つける、最悪殺してしまったら村と対立する事になってしまう。せっかく見つけた初めての村。あまり揉め事はしたくない。
(うぅん…軽く、本当に軽く風魔法で…少し…)
「はっ!」
『うわぁ!?』
極少量の魔力で風魔法を子供達に向かって放った。すると、子供達の手にしていた武器は吹き飛び、数人の子供が尻もちを着いた。大方狙い通りの結果だ。
「よしっ、良い感じ」
「コラッ!!何をしとるか!!」
「!?」
声がした方を見ると、村の方から一人の男性が駆け寄ってきた。そこそこガタイの良いおじさんだ。
しまった。見られた。子供達に攻撃した事を咎められる。そう思ったのだが。
「何をしてんだ!ガキ共!」
「いてて…あ、アールさん。何って、この盗賊団のヤツをこらしめてやろうとしただけだ!」
「バカ!この人は盗賊団なんかじゃねぇ、ただの一般人だ」
『えぇ!?』
どうやらアールと呼ばれた男性は俺ではなく、子供達の方を叱りに来たようだ。ふぅ…良かった。
にしても、"一般人"か…。一応は王族の出身なんだがな…。
「すまねぇなアンタ。怪我はねぇか?」
「あ、はい。大丈夫です」
スグにアールは先ほど俺を襲った子供達にも頭を下げさせて謝罪してくれた。特に怪我は無かったので、もちろんあっさり俺は許した。
(にしても…盗賊団か…気になるな…)
「えと…アールさん?」
「なんだ?」
「ちょっと色々聞いても良いですか?」
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