上 下
43 / 47
日常の終点

最終決戦 前編

しおりを挟む
「ヤツはここで仕留める」
「でもどうやって…」
「亜美ちゃん」
「なのです?」
「さっきスタンガン持ってたよな?アイツだって一応人間だ。たぶん。顔や頭にでも電撃走らせれば流石に弱るだろ」
「かもしれないですけど…」

 四人同時に竜太を見つめる。

「うがあああああああああああああ!!」

 意味も無く辺りを荒らし、激しく暴れている。

「アレにそこまで近づけるかどうか…」

 そうこう言ってるうちにコチラ側の存在に気づいたのか、雄叫びをあげながら巨人がコチラに突っ込んで来る。

「一先ず逃げ回れお前ら!絶対に死ぬなよ!」

 月神の声を合図に一斉にパトカーから四人は散らばった。

「ごごみぃ…殺すぅ…殺すううううう!!」

 さすがの執念と言うべきか、薬物によって知能が低下しているような素振りをみせているが、竜太は迷いも無く心美だけを追いかけ始めた。が、今の心美の身体能力は覚醒している。余裕で竜太の足から逃れられている。

「う~む…時速62kmか…スピード違反だな…」
「何呑気に計測してるんですか。ってか、どっから出した!?その計測器!」
「恋々美がヤツの気を引いてくれるのは良いのですが…倒す術が無いのです」
「さっきのスタンガン案は?」
「効くかもしれませんが、あの巨体の顔面に直接当てるのは不可能なのです」
「一か八かぶん投げればよくね?」
「弾かれて終わりなのです」
「心美のスタミナも心配だ…」
「そうですね…」
「刃物は…効かねえだろうなぁ…さっきの弾痕見る限りじゃ。あっ、心美ちゃんにスタンガン持たせて特攻すれば!ほら、身体能力バグってるしジャンプで顔面に」
「うぅ…あの高さ、恋々美でもたぶん届かないのです」
「スタンガン作戦が効くっていう確証も無い。皮膚が電撃を感じないほど厚くなってたり、そもそも電気を通さない…なんて事も」
『どうしたものか…』

 早く何か手を打たないと心美のスタミナ切れでゲームオーバーだ。全員が今ある道具で突破口を開くため、脳をフル回転させ幾度と脳内で試行錯誤する。

(銃弾が効かないとなると、物理攻撃はほぼ無効か…?)
(スタンガンをどうにかしてヤツに…だがそれだけで本当に良いのか?)
(なのです…なのです…なのなのです…)



「何か思いついたんですか?」

「良いか?作戦はこうだ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

購買の喪女~30歳喪女で毒女の私が、男子校の購買部で働いている件について~

ダビマン
キャラ文芸
 自由に生きる!がモットーだった。 ちょっとお馬鹿で、ギャンブル好きな、佐倉公子(さくらきみこ)さんが。  バイトをクビになったのをキッカケに、男子校の購買部で働く事に……。  そして、いろんな事に毒を吐きながら、独断と偏見で渋々と問題事を解決?するお話し。  きみこさんは人と関わりたくは無いのですが……。男子高校生や周りの人達は面白い物がお好きな様子。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...