29 / 47
3day 5月3日 月曜日
骨
しおりを挟む
「来たね。誠司くん」
「…はぁ」
あの後仮眠をとった俺達は二代目校舎の前で再び待ち合わせた。タイムリミットは今日を含めてあと二日。ただでさえ時間が無いというのに…。その光景に俺は思わずため息が出る。
「無い…ですね」
「あぁ、残念ながらね」
集合した二代目校舎前。そこには学校など建っておらず、ただの平地が広がっていた。これでは捜査のしょうが無い。今日に至っては天気も悪い。今にも降り出しそうな曇り空が「今日は帰れ」と言いたげに俺達にのしかかっている。気圧の変化で古傷が痛むのか、月神は右手を抑えている。
「無いのなら仕方が無い。今日は諦めよう。今にも降り出しそうだしな」
「はい、そうでー」
二人して平地に背を向け、帰路を辿ろうとしたその時。ふと不自然な風が俺達の頬を掠めていった。音の無い微力な風。何となく嫌な予感がして後ろを振り向いた。月神も同じ気持ちだったらしく、俺と同時に顔を動かした。
二代目校舎。ソレは突然俺達の目の前に現れた。
「帰ろうとした途端に現れる…私達を誘っているかのようだ」
「これは馬鹿にされてますね、完全にっ」
現れたのなら帰る理由は無い。どこか挑発気味に現れた二代目校舎。俺達はそこへ足を踏み入れた。
昇降口に足をかけたその瞬間、俺のズボンのポケットから何かが落ちた感覚がした。そしてすぐにカランカラン何かが転げ落ちる音。使い道が無さすぎたので御守り代わりに入れていた人骨だ。
「ん?どうした誠司くん」
「すみません。ちょっと人骨落としちゃって」
知らない人からすればなかなかヤバいヤツの発言だ。人骨落とすってなんだよ。周囲の人から「は?何言ってんだコイツ」という目で見られる覚悟をして顔を上げる。まぁ、周りに人なんていないのだが。
するとそこにあったのはドン引きして歪な表情のギャラリーではなく、目を見開いて酷く驚いた様子の月神がいた。
「誠司くん…やはり、私の聞き間違いかと思ったが…違うようだな」
「先生…?」
月神はおもむろに上着のポケットから小型ナイフを取り出し、俺に構える。
「貴様、ツクヨミだな。まんまと騙されるところだったよ」
「なっ!?違いますよ!俺は正真正銘の松谷誠司です!」
「黙れツクヨミ!それなら何故それを人の骨だと断言できる?ただの小石にしか見えないぞ私には」
(そんな今更…この前話した時はあっさり信じた癖に…!)
月神がナイフを向けたまま俺に詰め寄る。彼の目はマジだ。決して冗談なんかじゃない。身を貫くような鋭い視線と、ナイフを握りしめる彼の十本の指が殺気を帯びて俺に襲いかかる。
・黙って旧校舎に逃げ込む。
・「違うって言ってるだろ!?そっちこそツクヨミじゃないのか!」
・「そうさ!俺がツクヨミさ!ワッハッハ」
「…はぁ」
あの後仮眠をとった俺達は二代目校舎の前で再び待ち合わせた。タイムリミットは今日を含めてあと二日。ただでさえ時間が無いというのに…。その光景に俺は思わずため息が出る。
「無い…ですね」
「あぁ、残念ながらね」
集合した二代目校舎前。そこには学校など建っておらず、ただの平地が広がっていた。これでは捜査のしょうが無い。今日に至っては天気も悪い。今にも降り出しそうな曇り空が「今日は帰れ」と言いたげに俺達にのしかかっている。気圧の変化で古傷が痛むのか、月神は右手を抑えている。
「無いのなら仕方が無い。今日は諦めよう。今にも降り出しそうだしな」
「はい、そうでー」
二人して平地に背を向け、帰路を辿ろうとしたその時。ふと不自然な風が俺達の頬を掠めていった。音の無い微力な風。何となく嫌な予感がして後ろを振り向いた。月神も同じ気持ちだったらしく、俺と同時に顔を動かした。
二代目校舎。ソレは突然俺達の目の前に現れた。
「帰ろうとした途端に現れる…私達を誘っているかのようだ」
「これは馬鹿にされてますね、完全にっ」
現れたのなら帰る理由は無い。どこか挑発気味に現れた二代目校舎。俺達はそこへ足を踏み入れた。
昇降口に足をかけたその瞬間、俺のズボンのポケットから何かが落ちた感覚がした。そしてすぐにカランカラン何かが転げ落ちる音。使い道が無さすぎたので御守り代わりに入れていた人骨だ。
「ん?どうした誠司くん」
「すみません。ちょっと人骨落としちゃって」
知らない人からすればなかなかヤバいヤツの発言だ。人骨落とすってなんだよ。周囲の人から「は?何言ってんだコイツ」という目で見られる覚悟をして顔を上げる。まぁ、周りに人なんていないのだが。
するとそこにあったのはドン引きして歪な表情のギャラリーではなく、目を見開いて酷く驚いた様子の月神がいた。
「誠司くん…やはり、私の聞き間違いかと思ったが…違うようだな」
「先生…?」
月神はおもむろに上着のポケットから小型ナイフを取り出し、俺に構える。
「貴様、ツクヨミだな。まんまと騙されるところだったよ」
「なっ!?違いますよ!俺は正真正銘の松谷誠司です!」
「黙れツクヨミ!それなら何故それを人の骨だと断言できる?ただの小石にしか見えないぞ私には」
(そんな今更…この前話した時はあっさり信じた癖に…!)
月神がナイフを向けたまま俺に詰め寄る。彼の目はマジだ。決して冗談なんかじゃない。身を貫くような鋭い視線と、ナイフを握りしめる彼の十本の指が殺気を帯びて俺に襲いかかる。
・黙って旧校舎に逃げ込む。
・「違うって言ってるだろ!?そっちこそツクヨミじゃないのか!」
・「そうさ!俺がツクヨミさ!ワッハッハ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
赤ちゃんの作り方講座(赤ちゃんはどこからくるの?)
大和田大和
ミステリー
皆さんは、まだいたいけな女子中学生に、
『どうやったら赤ちゃんができるの?』
と、聞かれたらなんと答えますか?
もちろん答えないわけにはいきませんよね? 根掘り葉掘り、具体的に詳細に教えてあげる必要がございます。
どこに何をどうすれば赤ちゃんができるか包み隠さず言うしかありません。何なら画像を見せあげるのもいい方法かもしれません。
決してセクハラなんかじゃありませんよ? まごうことなき教育です。
さて、この小説は、人狼不参加型の人狼ゲーム。
人狼ゲームなのに人狼はいません。なのになんでか人が次々と死んでいきます。
なら赤ちゃんをたくさん作って、減った人口を復元しなければいけませんよね? ね? ね?
もしこの文章を読んでいる人の中に、『赤ちゃんの作りかた』を知っている人がいたらこの小説は、決して読まないでください!(約束ですよ!)
どのようにして赤ちゃんを作ったか事細かに、詳細に説明する講座です。
赤ちゃんの作り方がわかるなら即ブラバ推奨です!
残念ながらあなたの見たいものは見れないということになりますからね!
この小説はあなたの期待を裏切ります。
では、下にある第一話『いつまでもおっぱいに挟まれていたいと、考えたことはありますか?』はクリックしないように気をつけてブラバしてください! くれぐれも安易な気持ちで本小説を読まないように!
(警告しましたからね!)
イグニッション
佐藤遼空
ミステリー
所轄の刑事、佐水和真は武道『十六段の男』。ある朝、和真はひったくりを制圧するが、その時、警察を名乗る娘が現れる。その娘は中条今日子。実はキャリアで、配属後に和真とのペアを希望した。二人はマンションからの飛び降り事件の捜査に向かうが、そこで和真は幼馴染である国枝佑一と再会する。佑一は和真の高校の剣道仲間であったが、大学卒業後はアメリカに留学し、帰国後は公安に所属していた。
ただの自殺に見える事件に公安がからむ。不審に思いながらも、和真と今日子、そして佑一は事件の真相に迫る。そこには防衛システムを巡る国際的な陰謀が潜んでいた……
武道バカと公安エリートの、バディもの警察小説。 ※ミステリー要素低し
月・水・金更新
思惑
ぴんぺ
ミステリー
はじめまして、ぴんぺと申します。
以前から執筆に興味があり、この度挑戦してみることにしました。
さて、僕の処女作の紹介に移らせていただきます。
主人公の荒木康二(あらきこうじ)は塾講師を生業としているフツーの男
妻の沙奈(さな)とはこれまたフツーの生活を送っています。
そんなある日、2人は思いもよらない事件に巻き込まれてしまいます。その事件によりあらわになる2人の秘密…
紹介はこの辺にしますね
上にも書きましたが初めて取り組む作品なので見苦しい点が多々あると思います。
でも、最後まで読んでいただけるとうれしいです。
皆さんのご指導ご指摘よろしくお願いします
あ、そうだ
僕、WEARでコーディネート投稿してます。
よかったらそちらも遊びに来てください^^
「ぴんぺ」で検索です^^
「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話
赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。
「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」
そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる