上 下
19 / 47
2day 5月2日 日曜日

【CASE2】②

しおりを挟む
「いいえ、俺は何も知りません…」
「そうか…失礼したな」

 月神はどこか寂しそうな表情を浮かべ、部屋を出て行った。

(…何だったんだ?)

 どこか気になって俺は階段を駆け下りたが、もう月神の姿は無かった。

「なぁ母さん、姉さん、月神先生ってもう帰った?」
「…」
「…」

 ん?
 リビングにいた母と姉に声をかけたのだが、返事が返ってこない。聞こえなかったのだろうか。俺は先程よりも声を大きくして、もう一度同じ事を聞こうとするが、それよりも先に二人の口が動いた。

「ねぇ、誠司。あの人と…何か話した?」
「へ?いや、何も…」
「本当に?何も?」
「うん。何も…」

 二人とも何かおかしい。何なんだ、さっきからこの違和感は。
 それよりも空気が…何か違う。

「誠…司…」
「母さん?」

 急に母の声色が変わった。
 いや、違う。戻ったんだ。これがいつもの母の声だ。けれど、まだおかしい。動きがやけに重い。
 母をまじまじと観察すると、カクカクな動きで台所に向かった。母は引き出しから包丁を取り出すと、ダーツの矢を投げる時のような構えを取った。もちろん今母が手にしているのはダーツの矢では無く、ガチの包丁だ。
 母が大きく振りかぶった時、初めて顔がよく見えた。母は涙を流していた。

「逃げ…て…」

 母は大振りで包丁をコチラに投げ飛ばし、ソレは壁に、俺の顔のすぐ隣に突き刺さった。

「母さん!?どうしたの!やめてくれよ!何だよ急に!?」

 母は俺の事を無視。すぐに二本目の包丁を引き出しから取り出した。すぐに俺はそれを奪い取ろうと母に向かって行こうとしたが、誰かに背後を取られ、動きを封じられた。

「…」

 俺を抑えていたのは紛れもない姉だった。

「やめろ!やめろって!姉貴!何してんだよ!?」
「…」

 二人はもう喋らない。何も答えない。

「誰かっ…誰か助けっ」

 俺の助けを求める声も虚しく、母の二投目によって俺は脳を包丁で貫かれて即死した。



BAD END
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

彼女のお母さんのブラジャー丸見えにムラムラ

吉良 純
恋愛
実話です

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...