12 / 47
1day 5月1日 土曜日
不一致
しおりを挟む
「ここを…こうして?次は?」
「この公式、この数字に当てはめんだよ」
「お~、なるほど」
姉に勉強を教えるため、そして奢りで飯を食うため俺達は近所のファミレスにやって来た。俺は値段が高めのランチセットを頼み、姉は既に昼食を撮っているためドリンクバーのみ頼んだ。
「…できた!合ってる?」
「ん、どれどれ」
凄い。
完璧に間違っている。
「うん、やり直し」
「うぅ…」
こんなやり取りが何回か続いた頃、姉がこの前の事について話を切り出した。
「それで…どうだったの」
「何が…」
「旧校舎…行ったんでしょ?」
「…あぁ」
いつの間にか持っていた人骨。
消えた幻の旧校舎。
不気味な感覚。
謎に満ちた体験を幾つもしたが、そのどれもが断定的なものでは無く、俺が体験した事。所詮は俺の妄言だ。この人骨だってただの石かもしれない。
「特に…何も無かったかな」
「えー、つまんなー」
「はよ問題解け」
「はーい」
…。
「実はさ、誠司」
「んー?」
「私もあの後調べたんだ」
「旧校舎?」
「うん。今日のちょうど一時くらいだったかなぁ…?誠司いるかなーって探したんだよ、二代目の校舎をね。暇すぎたから」
「うん…うん?何を言ってるんだ?」
何となく聞いていた姉の話が色々とおかしい。
まず時間。その時間帯であれば俺と鉢合っていてもおかしくない。その時間は俺が昇降口にいた頃だ。だが、俺達は互いを認識できなかった。
そして何よりおかしいのは…
「姉貴」
「ん」
「二代目は…校舎なんて無いぞ」
「んー…え?」
姉の話を信じてない訳では無い。だからこそ確信したい。
「本当に…姉貴が調べたのは二代目なんだよな?」
「うん…隣に初代の校舎があったのを覚えてるもん」
俺も姉も見た存在しないはずの二代目校舎。姉も見たという事は、やはり俺の幻では無かったという事か。
「姉貴、そこで何か拾わなかったか?」
「ううん、何も」
姉貴は人骨を拾っていないようだ。
「他には?知らない女の声が聞こえたとか、なんか嫌な感じがしたとか」
「嫌な感じはそりゃするよ。あそこ廃校舎だもん。声は…知らない。私は聞いてない」
「そっか…」
窓の外を見る。気づけばすっかり夕暮れだ。こんな時間に行くのは良くないのだが、どうしてもこの衝動は抑えられない。今すぐにでも調べ尽くしてたい。
「姉貴…この後ちょっと良いか?」
「なにー?」
俺達が見た物は幻かそうでないか。
見た物、体験した場所は同じなのか。
体験者と照らし合わせたい。
「…ハッ!もしかしてデートの誘い!?」
「…」
やっぱり一人で行こうかな。
「この公式、この数字に当てはめんだよ」
「お~、なるほど」
姉に勉強を教えるため、そして奢りで飯を食うため俺達は近所のファミレスにやって来た。俺は値段が高めのランチセットを頼み、姉は既に昼食を撮っているためドリンクバーのみ頼んだ。
「…できた!合ってる?」
「ん、どれどれ」
凄い。
完璧に間違っている。
「うん、やり直し」
「うぅ…」
こんなやり取りが何回か続いた頃、姉がこの前の事について話を切り出した。
「それで…どうだったの」
「何が…」
「旧校舎…行ったんでしょ?」
「…あぁ」
いつの間にか持っていた人骨。
消えた幻の旧校舎。
不気味な感覚。
謎に満ちた体験を幾つもしたが、そのどれもが断定的なものでは無く、俺が体験した事。所詮は俺の妄言だ。この人骨だってただの石かもしれない。
「特に…何も無かったかな」
「えー、つまんなー」
「はよ問題解け」
「はーい」
…。
「実はさ、誠司」
「んー?」
「私もあの後調べたんだ」
「旧校舎?」
「うん。今日のちょうど一時くらいだったかなぁ…?誠司いるかなーって探したんだよ、二代目の校舎をね。暇すぎたから」
「うん…うん?何を言ってるんだ?」
何となく聞いていた姉の話が色々とおかしい。
まず時間。その時間帯であれば俺と鉢合っていてもおかしくない。その時間は俺が昇降口にいた頃だ。だが、俺達は互いを認識できなかった。
そして何よりおかしいのは…
「姉貴」
「ん」
「二代目は…校舎なんて無いぞ」
「んー…え?」
姉の話を信じてない訳では無い。だからこそ確信したい。
「本当に…姉貴が調べたのは二代目なんだよな?」
「うん…隣に初代の校舎があったのを覚えてるもん」
俺も姉も見た存在しないはずの二代目校舎。姉も見たという事は、やはり俺の幻では無かったという事か。
「姉貴、そこで何か拾わなかったか?」
「ううん、何も」
姉貴は人骨を拾っていないようだ。
「他には?知らない女の声が聞こえたとか、なんか嫌な感じがしたとか」
「嫌な感じはそりゃするよ。あそこ廃校舎だもん。声は…知らない。私は聞いてない」
「そっか…」
窓の外を見る。気づけばすっかり夕暮れだ。こんな時間に行くのは良くないのだが、どうしてもこの衝動は抑えられない。今すぐにでも調べ尽くしてたい。
「姉貴…この後ちょっと良いか?」
「なにー?」
俺達が見た物は幻かそうでないか。
見た物、体験した場所は同じなのか。
体験者と照らし合わせたい。
「…ハッ!もしかしてデートの誘い!?」
「…」
やっぱり一人で行こうかな。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話
赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。
「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」
そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語
赤ちゃんの作り方講座(赤ちゃんはどこからくるの?)
大和田大和
ミステリー
皆さんは、まだいたいけな女子中学生に、
『どうやったら赤ちゃんができるの?』
と、聞かれたらなんと答えますか?
もちろん答えないわけにはいきませんよね? 根掘り葉掘り、具体的に詳細に教えてあげる必要がございます。
どこに何をどうすれば赤ちゃんができるか包み隠さず言うしかありません。何なら画像を見せあげるのもいい方法かもしれません。
決してセクハラなんかじゃありませんよ? まごうことなき教育です。
さて、この小説は、人狼不参加型の人狼ゲーム。
人狼ゲームなのに人狼はいません。なのになんでか人が次々と死んでいきます。
なら赤ちゃんをたくさん作って、減った人口を復元しなければいけませんよね? ね? ね?
もしこの文章を読んでいる人の中に、『赤ちゃんの作りかた』を知っている人がいたらこの小説は、決して読まないでください!(約束ですよ!)
どのようにして赤ちゃんを作ったか事細かに、詳細に説明する講座です。
赤ちゃんの作り方がわかるなら即ブラバ推奨です!
残念ながらあなたの見たいものは見れないということになりますからね!
この小説はあなたの期待を裏切ります。
では、下にある第一話『いつまでもおっぱいに挟まれていたいと、考えたことはありますか?』はクリックしないように気をつけてブラバしてください! くれぐれも安易な気持ちで本小説を読まないように!
(警告しましたからね!)
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる