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1day 5月1日 土曜日

不一致

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「ここを…こうして?次は?」
「この公式、この数字に当てはめんだよ」
「お~、なるほど」

 姉に勉強を教えるため、そして奢りで飯を食うため俺達は近所のファミレスにやって来た。俺は値段が高めのランチセットを頼み、姉は既に昼食を撮っているためドリンクバーのみ頼んだ。

「…できた!合ってる?」
「ん、どれどれ」

 凄い。
 完璧に間違っている。

「うん、やり直し」
「うぅ…」

 こんなやり取りが何回か続いた頃、姉がこの前の事について話を切り出した。

「それで…どうだったの」
「何が…」
「旧校舎…行ったんでしょ?」
「…あぁ」

 いつの間にか持っていた人骨。
 消えた幻の旧校舎。
 不気味な感覚。
 謎に満ちた体験を幾つもしたが、そのどれもが断定的なものでは無く、俺が体験した事。所詮は俺の妄言だ。この人骨だってただの石かもしれない。

「特に…何も無かったかな」
「えー、つまんなー」
「はよ問題解け」
「はーい」

 …。

「実はさ、誠司」
「んー?」
「私もあの後調べたんだ」
「旧校舎?」
「うん。今日のちょうど一時くらいだったかなぁ…?誠司いるかなーって探したんだよ、二代目の校舎をね。暇すぎたから」
「うん…うん?何を言ってるんだ?」

 何となく聞いていた姉の話が色々とおかしい。
 まず時間。その時間帯であれば俺と鉢合っていてもおかしくない。その時間は俺が昇降口にいた頃だ。だが、俺達は互いを認識できなかった。
 そして何よりおかしいのは…

「姉貴」
「ん」
「二代目は…校舎なんて無いぞ」
「んー…え?」

 姉の話を信じてない訳では無い。だからこそ確信したい。

「本当に…姉貴が調べたのは二代目なんだよな?」
「うん…隣に初代の校舎があったのを覚えてるもん」

 俺も姉も見た存在しないはずの二代目校舎。姉も見たという事は、やはり俺の幻では無かったという事か。

「姉貴、そこで何か拾わなかったか?」
「ううん、何も」

 姉貴は人骨を拾っていないようだ。

「他には?知らない女の声が聞こえたとか、なんか嫌な感じがしたとか」
「嫌な感じはそりゃするよ。あそこ廃校舎だもん。声は…知らない。私は聞いてない」
「そっか…」

 窓の外を見る。気づけばすっかり夕暮れだ。こんな時間に行くのは良くないのだが、どうしてもこの衝動は抑えられない。今すぐにでも調べ尽くしてたい。

「姉貴…この後ちょっと良いか?」
「なにー?」

 俺達が見た物は幻かそうでないか。
 見た物、体験した場所は同じなのか。
 体験者と照らし合わせたい。

「…ハッ!もしかしてデートの誘い!?」
「…」

 やっぱり一人で行こうかな。
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