君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル

文字の大きさ
上 下
37 / 101

37 計画を練っておこう

しおりを挟む
「準優勝~」

 記念の店名入りタオルマフラーを首から下げた。

 店長の思惑通り、宣伝してやるしかないのか……。



 まだ明るい時間だけれど、二人は打ち上げがてらファミレスへ入った。



 ハンバーグにライス、スープ。



「ちょっとお腹空いてたな」

「お疲れ~」

 言いながらジュースで乾杯だ。



 優勝は出来なかったものの、

「準優勝なんてすごいよ!」

 と、礼央は嬉しそうにしている。



 そうだよな。

 ここで、申し訳なさそうにしても場が暗くなるだけだ。



「うん!初心者にしてはやったよな」

 自慢げにすると、意外な事に礼央は少し顔を赤らめた。



 …………?



 けど、こいつのおかげで、人前に立つ時、どうすればいいのか少し分かった気がする。



 観客の存在を無視するわけじゃないけど、その視線ばかりを気にしているのもおかしいんだよな。

 俺の舞台なんだから。



 どう思われるかばかりを気にして、動けなくなってしまうのは勿体無い。



 だってあんなに……れおくんといる時は楽しかったから。



「ありがと、れおくん。れおくんが誘ってくれたから、なんか俺、いけそうな気がする」



 ハンバーグを口に入れた礼央が、優しく笑う。

「なら、よかった」







 試合までは、残り2週間となった。

 その日から亮太は、ケントと計画を立てる事に専念した。

 大体は、担当になっている2年生メンバーの確認とメモ作りだ。



 二人でメンバーのところへ挨拶に行き、印象などをメモっておく。

 そして、名前、趣味や部活などを簡単に一覧にした。



「決勝に有力なのってどこ?」

「2組結構よくね?平均身長高いし」

 晴れた日、亮太とケントの二人は、昼休みに屋上でゴロゴロとしながら選手一覧を眺めていた。

 隣から、弁当を抱えたサクと礼央が覗き込む。



「俺は1組がありだと思う」

 サクが口を挟む。

「1組?」

「名塚さんいるだろ?」

「あ~、あのちっこい……」言いかけて、ケントが言い直す。「あの、お小さい先輩?」

「…………」

 サクが一瞬呆れた顔をしたけれど、ケントの事は無視して話を続けた。

「うちの先輩なんだけど、バネが凄くて」

「バネ」

 亮太が真面目な顔をしてメモを取り始める。

「ジャンプがすっげぇの。ちっ…………お小さいくせしてシャトルが上から降ってくるっていうか」

「ほ~」

 サク以外の3人は、興味津々だ。

「ジャンプとか、それこそボール投げるのとか上手いと思う。いや、コントロールあたりはわからんが」

「ほうほう」

 ケントが頷く。

「1組は捨てに来てるわけじゃなかったんだな」

「1組その辺チェックしとくか」



 そんな風に、実況の計画を練り、時間は過ぎていった。

 そして、球技大会の本番がやって来る。



◇◇◇◇◇



亮太くんの自慢げな顔がれおくんの好みだったようです。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

鷹が雀に喰われるとはっ!

凪玖海くみ
BL
陽キャ男子こと知崎鷹千代の最近の趣味は、物静かなクラスメイト・楠間雲雀にウザ絡みをすること。 常にびくびくとする雲雀に内心興味を抱いている様子だが……しかし、彼らの正体は幼馴染で親にも秘密にしている恋人同士だった! ある日、半同棲をしている二人に奇妙な噂が流れて……? 実は腹黒い陰キャ×雲雀のことが大好き過ぎる陽キャによる青春BL!

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

さよならの向こう側

よんど
BL
''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った'' 僕の人生が変わったのは高校生の時。 たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。 時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。 死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが... 運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。 (※) 過激表現のある章に付けています。 *** 攻め視点 ※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。 ※2026年春庭にて本編の書き下ろし番外編を無配で配る予定です。BOOTHで販売(予定)の際にも付けます。 扉絵  YOHJI@yohji_fanart様

高嶺の花宮君

しづ未
BL
幼馴染のイケメンが昔から自分に構ってくる話。

婚約破棄を望みます

みけねこ
BL
幼い頃出会った彼の『婚約者』には姉上がなるはずだったのに。もう諸々と隠せません。

処理中です...