6 / 55
6 もし君が僕を好きなら(2)
しおりを挟む
「体側伸ばす~」
先生の言葉で、手を繋いで引っ張り合うのに、一瞬、亮太は躊躇した。
手。
手、なんて繋いだら……。
礼央も、躊躇したみたいだった。
けど、こんなことで躊躇するなんて、それはおかしなことだから。
大人しく、手を繋ぐ。
……いいのかな、なんて。
思う方が馬鹿らしい。
繋いだ手を意識されるんじゃないか、なんて。
今、れおくんはドキドキしてるんじゃないか、なんて。
……ぎゅっと握られでもしたらどうしよう、なんて。
そんなつまんないことばっかり考えて。
けど、繋がれた手がぎゅっと握られることも、必要以上に照れられることもなかった。
その後、背中合わせで上体を伸ばすのに、ぐいっと礼央を背負ったけれど、小さく、
「うわっ」
と言っただけで、それ以上のことはなかった。
背中、くっついてんのに……。
……てっきり、なんかもっと触られるのかと思った……。
いやでも、普通、なんだよな。
すぐそばで、ケントとサクがわぁわぁ言いながら背中合わせで引っ張り合うのが見えた。
「ほいせー!」
「いや、上がってないし」
「身長差ぁ!!」
「じゃ、次こっちな~」
「うっわぁぁぁ!サク、背ぇたけぇ!こえぇ!」
「うるせぇ」
……そう、これは変なことじゃないから。
やって当然なわけで。
「案外、背、高いのな」
話しかけると、一瞬、「え」という顔をしたけれど、
「あ、うん。なんかよく、背、低そうって言われる」
礼央は普通に返答した。
実際、礼央は亮太よりも幾分か背が高いようだった。
ほんとに、ほんのちょっとだけど。
やっぱり、勘違いだったんじゃん。
好きかも、なんて。
男同士であるわけないじゃん。
「じゃあ、そのまま4対4いくぞー」
先生の声が響く。
「え、5でも3でもなく!?」
「それだと今ペア組んでんのに余るだろうが」
「せんせー、試合で済まそうなんて手抜きじゃん」
「おー!黙れー!いくぞー」
自然と、ケントとサクと、亮太と礼央と。
4人でチームを組むことになる。
試合が始まると、サクのシュートで、体育館が沸いた。
とはいえ、最終的に、うちのチームが2点取った後、3点シュートを決められ、早々に敗退した。
「ごめん、僕、手出せなかった」
礼央が申し訳なさそうに言う。
「そんなことないって。ケントよかディフェンスしてたじゃん」
サクがからっと笑った。
「俺だって~~~、目ぇ付けられてなかったら活躍できたって」
ケントが口を尖らす。
その会話を聞いて、亮太は「ふっ」と笑った。
「みんな頑張ってたよ」
「みかみはいいパスくれたしな」
サクがまた笑った。
「疲れたし、打ち上げしよっぜー」
普通に、れおくんの隣を歩けた。
変な反応とかもない。
なんだ。
やっぱ、勘違いだったんじゃん。
◇◇◇◇◇
主役二人より隣の二人の方がイチャついてたりして。
先生の言葉で、手を繋いで引っ張り合うのに、一瞬、亮太は躊躇した。
手。
手、なんて繋いだら……。
礼央も、躊躇したみたいだった。
けど、こんなことで躊躇するなんて、それはおかしなことだから。
大人しく、手を繋ぐ。
……いいのかな、なんて。
思う方が馬鹿らしい。
繋いだ手を意識されるんじゃないか、なんて。
今、れおくんはドキドキしてるんじゃないか、なんて。
……ぎゅっと握られでもしたらどうしよう、なんて。
そんなつまんないことばっかり考えて。
けど、繋がれた手がぎゅっと握られることも、必要以上に照れられることもなかった。
その後、背中合わせで上体を伸ばすのに、ぐいっと礼央を背負ったけれど、小さく、
「うわっ」
と言っただけで、それ以上のことはなかった。
背中、くっついてんのに……。
……てっきり、なんかもっと触られるのかと思った……。
いやでも、普通、なんだよな。
すぐそばで、ケントとサクがわぁわぁ言いながら背中合わせで引っ張り合うのが見えた。
「ほいせー!」
「いや、上がってないし」
「身長差ぁ!!」
「じゃ、次こっちな~」
「うっわぁぁぁ!サク、背ぇたけぇ!こえぇ!」
「うるせぇ」
……そう、これは変なことじゃないから。
やって当然なわけで。
「案外、背、高いのな」
話しかけると、一瞬、「え」という顔をしたけれど、
「あ、うん。なんかよく、背、低そうって言われる」
礼央は普通に返答した。
実際、礼央は亮太よりも幾分か背が高いようだった。
ほんとに、ほんのちょっとだけど。
やっぱり、勘違いだったんじゃん。
好きかも、なんて。
男同士であるわけないじゃん。
「じゃあ、そのまま4対4いくぞー」
先生の声が響く。
「え、5でも3でもなく!?」
「それだと今ペア組んでんのに余るだろうが」
「せんせー、試合で済まそうなんて手抜きじゃん」
「おー!黙れー!いくぞー」
自然と、ケントとサクと、亮太と礼央と。
4人でチームを組むことになる。
試合が始まると、サクのシュートで、体育館が沸いた。
とはいえ、最終的に、うちのチームが2点取った後、3点シュートを決められ、早々に敗退した。
「ごめん、僕、手出せなかった」
礼央が申し訳なさそうに言う。
「そんなことないって。ケントよかディフェンスしてたじゃん」
サクがからっと笑った。
「俺だって~~~、目ぇ付けられてなかったら活躍できたって」
ケントが口を尖らす。
その会話を聞いて、亮太は「ふっ」と笑った。
「みんな頑張ってたよ」
「みかみはいいパスくれたしな」
サクがまた笑った。
「疲れたし、打ち上げしよっぜー」
普通に、れおくんの隣を歩けた。
変な反応とかもない。
なんだ。
やっぱ、勘違いだったんじゃん。
◇◇◇◇◇
主役二人より隣の二人の方がイチャついてたりして。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる