176 / 239
176 魔術師の塔(2)
しおりを挟む 十分後、グラウンドに集合した私たちは円になっていました。緑川さんが切り出します。
「改めてですが、皆さんに自己紹介をしてもらいましょうか。名前とクラス、ポジション、利き足と得意なプレー……あとはそうですね……それぞれなにか一言お願いします。趣味とかマイブームとか何でも良いですので。あ、各々紹介が終わったら拍手してあげて下さいね」
チームの現状を把握しようという狙いでしょうか。
「では私から時計回りでいきましょう。……えー私はキャプテンの緑川美智、クラスは3‐Dです。ポジションはDF、左利きなので左のサイドバックをやっています。中学のときは中盤でもプレーしていました。攻め上がってのクロスが得意ですかね。後一言……私の家は近所の商店街で『グリーンリバースポーツ』というスポーツ用品店をやっています、和泉高校サッカー部と言って下されば、値引きサービス致しますので、是非お越し下さい」
DFディフェンダーは守備のポジション。サイドバックは中央ではなく、サイドライン際を守るのが主な仕事です。勿論守るだけではありません。機を見ては敵陣にオーバーラップし(攻め上がって)、前線にクロスする(ボールを上げる)ことも重要な役割の一つです。
「副キャプテンの永江奈和、3‐C。GKだ。利き足は右。身長はある方なので、ハイボール(高いボール)の処理にはわりと自信がある。マイブームは……甘いものが好きなので、最近はタピオカかな」
GKゴールキーパーは、その名の通り、ゴールを守るのが仕事です。唯一、手を使えるポジションです。ボールをキャッチする、セーブするのが基本的な役割ですが、最近は足元の技術、キック精度の高さも求められてきています。永江さんはチームの中でも長身ですが、甘いモノ好きとは……なんだかキュンとしてしまいます。ギャップ萌えってやつでしょうか。
「池田弥凪―クラスは3‐A。右利きだから主に右サイドバックやってるよー。中学の時とかは、中盤とか前線の方もやってたよー。クロス上げるより、縦に抜けるのが好きかなー。ちょこちょこオーバーラップするから、逆サイドや中央の人は上手く使ってねー。ゲームが好きなんだけどー特に『平野暴動』ってのが最近お気に入りー。良かったら一緒にプレーしよー」
昨日会ったときはニット帽を被っていましたが、今日は大き目のヘアバンドをつけ、髪の毛を逆立てています。これが練習や試合の時などの彼女のスタイルなのでしょう。眠そうな一重まぶたは相変わらずですが。
「武秋魚、3‐Bや。ポジションはFW。センターフォワードだけじゃなく、ウィングやシャドーなど前線のポジならどこでもこなせるけど、得意なんは相手DFラインの裏への抜け出しかなぁ~利き足は右だけど左でも蹴れるで。あ、結構タッパあるからってこのアフロ目掛けてボール強く蹴り込まんといてな、この中に小鳥を三羽飼ってんねん、当たったら大変やからな……って親鳥はどこに巣を作っとんね~ん! ……なんで誰も笑わへんの……?」
お寿司屋さんの店内のみならず、これがこの部における彼女への正しい対処方のようです。ホッとしました。FWフォワードは前線のトップに位置するポジションです。ゴールを決めるのが大きな仕事です。センターフォワードは文字どおり中央に構えるポジションで、ウィングは左右に開いてサイドライン付近を仕事場とするポジションです。近いところでサイドアタッカーというのもあります。センターフォワード(ストライカー)の影から前線に飛び出してくるのが、シャドーストライカーです。フォワード(トップ)より少し下がった位置でプレーするのがセカンドトップです。秋魚さんは料理も上手だったので、本当にこれらのポジションを器用にこなせるのかもしれません。
「この後やりづらいなぁ~私は桜庭美来(さくらばみらい)、3‐C。ポジションはMF。右利きだけど、左でも結構蹴れるところがセールスポイントかな?中盤は一通りできると思うけど、ボランチやセンターハーフ、インサイドハーフとか、サイドより中央でのプレーが好きかな、あ、あとはセンターバックも一応やったことあるよ。趣味は歌うことかな、妹と一緒に歌ってみた動画を偶にあげているから、興味がある人は探してみて」
MFミッドフィルダーは中盤ミッドフィールドを主戦場とするポジションです。センターハーフは定義が難しいですが、攻守のつなぎ役でしょうか。インサイドハーフは中盤の組み合わせにもよりますが、サイドハーフがより中央に近づいたポジションです。この方は大体私と同じようなポジションです。外ハネのショートボブと一重まぶたが印象的な方です。
「脇中史代(わきなかふみよ)、2‐Aです……。ポジションはDF。センターバックで、利き足は右。偶にサイドバックやアンカーもやりますけど、基本はセンターです。中学までキーパーもやってたので、居残りでシュート練習とかしたい人は気軽に声掛けて下さい。趣味は……犬の散歩ですね」
アンカーはDFラインと中盤の間に位置するポジションです。簡単に言うと、危機を未然に防ぐ係です。マッシュルームカットが特徴的な彼女がチームの最長身選手です。
「松内千尋(まつうちちひろ)、2‐Bだよ。ポジションはMF。利き足は右。センターハーフで起用されることもあるけれど、やはり僕が一番輝くのはトップ下かな。パスセンスは自分で言うのもなんだけど、なかなかのものだと思うよ。趣味は読書かな。あ、ファンクラブ会員は随時募集中だよ」
トップ下はその名の通り、トップの下に位置するポジションです。シャドーやセカンドトップなどではなく、この人がこだわっているのはあくまでパスを出して得点させる、クラシカルなトップ下のようです。プレー中、走るよりもよく髪をかきあげている少々ナルシストなところが気になりますが、そのボール捌きは実に巧みです。ちなみにファンクラブ云々と言っていましたが、チームでも随一の端正なルックスの持ち主で、校外にもファンがいるとの噂が……。
「1‐A、趙莉沙(ちょうりさ)です。ポジションはMF。サイドハーフが一番得意ですが、中学ではサイドバックもウィングもやりました。左利きですが右サイドの方がプレーしやすいです。実家は和泉駅前で中華料理屋をやっています。良かったら来てください」
彼女はお母さんが中国人とのこと、さほど大柄ではありませんが、それを補ってあまりある身体能力があります。中学時代に何度か対戦したことがありますが、右サイドからカットインして(中央に切り込んで)のシュートが得意パターンでした。強豪校に行ったのかと思っていましたが、「家が近いからここにした」そうです。両肩にかかるくらいの短いおさげと意志の強そうな切れ長の目が印象的です。
「え、えっと、自分は白雲流(しらくもながれ)、クラスは1‐Bっす。右利きでポジションはDF、サイドバックっす。たまに、サイドハーフやトップでも起用されていたっす。あ、足は速いっす。中2まで陸上で短距離やっていました。サッカーを本格的に始めたのは去年からなんすけど、頑張りますんで、よ、宜しくおねがいします!」
陸上で市の記録を持っているようですが、あるサッカーの試合を見て感激したようで、それをきっかけに陸上からサッカーに転向したそうです。確かにボール扱いにまだ稚拙なところも見られますが、そのスピードは大きな武器となるはずです。右目を隠すような前髪と後ろで短く結んだ髪型をしています。
「姫藤聖良、1‐Dです。利き足は右で、ポジションは……MFかFWですかね。シャドーやセカンドトップで使われることが多かったです。ただ、サイドのプレーも嫌いじゃありません。基本的にドリブルでいけるとこまでいくっていうプレースタイルです。趣味は……特にないです。強いて言えば映画鑑賞ですかね」
聖良ちゃんのドリブルは、高校レベルの強豪チーム相手でも十分通用するはずです。サイドでもそのプレーは活きると思いますが、中央、つまりより相手ゴール前に近い場所で仕事をさせてあげたいところです。
「あーアタシは龍波竜乃、1‐Cだ。左利き。ポジションは……よく分かんねえからFW?ってのでいいや。とにかくシュートが撃ちてぇ。趣味か……小物集めかな。まあ、ヨロシク」
小物集めってなんだか別の意味で聞こえてきてしまいますが……細かいポジションについては追々教えていこうかなと思います。まあ、彼女自身はその桁外れのシュート力をみても、またメンタル的にも生粋のFW、いわゆるストライカーが適正でしょう。私の番が来ました。
「あ、丸井桃です。1年C組。ポジションはMF、ボランチです。得意なプレーは…ボールを取ってからの展開ですかね……趣味は食べ歩きかな? よろしくお願いします」
「『○○の○○』の異名をとった彼女が入ってくれるとは……これはひょっとするとひょっとするかもしれませんね……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も」
緑川さんと永江さんが何やら話しをしていたようですが、拍手の音で聞こえませんでした。
「えっと……マネージャーの小嶋美花です! クラスは2‐Cです。サッカーのプレー映像を集めるのが趣味なので、参考にしたいプレーなどがあれば、言ってくれればすぐに用意出来ます! 精一杯サポートさせてもらいますのでジャンジャンこき使って下さい!」
こき使うつもりはありませんが、他校の情報にも大分精通しているようです。その豊富なデータは参考になると思います。そして、緑川さんがポンっと強めに両手を打って一言、
「はい、それではそれぞれの人となりが分かったところで、午後は予定を変更して紅白戦、6VS6のミニゲームをしましょうか。一緒のチームでボールを蹴ることによってよりお互いの理解が深まるはずです」
全体のコートの広さの半分の、さらにその3分の2位の広さで、ミニゲームが行われることとなりました。チーム分けは2・3年の連合チームと私たち1年生5人にキーパー経験のある脇中さんが加わったチームとなりました。連合チームは赤のビブスをつけ、私たちは白のビブスを付けました。ゴールはミニゲーム用の小さいゴールを両サイドに置きました。時間は変則ですが、15分×4本の計60分。休憩は5分ずつです。全員が所定の位置に散らばり、審判役の美花さんの笛でゲームが始まりました。ここで話は冒頭に戻ります。
「改めてですが、皆さんに自己紹介をしてもらいましょうか。名前とクラス、ポジション、利き足と得意なプレー……あとはそうですね……それぞれなにか一言お願いします。趣味とかマイブームとか何でも良いですので。あ、各々紹介が終わったら拍手してあげて下さいね」
チームの現状を把握しようという狙いでしょうか。
「では私から時計回りでいきましょう。……えー私はキャプテンの緑川美智、クラスは3‐Dです。ポジションはDF、左利きなので左のサイドバックをやっています。中学のときは中盤でもプレーしていました。攻め上がってのクロスが得意ですかね。後一言……私の家は近所の商店街で『グリーンリバースポーツ』というスポーツ用品店をやっています、和泉高校サッカー部と言って下されば、値引きサービス致しますので、是非お越し下さい」
DFディフェンダーは守備のポジション。サイドバックは中央ではなく、サイドライン際を守るのが主な仕事です。勿論守るだけではありません。機を見ては敵陣にオーバーラップし(攻め上がって)、前線にクロスする(ボールを上げる)ことも重要な役割の一つです。
「副キャプテンの永江奈和、3‐C。GKだ。利き足は右。身長はある方なので、ハイボール(高いボール)の処理にはわりと自信がある。マイブームは……甘いものが好きなので、最近はタピオカかな」
GKゴールキーパーは、その名の通り、ゴールを守るのが仕事です。唯一、手を使えるポジションです。ボールをキャッチする、セーブするのが基本的な役割ですが、最近は足元の技術、キック精度の高さも求められてきています。永江さんはチームの中でも長身ですが、甘いモノ好きとは……なんだかキュンとしてしまいます。ギャップ萌えってやつでしょうか。
「池田弥凪―クラスは3‐A。右利きだから主に右サイドバックやってるよー。中学の時とかは、中盤とか前線の方もやってたよー。クロス上げるより、縦に抜けるのが好きかなー。ちょこちょこオーバーラップするから、逆サイドや中央の人は上手く使ってねー。ゲームが好きなんだけどー特に『平野暴動』ってのが最近お気に入りー。良かったら一緒にプレーしよー」
昨日会ったときはニット帽を被っていましたが、今日は大き目のヘアバンドをつけ、髪の毛を逆立てています。これが練習や試合の時などの彼女のスタイルなのでしょう。眠そうな一重まぶたは相変わらずですが。
「武秋魚、3‐Bや。ポジションはFW。センターフォワードだけじゃなく、ウィングやシャドーなど前線のポジならどこでもこなせるけど、得意なんは相手DFラインの裏への抜け出しかなぁ~利き足は右だけど左でも蹴れるで。あ、結構タッパあるからってこのアフロ目掛けてボール強く蹴り込まんといてな、この中に小鳥を三羽飼ってんねん、当たったら大変やからな……って親鳥はどこに巣を作っとんね~ん! ……なんで誰も笑わへんの……?」
お寿司屋さんの店内のみならず、これがこの部における彼女への正しい対処方のようです。ホッとしました。FWフォワードは前線のトップに位置するポジションです。ゴールを決めるのが大きな仕事です。センターフォワードは文字どおり中央に構えるポジションで、ウィングは左右に開いてサイドライン付近を仕事場とするポジションです。近いところでサイドアタッカーというのもあります。センターフォワード(ストライカー)の影から前線に飛び出してくるのが、シャドーストライカーです。フォワード(トップ)より少し下がった位置でプレーするのがセカンドトップです。秋魚さんは料理も上手だったので、本当にこれらのポジションを器用にこなせるのかもしれません。
「この後やりづらいなぁ~私は桜庭美来(さくらばみらい)、3‐C。ポジションはMF。右利きだけど、左でも結構蹴れるところがセールスポイントかな?中盤は一通りできると思うけど、ボランチやセンターハーフ、インサイドハーフとか、サイドより中央でのプレーが好きかな、あ、あとはセンターバックも一応やったことあるよ。趣味は歌うことかな、妹と一緒に歌ってみた動画を偶にあげているから、興味がある人は探してみて」
MFミッドフィルダーは中盤ミッドフィールドを主戦場とするポジションです。センターハーフは定義が難しいですが、攻守のつなぎ役でしょうか。インサイドハーフは中盤の組み合わせにもよりますが、サイドハーフがより中央に近づいたポジションです。この方は大体私と同じようなポジションです。外ハネのショートボブと一重まぶたが印象的な方です。
「脇中史代(わきなかふみよ)、2‐Aです……。ポジションはDF。センターバックで、利き足は右。偶にサイドバックやアンカーもやりますけど、基本はセンターです。中学までキーパーもやってたので、居残りでシュート練習とかしたい人は気軽に声掛けて下さい。趣味は……犬の散歩ですね」
アンカーはDFラインと中盤の間に位置するポジションです。簡単に言うと、危機を未然に防ぐ係です。マッシュルームカットが特徴的な彼女がチームの最長身選手です。
「松内千尋(まつうちちひろ)、2‐Bだよ。ポジションはMF。利き足は右。センターハーフで起用されることもあるけれど、やはり僕が一番輝くのはトップ下かな。パスセンスは自分で言うのもなんだけど、なかなかのものだと思うよ。趣味は読書かな。あ、ファンクラブ会員は随時募集中だよ」
トップ下はその名の通り、トップの下に位置するポジションです。シャドーやセカンドトップなどではなく、この人がこだわっているのはあくまでパスを出して得点させる、クラシカルなトップ下のようです。プレー中、走るよりもよく髪をかきあげている少々ナルシストなところが気になりますが、そのボール捌きは実に巧みです。ちなみにファンクラブ云々と言っていましたが、チームでも随一の端正なルックスの持ち主で、校外にもファンがいるとの噂が……。
「1‐A、趙莉沙(ちょうりさ)です。ポジションはMF。サイドハーフが一番得意ですが、中学ではサイドバックもウィングもやりました。左利きですが右サイドの方がプレーしやすいです。実家は和泉駅前で中華料理屋をやっています。良かったら来てください」
彼女はお母さんが中国人とのこと、さほど大柄ではありませんが、それを補ってあまりある身体能力があります。中学時代に何度か対戦したことがありますが、右サイドからカットインして(中央に切り込んで)のシュートが得意パターンでした。強豪校に行ったのかと思っていましたが、「家が近いからここにした」そうです。両肩にかかるくらいの短いおさげと意志の強そうな切れ長の目が印象的です。
「え、えっと、自分は白雲流(しらくもながれ)、クラスは1‐Bっす。右利きでポジションはDF、サイドバックっす。たまに、サイドハーフやトップでも起用されていたっす。あ、足は速いっす。中2まで陸上で短距離やっていました。サッカーを本格的に始めたのは去年からなんすけど、頑張りますんで、よ、宜しくおねがいします!」
陸上で市の記録を持っているようですが、あるサッカーの試合を見て感激したようで、それをきっかけに陸上からサッカーに転向したそうです。確かにボール扱いにまだ稚拙なところも見られますが、そのスピードは大きな武器となるはずです。右目を隠すような前髪と後ろで短く結んだ髪型をしています。
「姫藤聖良、1‐Dです。利き足は右で、ポジションは……MFかFWですかね。シャドーやセカンドトップで使われることが多かったです。ただ、サイドのプレーも嫌いじゃありません。基本的にドリブルでいけるとこまでいくっていうプレースタイルです。趣味は……特にないです。強いて言えば映画鑑賞ですかね」
聖良ちゃんのドリブルは、高校レベルの強豪チーム相手でも十分通用するはずです。サイドでもそのプレーは活きると思いますが、中央、つまりより相手ゴール前に近い場所で仕事をさせてあげたいところです。
「あーアタシは龍波竜乃、1‐Cだ。左利き。ポジションは……よく分かんねえからFW?ってのでいいや。とにかくシュートが撃ちてぇ。趣味か……小物集めかな。まあ、ヨロシク」
小物集めってなんだか別の意味で聞こえてきてしまいますが……細かいポジションについては追々教えていこうかなと思います。まあ、彼女自身はその桁外れのシュート力をみても、またメンタル的にも生粋のFW、いわゆるストライカーが適正でしょう。私の番が来ました。
「あ、丸井桃です。1年C組。ポジションはMF、ボランチです。得意なプレーは…ボールを取ってからの展開ですかね……趣味は食べ歩きかな? よろしくお願いします」
「『○○の○○』の異名をとった彼女が入ってくれるとは……これはひょっとするとひょっとするかもしれませんね……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も」
緑川さんと永江さんが何やら話しをしていたようですが、拍手の音で聞こえませんでした。
「えっと……マネージャーの小嶋美花です! クラスは2‐Cです。サッカーのプレー映像を集めるのが趣味なので、参考にしたいプレーなどがあれば、言ってくれればすぐに用意出来ます! 精一杯サポートさせてもらいますのでジャンジャンこき使って下さい!」
こき使うつもりはありませんが、他校の情報にも大分精通しているようです。その豊富なデータは参考になると思います。そして、緑川さんがポンっと強めに両手を打って一言、
「はい、それではそれぞれの人となりが分かったところで、午後は予定を変更して紅白戦、6VS6のミニゲームをしましょうか。一緒のチームでボールを蹴ることによってよりお互いの理解が深まるはずです」
全体のコートの広さの半分の、さらにその3分の2位の広さで、ミニゲームが行われることとなりました。チーム分けは2・3年の連合チームと私たち1年生5人にキーパー経験のある脇中さんが加わったチームとなりました。連合チームは赤のビブスをつけ、私たちは白のビブスを付けました。ゴールはミニゲーム用の小さいゴールを両サイドに置きました。時間は変則ですが、15分×4本の計60分。休憩は5分ずつです。全員が所定の位置に散らばり、審判役の美花さんの笛でゲームが始まりました。ここで話は冒頭に戻ります。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

あなた方には後悔してもらいます!
風見ゆうみ
恋愛
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。
私の国では代々、王の子供であれば、性別や生まれの早い遅いは関係なく、成人近くになると王となるべき人の胸元に国花が浮き出ると言われていました。
国花は今まで、長男や長女にしか現れなかったそうですので、次女である私は、姉に比べて母からはとても冷遇されておりました。
それは私が17歳の誕生日を迎えた日の事、パーティー会場の外で姉の婚約者と私の婚約者が姉を取り合い、喧嘩をしていたのです。
婚約破棄を受け入れ、部屋に戻り1人で泣いていると、私の胸元に国花が浮き出てしまったじゃないですか!
お父様にその事を知らせに行くと、そこには隣国の国王陛下もいらっしゃいました。
事情を知った陛下が息子である第2王子を婚約者兼協力者として私に紹介して下さる事に!
彼と一緒に元婚約者達を後悔させてやろうと思います!
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、話の中での色々な設定は話の都合、展開の為のご都合主義、ゆるい設定ですので、そんな世界なのだとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※話が合わない場合は閉じていただきますよう、お願い致します。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる