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104 狙われた命(1)
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ゲストルームは、全て屋敷の表側を向いている。
階段を上がって少し歩いたところで、シエロが部屋に案内されていく。その隣がエマの部屋になった。
ヴァルがメイドに連れられ、部屋へ案内されて行くのを見送った。
ゲストルームに入り、一人になる。
窓の外を覗くと、ちょうど正面玄関が見える。
その玄関を見た途端、「あ、ここ知ってる」と思った。
あれは『メモアーレン』の王子様ルート第3章。
……そもそも、第3章はこのシュバルツが舞台なのだ。
王太子がこの屋敷に泊まり、ジークと心を通わせ、お忍びで町へ繰り出し……といった内容だ。
あの第3章。繰り返しやった第3章の背景で見た屋敷そのものだ。
くるり、と部屋を見渡すと、調度品も見たことのあるものが多い。
……というか、この調度品。昔、ヴァルの部屋で見たものとも似ている。
なんだか高級そうなアンティークは、この家から送られたものだったんだ。
気付いてしまえば、ここがどこなのかもわかった。
妙に丁寧な背景が豊富に設定されているゲームだったので、背景とキャラのセリフを元に、間取りを描いてみたことがあったのだ。
なので、この伯爵邸なら、どこに何があるのかほぼ知っている。どこが人の少ない場所なのかも。ジークの部屋がどこにあるのかも。
あまりの心細さに二人を探そうと、部屋から出てみる。
とはいえ、扉をノックするのは、ちょっと勇気がいるなぁ……。
と、廊下の絵画を眺めていると、ガラガラと、音が聞こえた。
ふい、っと見ると、メイドらしき人が、カートを押すのが見えた。
「…………」
カートに載せられた1杯のコーヒーが湯気を上げている。
「……大丈夫ですか?」
声を、かけた。
少し薄暗い廊下でもわかるくらい、そのメイドが青ざめているのがわかった。
「ええ。……奥様にコーヒーをお届けしたら、休ませていただきます」
顔を上げたメイドとは、目が合わなかった。
ガラガラと、また、カートが押されていく。
…………え?
メイドの背中を見ながら、背筋が凍るのを感じた。
私は、知っている。
この先には、ヴァルがいるはずのゲストルームしかない。
その先は1階へ繋がる階段があって、温室へ繋がっている。
たった1人分のコーヒー。
その時、後ろで扉が開く音がした。
振り向くと、シエロが廊下へ出てきた音だった。
「せんせ……っ!」
察しのいいシエロが、真面目な顔になる。
「どうした?」
「今……っ、あのメイドさんがコーヒーを運んでたんですけど……っ」
掴まるようにシエロのそばに駆け寄る。
シエロが、駆け出す。
「そこのメイドさん」
捕まえるように、自分よりも大きな杖を出し、足止めをする。
メイドは、いよいよ真っ青な顔をしていた。
「シエロ様…………!ち、違うんです……っ。何かの間違いです……!違うんです……!」
「じゃあそれは何」
コーヒーを取り上げようとすると、メイドが慌てて手を出した。
「いけません……!!」
寸前で手を止める。
「何が」
「触っては……!熱い……。そう、熱い、ので……」
いいながら、メイドはくずおれ、泣き出した。
エマが立ち竦む。
何……これ……?
◇◇◇◇◇
ちっちゃいグループの身長はそれぞれ、メンテが153cm、リナリが149cm、チュチュが148cmくらいです。そして、12歳時のシエロくんが143cmくらい。
みんな成長中です。とはいえ、チュチュはひとつ下の双子にすでに身長抜かされてるくらいにはちっちゃいです。
階段を上がって少し歩いたところで、シエロが部屋に案内されていく。その隣がエマの部屋になった。
ヴァルがメイドに連れられ、部屋へ案内されて行くのを見送った。
ゲストルームに入り、一人になる。
窓の外を覗くと、ちょうど正面玄関が見える。
その玄関を見た途端、「あ、ここ知ってる」と思った。
あれは『メモアーレン』の王子様ルート第3章。
……そもそも、第3章はこのシュバルツが舞台なのだ。
王太子がこの屋敷に泊まり、ジークと心を通わせ、お忍びで町へ繰り出し……といった内容だ。
あの第3章。繰り返しやった第3章の背景で見た屋敷そのものだ。
くるり、と部屋を見渡すと、調度品も見たことのあるものが多い。
……というか、この調度品。昔、ヴァルの部屋で見たものとも似ている。
なんだか高級そうなアンティークは、この家から送られたものだったんだ。
気付いてしまえば、ここがどこなのかもわかった。
妙に丁寧な背景が豊富に設定されているゲームだったので、背景とキャラのセリフを元に、間取りを描いてみたことがあったのだ。
なので、この伯爵邸なら、どこに何があるのかほぼ知っている。どこが人の少ない場所なのかも。ジークの部屋がどこにあるのかも。
あまりの心細さに二人を探そうと、部屋から出てみる。
とはいえ、扉をノックするのは、ちょっと勇気がいるなぁ……。
と、廊下の絵画を眺めていると、ガラガラと、音が聞こえた。
ふい、っと見ると、メイドらしき人が、カートを押すのが見えた。
「…………」
カートに載せられた1杯のコーヒーが湯気を上げている。
「……大丈夫ですか?」
声を、かけた。
少し薄暗い廊下でもわかるくらい、そのメイドが青ざめているのがわかった。
「ええ。……奥様にコーヒーをお届けしたら、休ませていただきます」
顔を上げたメイドとは、目が合わなかった。
ガラガラと、また、カートが押されていく。
…………え?
メイドの背中を見ながら、背筋が凍るのを感じた。
私は、知っている。
この先には、ヴァルがいるはずのゲストルームしかない。
その先は1階へ繋がる階段があって、温室へ繋がっている。
たった1人分のコーヒー。
その時、後ろで扉が開く音がした。
振り向くと、シエロが廊下へ出てきた音だった。
「せんせ……っ!」
察しのいいシエロが、真面目な顔になる。
「どうした?」
「今……っ、あのメイドさんがコーヒーを運んでたんですけど……っ」
掴まるようにシエロのそばに駆け寄る。
シエロが、駆け出す。
「そこのメイドさん」
捕まえるように、自分よりも大きな杖を出し、足止めをする。
メイドは、いよいよ真っ青な顔をしていた。
「シエロ様…………!ち、違うんです……っ。何かの間違いです……!違うんです……!」
「じゃあそれは何」
コーヒーを取り上げようとすると、メイドが慌てて手を出した。
「いけません……!!」
寸前で手を止める。
「何が」
「触っては……!熱い……。そう、熱い、ので……」
いいながら、メイドはくずおれ、泣き出した。
エマが立ち竦む。
何……これ……?
◇◇◇◇◇
ちっちゃいグループの身長はそれぞれ、メンテが153cm、リナリが149cm、チュチュが148cmくらいです。そして、12歳時のシエロくんが143cmくらい。
みんな成長中です。とはいえ、チュチュはひとつ下の双子にすでに身長抜かされてるくらいにはちっちゃいです。
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