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93 帰途(2)
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翌日はまた、行きと同じ宿に泊まる。
次の日には学園に着いてしまう。いよいよこの旅行も終わりだ。
「楽しかったね!」
「みんなでまた旅行行きたいね~」
昼間の町中。
美味しそうなものを両手いっぱいに買い込みながら、エマとチュチュは町の中を歩いていた。
「あ、ドーナツ美味しそう!」
チュチュが露店でドーナツを買い、口に突っ込む。もう一つ買ったドーナツはエマの口に。
「はい、あーん」
なんて言いながら。
「そんなに買っても食べきれないよ」
ドーナツをかじりながら、エマが困った顔で言う。
双子はしばらくいないし、明後日にはチュチュも夏休みで家に帰ってしまうのだ。
エマは、まだヴァルと二人招待されているパーティーがあるので、学園に残っているけれど、さすがに3人で食べ切れる量は限界があるだろう。
「だーいじょうぶだって!日持ちするものも沢山あるし、ヴァルなら食べてくれる!」
……確かにヴァルなら食べてくれるかもしれない。
なんて思ってしまったので、そこでエマは口をつぐんだ。
夕食はちょっと豪華に食べた。
シエロが、「予算はまだあるから、好きなもの注文していいよ」と言ったからだ。
シエロが注文したチョコバナナパフェが美味しそうだったので、チュチュとエマも二人でパフェを注文することにした。
大きなパフェを二人でつつく。
ヴァルがちょっと呆れたような面白がっているような顔で、そんな光景を見ていた。
食後、エマは宿の中庭の数段ある階段に腰を下ろした。
ちょっと甘いもの食べすぎちゃったなぁ……。
ドーナツに、チュチュと買ったお菓子も結局ちょっと食べてしまったし、最後には大きなパフェだ。
「ふう……」
と息をつくと、
「ほら」
と、視界に入るものがあった。
瓶入りのミネラルウォーター。
見上げると、持っていたのはヴァルだった。
「ありがと」
へへっと笑って、瓶を受け取る。
くぴくぴっと飲むと、喉が潤された。
ヴァルが隣に座る。
「旅行楽しいね。初めて見るものが、沢山あった」
「だな。また来よう」
「うん。いろんな所に行こうよ」
「いいな。お前、王都にも行ったことないだろ?」
「そうなの!ヴァルは詳しいの?一緒に行こうよ」
「ああ。必ず」
二人で星を見上げる。
満天の星はきらきらと輝いて、旅行の最後を飾るには十分だった。
ヴァルが立ち上がると、手を差し出してくれる。
掴まると、ひょい、と立ち上がらせてくれた。
…………。
手を繋いだまま数秒。
つい、じっと顔を見てしまっていると、ヴァルもこちらを見ていた。
「…………」
本当に、それは数秒のこと。
視線が合っていることに気付くと、途端に顔が熱くなり、宿の方へぐるんと向きを変える。
無言で数歩先を歩く。
女子部屋の前で、「おやすみ」を言ったけれど、思ったよりも声は小さくなった。
翌日は、またチュチュと買ったお菓子をかじりつつ、馬車に乗って帰る。
人数も減ったので、御者台には一人ずつ座ることになった。
学園が見えてくる。
夕暮れに浮かぶ大きな木は、いつも通りの姿でそこにあった。
すっかり、そこはエマにとって、安心する場所になっていた。
門をくぐれば、ほわっとした空気に触れた。
ここはいつでも暖かい。
「ただいま」
そうエマは呟いた。
◇◇◇◇◇
ということで、旅行エピソード終了です。
次回から、二人の関係が変わるほどの怒濤の展開でやってまいります。進展か後退か!?
次回からもどうぞよろしく~!!
次の日には学園に着いてしまう。いよいよこの旅行も終わりだ。
「楽しかったね!」
「みんなでまた旅行行きたいね~」
昼間の町中。
美味しそうなものを両手いっぱいに買い込みながら、エマとチュチュは町の中を歩いていた。
「あ、ドーナツ美味しそう!」
チュチュが露店でドーナツを買い、口に突っ込む。もう一つ買ったドーナツはエマの口に。
「はい、あーん」
なんて言いながら。
「そんなに買っても食べきれないよ」
ドーナツをかじりながら、エマが困った顔で言う。
双子はしばらくいないし、明後日にはチュチュも夏休みで家に帰ってしまうのだ。
エマは、まだヴァルと二人招待されているパーティーがあるので、学園に残っているけれど、さすがに3人で食べ切れる量は限界があるだろう。
「だーいじょうぶだって!日持ちするものも沢山あるし、ヴァルなら食べてくれる!」
……確かにヴァルなら食べてくれるかもしれない。
なんて思ってしまったので、そこでエマは口をつぐんだ。
夕食はちょっと豪華に食べた。
シエロが、「予算はまだあるから、好きなもの注文していいよ」と言ったからだ。
シエロが注文したチョコバナナパフェが美味しそうだったので、チュチュとエマも二人でパフェを注文することにした。
大きなパフェを二人でつつく。
ヴァルがちょっと呆れたような面白がっているような顔で、そんな光景を見ていた。
食後、エマは宿の中庭の数段ある階段に腰を下ろした。
ちょっと甘いもの食べすぎちゃったなぁ……。
ドーナツに、チュチュと買ったお菓子も結局ちょっと食べてしまったし、最後には大きなパフェだ。
「ふう……」
と息をつくと、
「ほら」
と、視界に入るものがあった。
瓶入りのミネラルウォーター。
見上げると、持っていたのはヴァルだった。
「ありがと」
へへっと笑って、瓶を受け取る。
くぴくぴっと飲むと、喉が潤された。
ヴァルが隣に座る。
「旅行楽しいね。初めて見るものが、沢山あった」
「だな。また来よう」
「うん。いろんな所に行こうよ」
「いいな。お前、王都にも行ったことないだろ?」
「そうなの!ヴァルは詳しいの?一緒に行こうよ」
「ああ。必ず」
二人で星を見上げる。
満天の星はきらきらと輝いて、旅行の最後を飾るには十分だった。
ヴァルが立ち上がると、手を差し出してくれる。
掴まると、ひょい、と立ち上がらせてくれた。
…………。
手を繋いだまま数秒。
つい、じっと顔を見てしまっていると、ヴァルもこちらを見ていた。
「…………」
本当に、それは数秒のこと。
視線が合っていることに気付くと、途端に顔が熱くなり、宿の方へぐるんと向きを変える。
無言で数歩先を歩く。
女子部屋の前で、「おやすみ」を言ったけれど、思ったよりも声は小さくなった。
翌日は、またチュチュと買ったお菓子をかじりつつ、馬車に乗って帰る。
人数も減ったので、御者台には一人ずつ座ることになった。
学園が見えてくる。
夕暮れに浮かぶ大きな木は、いつも通りの姿でそこにあった。
すっかり、そこはエマにとって、安心する場所になっていた。
門をくぐれば、ほわっとした空気に触れた。
ここはいつでも暖かい。
「ただいま」
そうエマは呟いた。
◇◇◇◇◇
ということで、旅行エピソード終了です。
次回から、二人の関係が変わるほどの怒濤の展開でやってまいります。進展か後退か!?
次回からもどうぞよろしく~!!
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