積もるのは嘘と気持ちと

どんころ

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虚無な時間をどれだけ過ごしていただろうか。

気がついたら僕は今日が何日かとか、今何をしているとか何も理解できなくなってしまった。

ただ、無の世界でそこにある空気を吸って、吐くだけ。

何となく一つだけ理解してたことはあって、やっと終わりが来るんだなって
それだけは分かっていた。

なんだかふんわりしたものに包まれているような安心感がいつからか漂ってきて、
あぁ意外と終わりを迎えるのは怖くなかったんだと理解した。

生きている方が怖いことなんてたくさんあった。
苦しい思いも胸が引き裂かれそうな思いもたくさんした。
もうこれで終わりにできる。

でも行くには勇気がいって、何かが足りないと気がついた。
足りないものが何かわからないままぐるぐるする日が続いて、ふいに視界に小さな黒い物が飛び込んできた。


あ、それだ。
それを持っていないと、僕はいけなかったんだ。

そっと掴むと柔らかい布の感触を感じて、それを胸元に両手でぎゅっとした。
これだった。
今まで足りなかったものが補われて安心する。
これでもう大丈夫。
なぜか優しい男の人の顔が目の前に浮かぶ。
笑うと垂れる目尻が穏やかで、あたたかい。

ありがとう

すき

ごめんね

しあわせ

れんくん

もう何も分からない脳みそが、この言葉たちを壊れたCDのように何度も繰り返している。



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