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―― 敗北
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ドレファスが目を覚ました時、多くの騎士たちに囲まれていた。
「ここは?」
「ドレファス様!!」
そこには戦いで散っていった騎士達が整列をいていた。
「俺はニセ聖女に殺られたのでは、なかったのか?皆が無事ということは一体どういうことなんだ!!」
俺の質問に皆は黙り込んでいる。ニセ聖女に殺られたのであれば、俺たちは神の元へ召されはず、それは自壊という最終兵器があるからだ。しかし、皆は黙り込んでいる。ある者は体を震わせ悲しみを堪えている。そして、ある者は呆然と生きた骸となっている。
「一体、何があったんだ?」
すると俺の背後から優しい女性の声がした。
「お目覚めになりましたか?」
その姿を見た途端、あの地獄絵が甦り恐怖として襲いかかってきた。
「あ…あ…」
声が出ない。しかし、目の前のニセ聖女は、俺に微笑みかけている。
「ドレファス師団長様ですよね」
冷や汗が背中を流れている。そこへ副団長ブライアンが俺との間に入った。
「フリージア殿、この方がドレファス師団長で間違いありません」
すると彼女は手をパンと叩いて
「これで死者はゼロですね」
死者ゼロとはどういう事だ?するとブライアンは
「はい。フリージア殿のおっしゃる通りであります」
そして、フリージアと呼ばれるニセ聖女は、納得したかのように頷いている。
「それでは、私としてはこのまま撤退して頂ければ、助かりますが如何でしょうか」
なに?!撤退だと、俺は立ち上がりニセ聖女に駆け寄った。
『自壊』
聖騎士団の誇りを胸に最期の技を放った。
!
何も起きない。どういう事だ?俺一人焦っているが周りの目は冷やかだ。
「何故だ!!何故発動しない?」
するとブライアンが
「ドレファス団長、我々は、自壊の呪縛を解かれています」
「どういう事だ」
「フリージア殿が呪縛を解かれています」
「なんだと」
「それに我々は既に負けております。今の我々に彼女を倒すすべはございません」
ブライアンの表情から彼は嘘をついていない。
「そうか、負けたのか」
「はい、完敗です」
するとフリージアは再び
「それでは、先程申し上げた通り、聖騎士団には撤退して頂きます。と言ってもこのままでは、撤退はできませんよね。ここで私から提案です。ニセ聖女及び聖女はいなかったと報告して欲しいのです」
「そんなことできるはずない!!まずは、ドミニク司教が報告書を撤回しないといけない」
「では、これを聞いてください」
彼女は例の録音を聞かせてきた。
「はぁはぁはぁ…わしの妾にならぬか?」
「はぁ?」
「はぁはぁはぁ…どうじゃ悪い条件ではないと思うが、このエセ聖女様」
「やめてください」
「貴様!!優しくしていれば…調子に乗りおって、わしが本部に魔王の手下と報告していいのか?」
「くっ?」
「どうせ、魔力は5なんだろ。そんな奴がこのわしに勝てるはずはないわ」
「はなして~!!」
「ほう…まだ抵抗するのか、抵抗されるほどやりがいがある。」
「やめてー!!」
「うわ!!」
「貴様!!」
「きゃ!!」
「このわしに歯向かうなんぞ、100年早いわ」
『テレポート』
「ほう…結界の中で魔法を使うか、しかし、もう魔力はないはず」
『パラライズ』
「くっ…まだ魔力が残っていたか。しかし、この程度の魔力はわしには効かぬ」
『サイコキネシス』
「フン!!そんな魔法が効くか」
パリン!!
「な…なんだ?うわ~目…目がぎ…ゃぁああああ…目…目が…」
バタバタバタ
「司祭様!!」
「貴様!!司祭様に何をした!!」
「目が…目が…」
「お前は司祭様を守れ、早くヒールだ!!」
「目が…目が…」
俺は、これを聞いて呆れているとブライアンも既に知っているのか、うなずいている。
「これでお分かり頂けたでしょうか」
「これが事実であれば、ドミニク司教の報告は信ぴょう性に欠ける」
すると彼女は笑顔で
「それでは、王都クラリスへ入城していただけますか?」
「どういうことだ?」
「それは、ニセ聖女はいなかったことを証明する為です」
「わかりました」
こうして我々は入場後、国王へ謁見、ドミニク司祭は婦女暴行未遂で投獄されていることが判明、俺が話を聞きに行くと
「あれはニセ聖女だ。魔王の手先だ」
「ドミニク司教、我々はあなたがあの女性を襲おうとした事実を知っている」
「な…何を言っておるのだ!!どこにそんな証拠が」
俺はさっきの録音データをドミニクに聞かせた
「それは偽造だ!!」
「この録音は鑑定済みだ。言っている意味は分かるよな」
「う…」
俺は、教会へ報告の使者を送った。そして、答えはエターナルは無実、ドミニクの処分は追って伝えるという内容であった。
こうして、エターナルで起きたニセ聖女問題は解決し、聖騎士団は教会に戻っていった。
しかし、教会に戻った俺達に放たれた言葉は
破門だった
「ここは?」
「ドレファス様!!」
そこには戦いで散っていった騎士達が整列をいていた。
「俺はニセ聖女に殺られたのでは、なかったのか?皆が無事ということは一体どういうことなんだ!!」
俺の質問に皆は黙り込んでいる。ニセ聖女に殺られたのであれば、俺たちは神の元へ召されはず、それは自壊という最終兵器があるからだ。しかし、皆は黙り込んでいる。ある者は体を震わせ悲しみを堪えている。そして、ある者は呆然と生きた骸となっている。
「一体、何があったんだ?」
すると俺の背後から優しい女性の声がした。
「お目覚めになりましたか?」
その姿を見た途端、あの地獄絵が甦り恐怖として襲いかかってきた。
「あ…あ…」
声が出ない。しかし、目の前のニセ聖女は、俺に微笑みかけている。
「ドレファス師団長様ですよね」
冷や汗が背中を流れている。そこへ副団長ブライアンが俺との間に入った。
「フリージア殿、この方がドレファス師団長で間違いありません」
すると彼女は手をパンと叩いて
「これで死者はゼロですね」
死者ゼロとはどういう事だ?するとブライアンは
「はい。フリージア殿のおっしゃる通りであります」
そして、フリージアと呼ばれるニセ聖女は、納得したかのように頷いている。
「それでは、私としてはこのまま撤退して頂ければ、助かりますが如何でしょうか」
なに?!撤退だと、俺は立ち上がりニセ聖女に駆け寄った。
『自壊』
聖騎士団の誇りを胸に最期の技を放った。
!
何も起きない。どういう事だ?俺一人焦っているが周りの目は冷やかだ。
「何故だ!!何故発動しない?」
するとブライアンが
「ドレファス団長、我々は、自壊の呪縛を解かれています」
「どういう事だ」
「フリージア殿が呪縛を解かれています」
「なんだと」
「それに我々は既に負けております。今の我々に彼女を倒すすべはございません」
ブライアンの表情から彼は嘘をついていない。
「そうか、負けたのか」
「はい、完敗です」
するとフリージアは再び
「それでは、先程申し上げた通り、聖騎士団には撤退して頂きます。と言ってもこのままでは、撤退はできませんよね。ここで私から提案です。ニセ聖女及び聖女はいなかったと報告して欲しいのです」
「そんなことできるはずない!!まずは、ドミニク司教が報告書を撤回しないといけない」
「では、これを聞いてください」
彼女は例の録音を聞かせてきた。
「はぁはぁはぁ…わしの妾にならぬか?」
「はぁ?」
「はぁはぁはぁ…どうじゃ悪い条件ではないと思うが、このエセ聖女様」
「やめてください」
「貴様!!優しくしていれば…調子に乗りおって、わしが本部に魔王の手下と報告していいのか?」
「くっ?」
「どうせ、魔力は5なんだろ。そんな奴がこのわしに勝てるはずはないわ」
「はなして~!!」
「ほう…まだ抵抗するのか、抵抗されるほどやりがいがある。」
「やめてー!!」
「うわ!!」
「貴様!!」
「きゃ!!」
「このわしに歯向かうなんぞ、100年早いわ」
『テレポート』
「ほう…結界の中で魔法を使うか、しかし、もう魔力はないはず」
『パラライズ』
「くっ…まだ魔力が残っていたか。しかし、この程度の魔力はわしには効かぬ」
『サイコキネシス』
「フン!!そんな魔法が効くか」
パリン!!
「な…なんだ?うわ~目…目がぎ…ゃぁああああ…目…目が…」
バタバタバタ
「司祭様!!」
「貴様!!司祭様に何をした!!」
「目が…目が…」
「お前は司祭様を守れ、早くヒールだ!!」
「目が…目が…」
俺は、これを聞いて呆れているとブライアンも既に知っているのか、うなずいている。
「これでお分かり頂けたでしょうか」
「これが事実であれば、ドミニク司教の報告は信ぴょう性に欠ける」
すると彼女は笑顔で
「それでは、王都クラリスへ入城していただけますか?」
「どういうことだ?」
「それは、ニセ聖女はいなかったことを証明する為です」
「わかりました」
こうして我々は入場後、国王へ謁見、ドミニク司祭は婦女暴行未遂で投獄されていることが判明、俺が話を聞きに行くと
「あれはニセ聖女だ。魔王の手先だ」
「ドミニク司教、我々はあなたがあの女性を襲おうとした事実を知っている」
「な…何を言っておるのだ!!どこにそんな証拠が」
俺はさっきの録音データをドミニクに聞かせた
「それは偽造だ!!」
「この録音は鑑定済みだ。言っている意味は分かるよな」
「う…」
俺は、教会へ報告の使者を送った。そして、答えはエターナルは無実、ドミニクの処分は追って伝えるという内容であった。
こうして、エターナルで起きたニセ聖女問題は解決し、聖騎士団は教会に戻っていった。
しかし、教会に戻った俺達に放たれた言葉は
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