いきなり婚約破棄されたので、聖女になって人助けをします。

Seabolt

文字の大きさ
上 下
44 / 69

――月は東に

しおりを挟む

「いきなりに大所帯となってしまいました」

ここは玉座、私は、王様の前で思いっきりの笑顔を作って報告をした。もちろん、私の後ろには20人の騎士が膝をついて、王様に忠誠を誓っている。

名もなきネモ騎士団…其方たちの忠誠を認め、聖女の護衛の任につかせる」

「ははー!!剣は王の為に」

口ではそう言っているが顔は引きっつっている。それもそのはず、20人の出所を知っているからだ。しかし、それを言葉に出すこともできないでいるのはわかっていることがその原因なんだけどね。

これでとりあえず儀式的なものは終わり、彼らは私の正式な部下として認められたんだけど、普段は影の存在なので、当然、存在自体も極秘扱いとなっている。

さてと、今日は、いつもの治療室で治療をしていた。

***

―――話は教会本部に変わる。

「大司祭様、クラリス率いる騎士団が偽聖女暗殺に失敗しました」

「そうか…あのクラリスが失敗したか」

「はい…」

「では、次の刺客を用意せねば」

「御意」

こうして、私への第3の刺客が放たれようとしていた。


***

今、治療室にいます。しかし、なんでこの人たちが来ているのだろう。それは王子様、クラウス様、レオン様が来ていて、私の仕事の邪魔をしている。

「フリージア…お茶…冷たいやつ」

ここは喫茶店か?と突っ込みたいんだけど、王子様がそんなことを言っているものだから、誰も文句が言えない。だから、さっきまでは、私の部屋の前で待っていた方々はいつの間にかいなくなっていた。

「王子様…これをどうぞ」

「うむ…」

もちろん、クラウス様とレオン様にもお出ししたんだけど、

「これ毒入っていないよね」

「クラウス様!!そんなの入れるわ訳ありません」

するとレオン様が

「クラウス…フリージアにそんな頭があるはずないよ」

「そうかな~」

「そうだよ…いきなり大火力のファイヤーボールで5キロ四方を吹っ飛ばす奴がそんな細かい芸当ができるはずないよ」

するとクラウス様も納得したようで

「ハハハ…確かにそうだね…レンジヒールなんて、大雑把な技で治療する人だもんね」

う…何かものすごく貶されているような気がするんだけど、この腹黒レオンめ…と思っているとニヤリとしてやったりの顔をしている。腹の立つ~と思っていると王子様が

「ここへ来たのは他でもない。実は最近、首都、クラリスから西側にあるシュヴァルツヴァルトの様子がおかしい、時折、近くの村に魔物が出てくるらしいと聞いているんだ」

「それはどういうことですか?」

「我々は、シュヴァルツヴァルトに近い村であるデルフリ村へ行くことになったのだ」

「ということは」

「予想通り、フリージアにも同行して頂こうかと」

「けど…王様は」

「そこが問題なのだ」

「ちょっと待って…王様の了解を得ていないのですか?」

「実は俺たちが調査隊で行くことすら了解を得ていないのだ」

呆れた話。こんな話にはついていけない。

「それでは、王子様達、そろそろお時間ですので」

「どういう意味だ。えっ?」

『サイコキネシス』

王子様たちは、ふわりと宙に浮いた。そして、そのままドア側へ浮かんで移動している

「待ってくれ!!まだ話はおわっていない」

『サイコキネシス』

ドアを開けてそのまま廊下へ追い出したのだった。

「待ってくれ!!」

「ごきげんよう」

ぱたん…ドアを閉めてほっとしているとドアをノックする音がした。

「はーい」

するとそこには王様の使者がやってきていたのだった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】ゲーム転生、死んだ彼女がそこにいた〜死亡フラグから救えるのは俺しかいない〜

たけのこ
ファンタジー
恋人だったミナエが死んでしまった。葬式から部屋に戻ると、俺はすぐにシミュレーションRPG「ハッピーロード」の電源を入れた。このゲーム、なぜかヒロインのローラ姫が絶対に死ぬストーリーになっている。世界中のゲーマーがローラ姫の死なない道を見つけようとしているが、未だそれを達成したものはいない。そんなゲームに、気がつけば俺は転生していた。しかも、生まれ変わった俺の姿は、盗賊団の下っ端ゴブリンだった。俺は、ゲームの運命に抗いながら、なんとかこの世界で生き延び、死の運命にあるローラ姫を救おうとする。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろうでも公開しています。 2025年1月18日、内容を一部修正しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

処理中です...