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――月は東に
しおりを挟む「いきなりに大所帯となってしまいました」
ここは玉座、私は、王様の前で思いっきりの笑顔を作って報告をした。もちろん、私の後ろには20人の騎士が膝をついて、王様に忠誠を誓っている。
「名もなき騎士団…其方たちの忠誠を認め、聖女の護衛の任につかせる」
「ははー!!剣は王の為に」
口ではそう言っているが顔は引きっつっている。それもそのはず、20人の出所を知っているからだ。しかし、それを言葉に出すこともできないでいるのはわかっていることがその原因なんだけどね。
これでとりあえず儀式的なものは終わり、彼らは私の正式な部下として認められたんだけど、普段は影の存在なので、当然、存在自体も極秘扱いとなっている。
さてと、今日は、いつもの治療室で治療をしていた。
***
―――話は教会本部に変わる。
「大司祭様、クラリス率いる騎士団が偽聖女暗殺に失敗しました」
「そうか…あのクラリスが失敗したか」
「はい…」
「では、次の刺客を用意せねば」
「御意」
こうして、私への第3の刺客が放たれようとしていた。
***
今、治療室にいます。しかし、なんでこの人たちが来ているのだろう。それは王子様、クラウス様、レオン様が来ていて、私の仕事の邪魔をしている。
「フリージア…お茶…冷たいやつ」
ここは喫茶店か?と突っ込みたいんだけど、王子様がそんなことを言っているものだから、誰も文句が言えない。だから、さっきまでは、私の部屋の前で待っていた方々はいつの間にかいなくなっていた。
「王子様…これをどうぞ」
「うむ…」
もちろん、クラウス様とレオン様にもお出ししたんだけど、
「これ毒入っていないよね」
「クラウス様!!そんなの入れるわ訳ありません」
するとレオン様が
「クラウス…フリージアにそんな頭があるはずないよ」
「そうかな~」
「そうだよ…いきなり大火力のファイヤーボールで5キロ四方を吹っ飛ばす奴がそんな細かい芸当ができるはずないよ」
するとクラウス様も納得したようで
「ハハハ…確かにそうだね…レンジヒールなんて、大雑把な技で治療する人だもんね」
う…何かものすごく貶されているような気がするんだけど、この腹黒レオンめ…と思っているとニヤリとしてやったりの顔をしている。腹の立つ~と思っていると王子様が
「ここへ来たのは他でもない。実は最近、首都、クラリスから西側にあるシュヴァルツヴァルトの様子がおかしい、時折、近くの村に魔物が出てくるらしいと聞いているんだ」
「それはどういうことですか?」
「我々は、シュヴァルツヴァルトに近い村であるデルフリ村へ行くことになったのだ」
「ということは」
「予想通り、フリージアにも同行して頂こうかと」
「けど…王様は」
「そこが問題なのだ」
「ちょっと待って…王様の了解を得ていないのですか?」
「実は俺たちが調査隊で行くことすら了解を得ていないのだ」
呆れた話。こんな話にはついていけない。
「それでは、王子様達、そろそろお時間ですので」
「どういう意味だ。えっ?」
『サイコキネシス』
王子様たちは、ふわりと宙に浮いた。そして、そのままドア側へ浮かんで移動している
「待ってくれ!!まだ話はおわっていない」
『サイコキネシス』
ドアを開けてそのまま廊下へ追い出したのだった。
「待ってくれ!!」
「ごきげんよう」
ぱたん…ドアを閉めてほっとしているとドアをノックする音がした。
「はーい」
するとそこには王様の使者がやってきていたのだった。
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