いきなり婚約破棄されたので、聖女になって人助けをします。

Seabolt

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――王都に戻ると

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総勢3万の大軍を撃破せん滅した私は、王宮の治療室に隠れいる。実は、あの後、大騒ぎになったのは言うまでもない。

「王子様!!全員生き返りました」

鎮魂の儀式を執り行っている私が呪文を間違えたせいで、死んでいたはずのすべての兵が蘇ったのだった。その状況を目の当たりにした、王子様は私を睨んでいる。そして、マーリン様も、その一方で、兵士たちはその奇跡に歓喜の声を上げていた。

「聖女様!!万歳!!ばんざーい!!ばんざーい」

「わかっている。フリージアなんてことをしてくれたんだ」

「だって…緊張していて、みんなもあんなことを言うから、呪文は忘れて…」

「言い訳はそれだけか」

「はい…すみません」

「何をあやまっている」

「へ?」

「ありがとう」

「へ?」

「よくやってくれた」

絶対に怒られると思っていた私、褒められるなんて思ってもみなかったものだから、力が抜けてへたり込んだ。そんな私を支えてくれたのは何を隠そう、王子様だった。

「おっと…」

そして、私をいとも簡単にお姫様抱っこをして

「聖女様は、お疲れの様だ。本来ならば、ここで祝杯を挙げたいところだが、王都に戻ってから祝杯は行う。今日は、ゆっくりと休むがいい」

私は、王子様にお姫様抱っこをされたまま、テントに連れ込まれた。ということは、このまま襲われて、あんなこと?こんなことされるのだろうかと悶々としていると、ベットに私を置いて

「今日の活躍、本当にご苦労であった」

王子様はじっと私を見つめていたんだけと、我に戻られた。

「その前にしないといけないことがある」

そう言い残して私を置いて行ってしまった。

***

王都について、その歓迎ぶりはすさまじいものだった。3万の大軍を損害ゼロで打ち破ったのだから、それは、国民達は熱狂した。しかも、私の出発を見ていたものだから

「聖女様!!ばんざーい!!」

「流石、聖女様、兵士全員の傷をいやすなんて」

一応、私が聖女として、兵士の傷をいやしたことで、死亡者ゼロになったとなっている。それはいいんだけど、蘇生の件については、他言無用、それはそうだろう。そんなことわかったらみんな私のところに蘇生をお願いしに来るに間違いないのだから、王子様達の配慮でここにいるんだけど、

「フリージア、俺と結婚してほしい?」

何故か、毎日、結婚を申し込みに来る方がいる。しかし、その瞬間、ドクターワトソンの真空跳び膝蹴りをくらわされた上、メモリーイレイザーを掛けられ、治療室の外へ追い出されていったのだった。
更に大変なのは、私の実家、ドラボール家、そこには、これまで見向きもされなかった上流貴族からの見合い話が次々と舞い込んできている。
しかし、あの両親のことだパニックになって、オロオロとしているに違いない。丁度、実家の偵察に出ていたライデンが戻ってきた。

「フリージア様、ご実家ですが、以前のような怪しい奴はおりませんが、毎日のように貴族たちがやってきて、あなた様のご両親にお会いになっております」

「それで。様子は?」

「あまりにも緊張なさって、まともな会話ができていないようです」

「やっぱり」

「はい、フリージア様の御想像の通りで、全く話にならないご両親に呆れて帰っているそうです」

時にはしどろもどろに話をして全く会話が成り立たないと思えば、ある時にはお母様が緊張のあまり泡を噴いて気絶と器用なことをやっているらしい。

「わかったわ」

話が終わるとライデンは姿を消した。しかし、次の瞬間、一人の女性が私の部屋に入ってきた。

「あなたにはわたさないわ?」

「はい?」

「ビンセント家の名誉にかけて。オリバーは絶対にわたさないから」

「あの~私はオリバーには興味がないので、安心してください」

バシ!!

「痛い!!」

いきなり頬を叩かれた。彼女の目は怒り狂っている。

「そうやって、オリバーをたぶらかしているのね!!」

「私は何もしてませんが」

バシ!!っとビンタする手を受け止めると憎しみの目で私を睨んでいる。

「いくら聖女様でも、人の婚約者を横取りするなんて、ありえないわ?」

どの口がその言葉を発しているの?と突っ込みたいところなんだけど、私にとって、オリバーはどうでもいい存在、しかし、このまま、逆恨みされるのもよくない、

「あの~グレース様!!」

「何よ!!オリバーが婚約破棄を言ってきたのよ」

何とびっくり。あのオリバーってやっぱり最低ヤローなんだ。と私は決めつけた。

「グレース様、私は、修行の身です。ましてや、聖女の修行中なのです。男子禁制はもちろん絶対なことなんですよ。ですから、ご安心くださいませ。確実にオリバーは私のことを諦めます。いえ、諦めさせます。そして、グレース様のもとへ戻られますので」

「信じられないわ」

するとドクターワトソンが私に耳打ちをらしてきた。

「えつ?本当ですか?」

私が驚いている光景を見ていたグレース様は

「あの~」

「よろしければ、少しそこへ隠れて置いて頂けませんか?」

「なぜですの?」

「今から面白いものが見れますから」

こうして、グレース様が身を隠されたころに、一人の男性が入ってきた。しかも、オリバーだ

「フリージア…俺が悪かった…俺と…どぁああああ!!」

彼が言わんとしたことを察したドクターワトソンは、真空跳び膝蹴りを食らわせた。そして、その場でアホ顔で気絶したのを確認して、グレース様を呼んだ。

「これから彼の記憶から私に対する思いを消します」

「そんなことできますの?」

「ええ、それでは」

『メモリーイレイザー!!』

そして、目を覚ましたオリバーは不思議そうに考えている。

「どうして俺はここに?」

するとグレース様が

「オリバー、心配しましたわ!転倒して気を失って、直ぐに聖女様に見て頂いた方が良いと言われて、私がお連れしたの」

「そうか、わるかったな」

こうして二人は仲良く帰っていった。後は知~らないっと

一方、ドクターワトソンは

「ふー!!一体、何人来るんだ?」受付に、フリージア様は休みと伝えろ」

そして、祝勝パーティーの日がやってきたのだった。




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