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――魔導士コーエン
しおりを挟む一体何が起きているのだ?魔導士コーエンは考えていた。ドラボール家に放った密偵が全て帰ってこない。密偵と言っても、彼が魔力で作り出したものだ。
「なぜ戻ってこないんだ?」
彼の能力には、遠隔視がないため、確認はできないでいる。しかも、お金で雇った密偵もろくな報告をしない。
「記憶をコントロールされているにちがいない」
しかし、それを試す手段がないのだ。一応、フリージアがいる治療室にも密偵をだしているが、ここ数日、彼女が帰宅した形跡はない。
「一体どうなっているんだ?」
彼は知らなかった。ライデンがいることを
「どうした?コーエン」
「ロイド様、実は、ドラボール家に放った密偵が戻って来ぬのだ」
「それはどういうことだ?密偵が戻ってこないということは、あの作戦ができぬではないか」
あの作戦、それはドラボール家に謀反の疑いをかけることで、そこの娘フリージアと彼女の師匠をしているマーリンにも謀反の疑いを掛けさせるというものであった。しかし、密偵自体が帰って来ないだけでなく、ドラボール家についた時点で消息が途切れている。
「実は、密偵は、ドラボール家について直ぐに消滅している。相手は相当な魔力の持ち主だ」
「それは、マーリンなのでは?」
「相手がマーリンだったら、こんなに困惑はしていない」
「だったらだれだ?まさか、ドラボール家の娘とかいうのでは」
「それも違うのだ、二人のところには密偵がいて監視をしている。だから、違うことは確かなのだ。ただ」
「ただ…どうした?」
「俺が気づかないほどの魔力を持っていると言ことは、相当な魔力の持ち主だ」
「つまり、そんな奴がドラボール家にいるということか?」
「わかりませぬが、状況証拠からそういうことになります」
「そうか…では、そのような強い魔力を持っているものを王国に報告しないこと自体が謀反の疑いがあるという証拠にしてはどうか?」
「確かに、その方がこちらの手を汚すことなくできますな」
「だったら、その者が誰であるか、早急につきとめよ」
「は!!」
しかし、いくら能力が高い魔導士ととは言え、相手は魔将軍見つかるはずもなく、ただ、無駄に時間が過ぎていくのであった。
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