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ーービンセント家

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ロイド=ビンセントは溜息をついていた。ドラボール家に行かせたオリバー

「フリージアは聖女ではなかったので、妾にするのは辞めました。グレースに大切にしたいですから」

俺はドラボール家の娘を妾にして来いと指示したはず、しかも俺から反論されない為に娘のグレースのことも絡めて報告しやがって、

「お父様、聖女でなければ、あんな中流の娘を我が夫の妾にするなんて、私のプライドが許しませんわ」

そうだろ。俺がそう育てたんだから、オリバーって奴、変な所だけ頭が回る使えない奴だ。例え聖女でなくてもあの女、マーリンの弟子になっていると言うことは、相当な魔力を持っているに違いない。魔導士コーエンもあの日強力な魔力を感じていたと聞く、少なくとも魔力を持つ者には違いない、自分の地位を保つ為、魔力を持つ者はいくらいても足りないことはない。はっきり言って欲しかったが遅かったか。
するとコーエンが部屋にやって来たので話を聞くことにした。

「ロイド様、報告がございます」

「どうした、コーエン」

「ドラボール家でまた強力な魔力を感知した」

「なに?」

また、ドラボール家か、あそこに何があるというのだ。

「それでその魔力源はどうなった」

「今回は二つの魔力を感知、一つはあのドラボール家の娘と思うが、もう一つはよくわからん」

「それはどういうことだ?」

「もう一つの魔力は、マーリンの家で消えた。多分、そこで魔力を消している」

「するとマーリンの所には、強力な魔力を持った者が二人いるということだな」

「その通り」

王宮筆頭魔導士の力が増えることは、あまり好ましくない。ただ、マーリンは権力欲がないことが唯一の救いだが、油断は禁物だ。などとロイドが頭を抱えている横で、コーエンは

「ロイド様、これは、マーリンに謀反の疑いを掛けさせる絶好の機会なのでは」

その言葉を聞いて、はっと気が付く、ドラボール家も併せて葬り去ることができることに

「コーエン、ドラボール家を見張るように」

「はっ!!」


***

フン!!

「あと10回」

「くー腹筋がバリバリに痛い!」

王様は必死に体を鍛えていた。トレーニングの後はシャワーを浴びて清潔にしていた。

鏡に映る自分の姿を見て、

「もうちょっとだな」

一人納得をしている。そして、最近は自分が設立した孤児院へ向かった。

「王様~!!」

「おお!!みんな元気だったかな」

「はーい」

かわいい女の子たちの声がした。そして、管理をしている女性が現れ

「もう…みんな王様のことが大好きで」

「ほほほ…そうか」

「王様…いい匂いがする」

「そうか…そうか」

「また、一緒にお風呂に入りたい」

などと、無邪気な声がしていたのだった。

よしよし、これで王女と仲良く出来るかも

***

一方、王女様はというと

「聖女様はお兄さまに手を出さないって約束をされた。お兄さまはわたしのものよ」


***

一方、王子様はというと

フリージアは俺に興味がないとは、と落ち込んでいたのだった


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