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――王女様

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最近は、騎士たちだけでなく王宮職員まで来ている。これも魔法の訓練、だから、全ての人を診ている。特にこの日は、女の子がやって来た。しかも、かなり高貴な感じの服を着ているし、おまけにきりりとした眼鏡をしているロッテンマイヤーさんみたいな感じの生真面目そうな侍女までついてきている。と言ことは王族の方なのかもしれない。しかし、ケガをしている様子ではなさそうだし、何か病を患っている感じでもない。
ただ、ため息をついて、気が重そうな感じだった。

「あの~」

私が話しかけると侍女が間に入ってきて

「オリビア王女様になれなれしく話しかけないでくださる!!」

おっといきなり横からこんなことを言われてしまった。するとオリビア様は

「ジェシカ…聖女様になんてことを」

「あ…すみません」

そう謝っても私のことを睨んでいる。こわ~!!

「すみません。王女様…お体の具合はいかがですか?」

すると侍女のジェシカが大げさに心配している感じで

「はぁ~実は王女様は、食欲がなくて、話を聞くとなんとなく体がだるいといわれて…ひょっとして、どこかお体が悪くなったのではと心配で、心配で、私の心臓は張り裂けそうです」

この人本気で言っているのかな?と思ってしまうくらい大げさなんだけど、ちょっといたずらをした。

「本当ですか?どれどれ?」

左のおっぱいをモミモミと揉んであげた。

「あん!!やあん!!」

真面目そうな顔からは思えない声をあげたんで、目の前の王女様もびっくりして目をクリクリとさせていた。そのことに気付いたジェシカはコホンと咳ばらいをして

「失礼しました」

そして、私を睨んでいる。めっちゃ怒っていそうで怖い。さてと本題だ。

「王女様。もう一度、伺います。お体で何か気がかりなことはありますか?」

「あ…えっ…と」

今度はしどろもどろになって話をしようとしないし、時々、侍女の方を見ている。ということは、侍女がいると何か言いたくないのだろうか。

「ジェシカさん。すみませんが席をはずしてい頂けないですか」

「は?なぜ私が」

「すみませんが、これから治療にあたりますので、魔法をつかいます」

「何言っているの?私がいると邪魔というの?」

「そうではないです。ただ、治療に集中したいので、どうか席を外して頂けないでしょうか」

「ま…そこまで言うなら」

ようやく侍女のジェシカは部屋の外に出て行ってくれた。さてと、問題は王女様ね。一体何を隠していらっしゃることかしら

「王女様。王女様のお体で何か気がかりなことはありますか?」

「あ…あの…最近、お兄さまが心ここにあらずと言った感じになって…、私とお話をされる時も上の空になっていて…そんなお兄さまを見ていると胸がぐっと締め付けられて…」

これって恋煩いってやつかしら、けど、相手はお兄さまって、近親相姦??って思わず焦ってしまった。けど、記憶がない私、こんなことを思い出して一人萌ているのだろう。そう思いつつ

「あの~王女様…ひょっとして、お兄さまが好きなの」

すると皇女様は、黙って顔を真っ赤に染めて俯いでしまった。


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