婚約破棄されたので悪女として生きようとしたら皇太子様に溺愛されています

Seabolt

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婚約破棄って

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「ラインバッハ。貴殿は、このまま俺と決闘するのか」

「あ…いや…その」

殿下の気迫に押され、二の句が出ないシリカ。まともに言葉を発することすらできないでいる。そんな彼に殿下は追い打ちをかける。


「どうする?」

シリカの顔は青ざめ、額から汗がでている。心なしか前進震えていて、時々視線を私に向けるが、直ぐに殿下の方を見る。挙動不審とはこのことを言うのだろう。

「どうした?答えないのか?このまま決闘をするのか」

「あ…だから…」

そこまで言ってそのあとの言葉がよく聞こえない。

「ス…すみましぇん」

かんだ?そこにいる。全員がそう思った。

「わだじが悪かったです。でしゅからお許しを…」

またかんだ…すると殿下が

「俺もそこまで鬼じゃない」

思わず顔を上げたシリカに殿下は残酷なことを言った。



「すみませんでした。二度とこのようなことは致しません」

シリカは殿下の前で土下座をして謝っているんだけど、殿下はというと、婚約者であるアテナもいるというのに私を抱きしめている。

「そうか…今回だけは許してやる。しかし、二度目はないぞ」

「ありがとうございます」

すると殿下はエリーゼの方を見ると、エリーゼは、先程、私に見せた時のようなビクビクした雰囲気はなかった。と言うより何か変、スッキリした表情をしている。ふふふと笑みを浮かべ、アテナにべったりとくっついている。

この状況、シリカ、エリーゼは完全にアウトなはず、あの時、エリーゼは、平民になっても、シリカと付き合いたいと言っていたんだけど、様子がおかしい。

「ところで…エリーゼ、君はどうするつもりだ」

そこへ、アテナ様がやってきて、殿下に深々と頭を下げた。

「殿下、申し訳ございません。妹は私から重々申し付けておきます」


「殿下、申し訳ございませんでした。私もこのような尻軽男とは知らずに、舞い上がっておりました。二度とこのようなことがないように、いたしますので、どうかお許しください」

「そうか。わかった」

「殿下、ありがとうございます」

とそこまではいいのだが、この状況は、どう考えてもおかしい。アテナが怒っているに違いないはずなんだけど、二人で腕を組んで怒っている様子は全くない。アテナとエリーゼはべったりとくっついて笑みを浮かべている一方、私は殿下に抱きしめられていた。



「殿下…」

「ん?どうした?」

「殿下、そろそろ…」

「ジャンヌは、体調がすぐれないようだな」

全く体調は大丈夫なんですけど、という前にヒョイッとお姫さま抱っこをされてしまった。

「ヒェエエエ」(心の叫び声)

「さぞ疲れただろう。彼女を別室に連れていく、お茶会はそのまま続けるように、あ…そうだ、ラインバッハ、君はもう帰っていいから」

こうして、私は、殿下にお姫さま抱っこをされた状態で別室に連れて行かれたのだった。


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