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皇太子様登場
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「これはなんの騒ぎだと聞いている」
皇太子殿下の登場にそれまで私を嘲笑っていた雰囲気は緊張へと変わった。
殿下は私とシリカが対峙している所までこられて、
「何が起きたんだ。説明しろ」
シリカ=ラインバッハの顔は硬直し、横にいるエリーゼに「殿下はみかたのはずでは?」とつぶやいている。
殿下は、ラインバッハを指差し
「どう言うことだと聞いているんだ。答えろ!!」
「あの…こ…これは…」
ラインバッハは、言葉に詰まって、何を言っているのかわからない。すると、殿下は、私の方を見ている。というより明らかに合図を送っている。
「これは、ロバート皇太子殿下、お見苦しい所をお見せしまして、誠に申し訳ございませんでした。私、ジャンヌ=ローズと申します」
丁寧に挨拶をすると殿下は「うむ続けよ」とおっしゃった。
「実は、私、婚約者に、この場で婚約破棄を言い渡されまして…更に決闘まで、申し込まれ困惑しているところです」
「そうか」
そう言った殿下が、床に落ちていた手袋を拾うと周りが驚愕した。
「この安物の手袋が決闘を申し込んだ証拠か」
殿下に睨まれたシリカは
「あっ、いや、その、これは」
「君はこんな幼い女の子との婚約を破棄した上に、決闘まで申し込んだのか?」
なんか私、殿下にディスられているような。
「そ、それは、こいつが殿下の義理の妹になる方を虐めたから」
「本当なのか?それは」
殿下は私の方を見ている。
「いいえ、私は虐めなどしておりません」
私の答えにシリカはすぐに反論した。
「ジャンヌ、貴様、まだ、嘘をつくか!この間のお茶会で、アテナ様に土下座をさせたと聞いたぞ」
「それこそシリカが流したデマですわ」
「どこに俺がデマを流したと言う証拠はあるのだ」
明らかに開き直っている。
「そうか、それで決闘ということに、しかし、俺がアテナから聞いた話と全く異なるが」
「えっ、そ、それは」
「アテナからは土下座したとは聞いていない」
「あっ、いや、その」
「つまり、君が嘘を言っていることになるのだが、どう言うことだ?」
「あっ、いや私も土下座させたと聞いただけで…」
「君は、人から聞いた話で自分の婚約者を捨て、陥れ、決闘までするような人間なのか」
「あ…そ…それは、私は真実の愛を知ったからで…」
「ほう…先程も彼女のことを背が低くて胸もツルペタとか言っていたではないか、真実の愛に目覚めた人間がいう言葉ではない。それにこれは完全なセクハラだ!!」
「くっ!!」
そうおっしゃっている殿下も、セクハラではないのでしょうかと言う疑問が湧いてきた時
「かわいそうに」
そう呟いた殿下は私を抱きしめたのだった。そして、シリカに向かって拾い上げた手袋を投げつけた。
「この決闘、俺が引き受けた。いいなジャンヌ」
―――ええーっ!!うそ!!
流石に決闘までは殿下には、と思っていても、抱きしめられ身動きが取れない私に、「認めると言え」と抱きしめたから何らかの力がかかり、口が勝手に動いた。
「はい。認めます」
「ラインバッハ、君はどうする?」
シリカは青ざめた表情で立ち尽くしている。
これは、想定外というよりシナリオにない!!実は、ここで、殿下がこの場を見事に調停する。そして、私は、婚約破棄になるがその後の事は、殿下に助けて頂くというシナリオのはずだったのだ。
―――数か月前
私のところにロバート皇太子殿下の使いの方が来られたのは、秋の園遊会があった翌日だった。アストリア王立アカデミーの卒業を控えたこの時期に一体何の知らせかと思うと殿下が指定した部屋へ行くようにとのことだった。断ることが出来ない私は当然、殿下の部屋にいくと、殿下は人払いをした。
これって超マズイ。この部屋には殿下と私だけになってしまった。
すると
「可愛い」
「へ?」
殿下の不思議な言葉と顔を抑える動作に私の方が困惑していると
「いや…なんでもない。アテナこちらへ」
アテナと共に美人姉妹として有名になっている妹がそこにいた。妹もアテナと同様、巨乳を除くスタイルはモデル並みで顔はアテナに似て超美人と来ている。なんて、この世は理不尽なんだろう。せめて身長だけでも私にわけてほしいものだ。二人きりでないことに安堵した私は変なことを考えていると
「話はなんだが、君には婚約者と別れて欲しい」
「は?」
いきなり、婚約者と別れろと言われても、戸惑う私に対して顔はマジになっている。
「だから、君には婚約者と別れてほしい」
二度も言う?私は反撃に出た。例え婚約相手の爵位が下の位であろうと婚約を破棄されたら、私の将来は絶望的になる。貴族社会において女は男に食べさせてもらわないと生きて行けないのだ。
「それは困ります」
「確かに困るだろう。しかし、アテナの妹が君の婚約者に一目ぼれしたそうだ。妹思いのアテナのお願いだ」
婚約者からのお願いだと~!!そんなお願いは聞けるはずはない。
「む…無理です。いくら殿下のお願いでも、家同士の決め事を私が勝手に破棄できませんわ」
うんうんと頷いているところを見ると私の意見は無視されると言うことよね。
「君のご両親からは既に了承をえている」
「はぃいいい?」
思わず声が上擦ってしまった。
「だから、既に君の婚約破棄は、確定いている」
「ちょっと待て~」
そこまで言ったはいいが二の句が出てこないし、その場に変な空気が流れたかと思うと、殿下は
「ぷっ、はははは、やはり、君は面白いよ、ははははは」
私を抱きしめて笑い始めた。一体、何がおきている?ふと、アテナ様の視線が怖いんですけど。
「殿下」
「いけない。つい」
"つい"で殿下は、面白い女の子を抱きしめるんかい。とここまで出かけたけど、ぐっと我慢して、
「婚約破棄された私はどうなるのでしょうか」
「私も一国の皇太子、君のことは私が責任を持って、対処する」
こうして今に至るのだが、決闘騒ぎと殿下が私を抱きしめている。こららの想定外の状況に私は戸惑っている。
皇太子殿下の登場にそれまで私を嘲笑っていた雰囲気は緊張へと変わった。
殿下は私とシリカが対峙している所までこられて、
「何が起きたんだ。説明しろ」
シリカ=ラインバッハの顔は硬直し、横にいるエリーゼに「殿下はみかたのはずでは?」とつぶやいている。
殿下は、ラインバッハを指差し
「どう言うことだと聞いているんだ。答えろ!!」
「あの…こ…これは…」
ラインバッハは、言葉に詰まって、何を言っているのかわからない。すると、殿下は、私の方を見ている。というより明らかに合図を送っている。
「これは、ロバート皇太子殿下、お見苦しい所をお見せしまして、誠に申し訳ございませんでした。私、ジャンヌ=ローズと申します」
丁寧に挨拶をすると殿下は「うむ続けよ」とおっしゃった。
「実は、私、婚約者に、この場で婚約破棄を言い渡されまして…更に決闘まで、申し込まれ困惑しているところです」
「そうか」
そう言った殿下が、床に落ちていた手袋を拾うと周りが驚愕した。
「この安物の手袋が決闘を申し込んだ証拠か」
殿下に睨まれたシリカは
「あっ、いや、その、これは」
「君はこんな幼い女の子との婚約を破棄した上に、決闘まで申し込んだのか?」
なんか私、殿下にディスられているような。
「そ、それは、こいつが殿下の義理の妹になる方を虐めたから」
「本当なのか?それは」
殿下は私の方を見ている。
「いいえ、私は虐めなどしておりません」
私の答えにシリカはすぐに反論した。
「ジャンヌ、貴様、まだ、嘘をつくか!この間のお茶会で、アテナ様に土下座をさせたと聞いたぞ」
「それこそシリカが流したデマですわ」
「どこに俺がデマを流したと言う証拠はあるのだ」
明らかに開き直っている。
「そうか、それで決闘ということに、しかし、俺がアテナから聞いた話と全く異なるが」
「えっ、そ、それは」
「アテナからは土下座したとは聞いていない」
「あっ、いや、その」
「つまり、君が嘘を言っていることになるのだが、どう言うことだ?」
「あっ、いや私も土下座させたと聞いただけで…」
「君は、人から聞いた話で自分の婚約者を捨て、陥れ、決闘までするような人間なのか」
「あ…そ…それは、私は真実の愛を知ったからで…」
「ほう…先程も彼女のことを背が低くて胸もツルペタとか言っていたではないか、真実の愛に目覚めた人間がいう言葉ではない。それにこれは完全なセクハラだ!!」
「くっ!!」
そうおっしゃっている殿下も、セクハラではないのでしょうかと言う疑問が湧いてきた時
「かわいそうに」
そう呟いた殿下は私を抱きしめたのだった。そして、シリカに向かって拾い上げた手袋を投げつけた。
「この決闘、俺が引き受けた。いいなジャンヌ」
―――ええーっ!!うそ!!
流石に決闘までは殿下には、と思っていても、抱きしめられ身動きが取れない私に、「認めると言え」と抱きしめたから何らかの力がかかり、口が勝手に動いた。
「はい。認めます」
「ラインバッハ、君はどうする?」
シリカは青ざめた表情で立ち尽くしている。
これは、想定外というよりシナリオにない!!実は、ここで、殿下がこの場を見事に調停する。そして、私は、婚約破棄になるがその後の事は、殿下に助けて頂くというシナリオのはずだったのだ。
―――数か月前
私のところにロバート皇太子殿下の使いの方が来られたのは、秋の園遊会があった翌日だった。アストリア王立アカデミーの卒業を控えたこの時期に一体何の知らせかと思うと殿下が指定した部屋へ行くようにとのことだった。断ることが出来ない私は当然、殿下の部屋にいくと、殿下は人払いをした。
これって超マズイ。この部屋には殿下と私だけになってしまった。
すると
「可愛い」
「へ?」
殿下の不思議な言葉と顔を抑える動作に私の方が困惑していると
「いや…なんでもない。アテナこちらへ」
アテナと共に美人姉妹として有名になっている妹がそこにいた。妹もアテナと同様、巨乳を除くスタイルはモデル並みで顔はアテナに似て超美人と来ている。なんて、この世は理不尽なんだろう。せめて身長だけでも私にわけてほしいものだ。二人きりでないことに安堵した私は変なことを考えていると
「話はなんだが、君には婚約者と別れて欲しい」
「は?」
いきなり、婚約者と別れろと言われても、戸惑う私に対して顔はマジになっている。
「だから、君には婚約者と別れてほしい」
二度も言う?私は反撃に出た。例え婚約相手の爵位が下の位であろうと婚約を破棄されたら、私の将来は絶望的になる。貴族社会において女は男に食べさせてもらわないと生きて行けないのだ。
「それは困ります」
「確かに困るだろう。しかし、アテナの妹が君の婚約者に一目ぼれしたそうだ。妹思いのアテナのお願いだ」
婚約者からのお願いだと~!!そんなお願いは聞けるはずはない。
「む…無理です。いくら殿下のお願いでも、家同士の決め事を私が勝手に破棄できませんわ」
うんうんと頷いているところを見ると私の意見は無視されると言うことよね。
「君のご両親からは既に了承をえている」
「はぃいいい?」
思わず声が上擦ってしまった。
「だから、既に君の婚約破棄は、確定いている」
「ちょっと待て~」
そこまで言ったはいいが二の句が出てこないし、その場に変な空気が流れたかと思うと、殿下は
「ぷっ、はははは、やはり、君は面白いよ、ははははは」
私を抱きしめて笑い始めた。一体、何がおきている?ふと、アテナ様の視線が怖いんですけど。
「殿下」
「いけない。つい」
"つい"で殿下は、面白い女の子を抱きしめるんかい。とここまで出かけたけど、ぐっと我慢して、
「婚約破棄された私はどうなるのでしょうか」
「私も一国の皇太子、君のことは私が責任を持って、対処する」
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