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ふぁーすとみっしょん
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ディカッシュ率いる戦艦フェルナンデス自体も、かなりの損傷を受けていた。しかも、そこに、地球連合の夕月がいる。それが問題だった。国連の最高速力を誇っている戦艦夕月だが、フェルナンデスに比べるとかなり劣ることは確実だった。
それは、やはり主機の違いだった。E2連合はすでに、小型核融合炉から直接エネルギーを取り出すことに成功としていた。そのお陰で光速の7倍の速力を実現することが出来、亜空間転送装置の動力にも活用できることになっている。
しかし、それは、航海上での場合であって、いざ戦闘となると速力は、相対速力を維持しなければならない、いくら、電磁防御を駆使しているとは言え、敵艦と衝突したものなら、お互いに悲劇的な局面を迎えることとなるからだった。
だから、E2の艦隊は、その誇るべき性能にもかかわらず新地球帝国のPCによって、敗北してしまったのだった。
そんな実情をよく知っているディカッシュは、焦っていた。偵察舞台でよかったと安堵している暇はなかった。先程の戦闘で、真地球帝国は、我々の存在に気付いているに違いなかった、特に悪魔の流星、ミドルフが来たら確実にこの作戦は失敗するに違いなかった。
だからといって、何かいい手があるわけでもなかった。彼らの目の前には、足の遅い夕月と3機のPC、そして、戦艦 フェルナンデスしかない。しかも、夕月には民間人まで乗っている。そんな状態で、航海をすれば、必ず追いつかれ、最後には帝国によって、2隻の艦は、沈められてしまう。そんな焦りが募っていた。
一方、火星外周のアステロドベルトにおける戦艦の発見を聞いて、運が向いてきたとつぶやいたのは、何を隠そう、ミドルフだった。
「追跡を始める」
彼自身、真地球帝国の諸事情により、今回の火星沖会戦には、参加させてもらえなかったのだった。それは、彼が、前回の戦いで戦果を揚げすぎたことが原因だったのだった。だから、彼は、本隊から離れた、周辺地域での偵察及び防衛と言う任務についていた。そこへ、偵察PCから戦艦を発見したと言う報告を受けた。
しかし、彼には気になることがあった。その後、偵察部隊からの連絡がないことだった。
「とりあえず、出港しますので貴艦も、直ぐに出港準備をお願いします。」
挨拶も、そこそこに、若き士官に、対して、最初の一言だつた。しかし、若き士官は、ディカッシユの言葉を直ぐに理解した。
「わかりました。全艦、戦闘準備のまま、最大戦速へ」
その号令に、よって、ディカッシユは、この不幸な航海をせねばならなかった。
しかし彼の不安は的中した。
「PCが接近中、数、10基」
管制官悲鳴が、聞こえた、
遅かった。
これが、ディカッシユの、本音だつた。それを、吹き飛ばしのは、バイソンの活躍だつた。
そんなミドルフがPC発艦の準備をする為、艦橋を離れようとした時だった。ある通信が舞い込んできた。それは、ポロッソ軍曹からの連絡だった。彼の風貌は、髪の毛は、常に七三のポマード仕上げ、げじげじ眉毛、目は真ん丸く可愛いのだが、離れていて斜視、そして、口は大きく、しかも、軍の連中からはかなり不評な鼻下に海苔がついているようなちょび髭が彼のトレードマークだった。そんな彼だが前の戦役でミドルフと同等の戦果を揚げた人物でもあった。しかし、ミドルフ同様、この度の作戦かは外されていた。ただ、ミドルフとは違い現場上がりでもあり、直ぐに上司を怒らせると言う少し間抜けな所もあって、ミドルフは少尉になったのだが、彼は、なぜか軍曹と言う歴然の差が出ていた。
「ミドルフ少尉殿」
「ああ・・ポロッソ軍曹・・・いかがされた」
「自分は、敵艦を発見したのであります。ゆえに、これから攻撃を始めるのであります。」
ポロッソ軍曹の容姿からは想像もつかぬ甲高い声がミドルフの耳に入って来た。先を越された・・・それがミドルフが最初に思ったことだったが、どこか安堵している自分がそこにあった。
「そうか・・・じゃぁ・・・我々は、支援に回る」
そんな時だった。ポロッソ軍曹の悲鳴が聞こえ始めた
「ありがとうございます。これから敵の位置を・・・あれ?一隻・・方向をかえている・・・?・・・うわ~!!」
***
時を遡ること数分前・・・
旗艦フェルナンデスでは、鳴り響く警戒音に全ての戦士たちが凍りついた。しかし、ディカッシュだけは、ジッと目の前のレーダ画像を見ていた。
「て・・提督!!」
焦る副官を手で制し、やがて、レーダのある方位を指差した。こうしてディカッシュの神業と呼ばれる作戦の第2幕が始まった。
彼は、艦橋で号令を発した
「全砲門準備、進路変更、方位、右舷38°仰角上23°」
直ちに、砲撃長と航海長の号令が艦内に響いた。
「りょ・・・了解!!全砲門準備」
「進路変更、方位、右舷38°仰角上23°」
その直後であった。通信長が声をあげた。
「僚艦”夕月”より、伝令!!。PC発艦準備完了!!」
やるな・・ディカッシュが最初に思ったことだった。しかし、次の瞬間には
「夕月へ連絡!!本艦はこれから一斉砲撃をおこなう。PCは、発艦は待たれたし」
艦内に鳴り響く怒声!!それが一段落した途端だった。
「提督!!準備完了しました。」
その言葉を聞いた、ディカッシュは、パンと手を叩いた。
「よし!!攻撃開始!!」
こうして、フェルナンデスは使用可能な全砲門から敵PCに向かって、放たれた。
一方、一斉掃射をまともにくらったポロッソ軍曹は、必死にその攻撃を避けていた。
「わ~!!」
あの甲高い声がミドルフがいる艦内に響いた。
「ポロッソ軍曹!!どうされた!!」
すると、艦長がミドルフの肩を叩いて、宇宙のある場所を指差した。そこには、閃光が、流れる中、いくつかの爆発が発生していた。
「ミドルフ少尉!!!あれ!!」
ミドルフは、指を刺されたほうを見ると一斉掃射を必死に避けているポロッソの姿が目に入って来た。
「どういうことだ?直ぐに救援に行く!!」
そんな最中必死で避けているポロッソ軍曹
「ぅわ~!!わ!!あ・・・やられた!!クソっ!!て・・・ふ~!!おさまった・・・」
辺りを見回したポロッソ軍曹は、驚いた。PCは大半はやられ・・・動いているのは、3機だけ、しかも、それも無傷の機体はなかった。しかも、自分のはというと、左腕がない状態・・・よく爆発しなかったものだ・・・そして、後ろを見ると戦艦はなかった。
「えっ?・・・お・・・おわ~!!!」
目の前にあらわれた正体不明のPC、既に残り2機は破壊されていた。その攻撃を必死に避けるポロッソ軍曹だったが、左足を被弾した。
「まずい・・・」
その頃だったミドルフが到着したのは、
「ポロッソ!!大丈夫か!!」
その到着を機に、そのPCは、引き返していった。
「いかがなされます?ミドルフ少尉」
この状況を見て、直ぐには追撃は出来ないと判断したミドルフは、ポロッソのPCを引き上げ、自分の艦へもどった。
「何故、撤退しないと行けなかったのです!!」
彼女の金切り声が、船橋に響いた。それを、最初から判っていたかのように受け止めていた、ディカッシュの姿がそこにあった。その顔は、彼女と対照的にある種、笑みがこぼれていた。通常では考えられない光景に彼女な、更に切れた。
「なに笑っているんですか!!」
そう叫ぶ、彼女にディカッシュは、笑みを浮かべていたに違いない・・
「君たちの実力はわかっている。しかし、その実力は、次の機会までおいておく必要がある」
彼の一言に、彼女はディカッシュの頬を叩いた。
パーーーーーン!!
環境響いたその音に誰もが驚いた。既に艦は、敵の制空権を抜け、銀河系沖の、デフォルトポイントへ全速力で向っていたからだった。それは、光速の7倍速力で銀河系を脱出していたと言うことだった。
地球帝国にはその速力に対応した戦艦がなかった・・・そのことが、ディカッシュの戦術の幅を広げたのは言うまでもなかった。
彼女は、悔しかった。あともう少しでポロッソを倒せたのに、握りしめた拳は、そのやり場のない怒りをどうすることもできずに、暫く震えていた、そして、次の瞬間には、近くにあった自販機を叩いた。
しかし、帰ってきたのは、虚しい響きと手の痛みだけだった。すると、自販機からゴトリと何やら音がしたかと思うとそこには、缶コーヒーがあった。彼女がそれを手にとって見ていると
「そんなに、乱暴に扱わないでほしいな」
彼女の前に現れたのは、ディカシュッだった。
「何故、あそこでとめた」
そんな彼女の質問に、ディカッシュは冷静に答えた。
「今、バイソンのことは、既に帝国に響き渡っているだろう。共和国の新型PCとして」
「だから、どうした。あと一歩でポロッソを倒せたところを」
苛立ちを隠せない彼女は、ディカッシュに詰め寄っていった。すると両手を前に出して
「そんなに怒るなよ。あそこには、あのあと直ぐ増援が来ていた」
「そんなの私が蹴散らします」
そういうと彼女は、ジッとディカッシュを睨んだ。
「そうかな?相手がミドルフでもか?」
「えっ? ミ・・ミドルフだと・・・あんな辺境にミドルフが来るはずない!!」
彼女の顔色が少し蒼くなった。そのことを見逃さないディカッシュ
「いや・・・あれは、ミドルフだ」
そういうと、デカッシュは、手にしていたタブレットを彼女に見せた。そこには、ミドルフ専用PCの姿がはっきりと映っていた。それを見て、拳に力が入る彼女・・・というより、ある種恐怖を感じているかのようだった。そんな彼女を見て
「そういう言う訳だ・・・」
タブレットをしまったディカッシュは、その場を離れようとしていた。
「バイソンで勝ってみせる」
その言葉を聞いて、振り返ったディカッシュ
「じゃぁ・・・その言葉を証明してくれ」
「えっ?」
「やっこさんも、もうすぐ、来る頃だろう」
すると、再び艦内に警戒音が鳴り響いた。
「後方よりPCが接近!!数、5基」
鳴り響く警戒音の中、ディカッシュは、艦橋に立った。
「提督!!民間人の収容は完了しました。」
「そうか」
すると画面上に、夕月艦長 ジムの姿が映った。
「ディカッシュ提督、我々はここでお別れです。バイソンを頼みます」
「承知した」
そこへ、別の画面に、バイソンに乗っている少女の姿が映ってきた。
「バイソン!!はるか!!出ます!!」
「待て!!」
叫んでは見たもののバイソンは飛び立ってしまった。
「さぁ~て・・どうするかな?」
そういって、頭を掻いたのは、ディカッシュだった。
丁度、その頃だった。黒き流星、ミドルフは、自身のPCの中でこう呟いた。
「これが吉と出るか凶と出るか」
その瞬間だった。目の前にあらわれた紫色の機体
「何だあれは」
急速回避をしたミドルフだったが、後続4機のうち、1機は、既に光と化していた。
「くそ!!」
そう言って、ミドルフ自身も照準を合わすが中々あわない。次の瞬間にもう1機がやられていた。しかし、その時だった。その機体にわずかな隙を見つけた。
「よし!!2機目」
そう叫んで、はるかは3機目に目を奪われていた。その時だった。機体に着弾を受けた。
「うわ~!!」
やられた!そう思ったが、機体は、ほぼ無傷の状態だった。と言うよりは、偶然にも、盾で避けることが出来たのだった。そのことに驚いたミドルフ
「なんだ。この攻撃かきかないのか?」
驚きつつも、至近距離で、そのPCに向かって、発砲した。すると、再び盾を直撃、したかのように見えた瞬間、自分のPCすれすれに敵の弾丸がそれていった。
「くっ!!」
体制を立て直していると既に、敵のPCは、こちらに照準をあわしている。
「くそ!!!」
立て直すのをあきらめ、その体制のまま、ジェットを最大噴射した。
照準からPCが消えたはるかは驚いた
「消えた?」
そう思ったらもう1機のPCが目に入って来て、直ぐに照準を合わせ、発射した。次の瞬間、その機体は、残骸へと化していた。
「またやられたのか!!まずい!!撤退する!!弾幕を張れ!!」
そういったミドルフは、PCの腰のあたりについているモノをはずし、バイソンに向け放り投げた。
「なんだ?」
すると、ミドルフは、それを目掛けて、機銃を照射した。閃光と共に、そのあたり一体に、ガスが立ち込め、視界が見えない状態。しかも、レーダも効かない状態だった。その隙にミドルフは、その場から去っていった。
「必ずこの借りは返えさせてもらうからな」
そのころ、ディカッシュとジムは、最後の通信をしていた。
「では、本当に頼みましたぞ」
「貴殿の武運を祈っております」
やがて、フェルナンデスへ戻って来た。バイソン・・・当然、はるかの機嫌は悪かった。
「今度こそ、倒してやる」
それは、やはり主機の違いだった。E2連合はすでに、小型核融合炉から直接エネルギーを取り出すことに成功としていた。そのお陰で光速の7倍の速力を実現することが出来、亜空間転送装置の動力にも活用できることになっている。
しかし、それは、航海上での場合であって、いざ戦闘となると速力は、相対速力を維持しなければならない、いくら、電磁防御を駆使しているとは言え、敵艦と衝突したものなら、お互いに悲劇的な局面を迎えることとなるからだった。
だから、E2の艦隊は、その誇るべき性能にもかかわらず新地球帝国のPCによって、敗北してしまったのだった。
そんな実情をよく知っているディカッシュは、焦っていた。偵察舞台でよかったと安堵している暇はなかった。先程の戦闘で、真地球帝国は、我々の存在に気付いているに違いなかった、特に悪魔の流星、ミドルフが来たら確実にこの作戦は失敗するに違いなかった。
だからといって、何かいい手があるわけでもなかった。彼らの目の前には、足の遅い夕月と3機のPC、そして、戦艦 フェルナンデスしかない。しかも、夕月には民間人まで乗っている。そんな状態で、航海をすれば、必ず追いつかれ、最後には帝国によって、2隻の艦は、沈められてしまう。そんな焦りが募っていた。
一方、火星外周のアステロドベルトにおける戦艦の発見を聞いて、運が向いてきたとつぶやいたのは、何を隠そう、ミドルフだった。
「追跡を始める」
彼自身、真地球帝国の諸事情により、今回の火星沖会戦には、参加させてもらえなかったのだった。それは、彼が、前回の戦いで戦果を揚げすぎたことが原因だったのだった。だから、彼は、本隊から離れた、周辺地域での偵察及び防衛と言う任務についていた。そこへ、偵察PCから戦艦を発見したと言う報告を受けた。
しかし、彼には気になることがあった。その後、偵察部隊からの連絡がないことだった。
「とりあえず、出港しますので貴艦も、直ぐに出港準備をお願いします。」
挨拶も、そこそこに、若き士官に、対して、最初の一言だつた。しかし、若き士官は、ディカッシユの言葉を直ぐに理解した。
「わかりました。全艦、戦闘準備のまま、最大戦速へ」
その号令に、よって、ディカッシユは、この不幸な航海をせねばならなかった。
しかし彼の不安は的中した。
「PCが接近中、数、10基」
管制官悲鳴が、聞こえた、
遅かった。
これが、ディカッシユの、本音だつた。それを、吹き飛ばしのは、バイソンの活躍だつた。
そんなミドルフがPC発艦の準備をする為、艦橋を離れようとした時だった。ある通信が舞い込んできた。それは、ポロッソ軍曹からの連絡だった。彼の風貌は、髪の毛は、常に七三のポマード仕上げ、げじげじ眉毛、目は真ん丸く可愛いのだが、離れていて斜視、そして、口は大きく、しかも、軍の連中からはかなり不評な鼻下に海苔がついているようなちょび髭が彼のトレードマークだった。そんな彼だが前の戦役でミドルフと同等の戦果を揚げた人物でもあった。しかし、ミドルフ同様、この度の作戦かは外されていた。ただ、ミドルフとは違い現場上がりでもあり、直ぐに上司を怒らせると言う少し間抜けな所もあって、ミドルフは少尉になったのだが、彼は、なぜか軍曹と言う歴然の差が出ていた。
「ミドルフ少尉殿」
「ああ・・ポロッソ軍曹・・・いかがされた」
「自分は、敵艦を発見したのであります。ゆえに、これから攻撃を始めるのであります。」
ポロッソ軍曹の容姿からは想像もつかぬ甲高い声がミドルフの耳に入って来た。先を越された・・・それがミドルフが最初に思ったことだったが、どこか安堵している自分がそこにあった。
「そうか・・・じゃぁ・・・我々は、支援に回る」
そんな時だった。ポロッソ軍曹の悲鳴が聞こえ始めた
「ありがとうございます。これから敵の位置を・・・あれ?一隻・・方向をかえている・・・?・・・うわ~!!」
***
時を遡ること数分前・・・
旗艦フェルナンデスでは、鳴り響く警戒音に全ての戦士たちが凍りついた。しかし、ディカッシュだけは、ジッと目の前のレーダ画像を見ていた。
「て・・提督!!」
焦る副官を手で制し、やがて、レーダのある方位を指差した。こうしてディカッシュの神業と呼ばれる作戦の第2幕が始まった。
彼は、艦橋で号令を発した
「全砲門準備、進路変更、方位、右舷38°仰角上23°」
直ちに、砲撃長と航海長の号令が艦内に響いた。
「りょ・・・了解!!全砲門準備」
「進路変更、方位、右舷38°仰角上23°」
その直後であった。通信長が声をあげた。
「僚艦”夕月”より、伝令!!。PC発艦準備完了!!」
やるな・・ディカッシュが最初に思ったことだった。しかし、次の瞬間には
「夕月へ連絡!!本艦はこれから一斉砲撃をおこなう。PCは、発艦は待たれたし」
艦内に鳴り響く怒声!!それが一段落した途端だった。
「提督!!準備完了しました。」
その言葉を聞いた、ディカッシュは、パンと手を叩いた。
「よし!!攻撃開始!!」
こうして、フェルナンデスは使用可能な全砲門から敵PCに向かって、放たれた。
一方、一斉掃射をまともにくらったポロッソ軍曹は、必死にその攻撃を避けていた。
「わ~!!」
あの甲高い声がミドルフがいる艦内に響いた。
「ポロッソ軍曹!!どうされた!!」
すると、艦長がミドルフの肩を叩いて、宇宙のある場所を指差した。そこには、閃光が、流れる中、いくつかの爆発が発生していた。
「ミドルフ少尉!!!あれ!!」
ミドルフは、指を刺されたほうを見ると一斉掃射を必死に避けているポロッソの姿が目に入って来た。
「どういうことだ?直ぐに救援に行く!!」
そんな最中必死で避けているポロッソ軍曹
「ぅわ~!!わ!!あ・・・やられた!!クソっ!!て・・・ふ~!!おさまった・・・」
辺りを見回したポロッソ軍曹は、驚いた。PCは大半はやられ・・・動いているのは、3機だけ、しかも、それも無傷の機体はなかった。しかも、自分のはというと、左腕がない状態・・・よく爆発しなかったものだ・・・そして、後ろを見ると戦艦はなかった。
「えっ?・・・お・・・おわ~!!!」
目の前にあらわれた正体不明のPC、既に残り2機は破壊されていた。その攻撃を必死に避けるポロッソ軍曹だったが、左足を被弾した。
「まずい・・・」
その頃だったミドルフが到着したのは、
「ポロッソ!!大丈夫か!!」
その到着を機に、そのPCは、引き返していった。
「いかがなされます?ミドルフ少尉」
この状況を見て、直ぐには追撃は出来ないと判断したミドルフは、ポロッソのPCを引き上げ、自分の艦へもどった。
「何故、撤退しないと行けなかったのです!!」
彼女の金切り声が、船橋に響いた。それを、最初から判っていたかのように受け止めていた、ディカッシュの姿がそこにあった。その顔は、彼女と対照的にある種、笑みがこぼれていた。通常では考えられない光景に彼女な、更に切れた。
「なに笑っているんですか!!」
そう叫ぶ、彼女にディカッシュは、笑みを浮かべていたに違いない・・
「君たちの実力はわかっている。しかし、その実力は、次の機会までおいておく必要がある」
彼の一言に、彼女はディカッシュの頬を叩いた。
パーーーーーン!!
環境響いたその音に誰もが驚いた。既に艦は、敵の制空権を抜け、銀河系沖の、デフォルトポイントへ全速力で向っていたからだった。それは、光速の7倍速力で銀河系を脱出していたと言うことだった。
地球帝国にはその速力に対応した戦艦がなかった・・・そのことが、ディカッシュの戦術の幅を広げたのは言うまでもなかった。
彼女は、悔しかった。あともう少しでポロッソを倒せたのに、握りしめた拳は、そのやり場のない怒りをどうすることもできずに、暫く震えていた、そして、次の瞬間には、近くにあった自販機を叩いた。
しかし、帰ってきたのは、虚しい響きと手の痛みだけだった。すると、自販機からゴトリと何やら音がしたかと思うとそこには、缶コーヒーがあった。彼女がそれを手にとって見ていると
「そんなに、乱暴に扱わないでほしいな」
彼女の前に現れたのは、ディカシュッだった。
「何故、あそこでとめた」
そんな彼女の質問に、ディカッシュは冷静に答えた。
「今、バイソンのことは、既に帝国に響き渡っているだろう。共和国の新型PCとして」
「だから、どうした。あと一歩でポロッソを倒せたところを」
苛立ちを隠せない彼女は、ディカッシュに詰め寄っていった。すると両手を前に出して
「そんなに怒るなよ。あそこには、あのあと直ぐ増援が来ていた」
「そんなの私が蹴散らします」
そういうと彼女は、ジッとディカッシュを睨んだ。
「そうかな?相手がミドルフでもか?」
「えっ? ミ・・ミドルフだと・・・あんな辺境にミドルフが来るはずない!!」
彼女の顔色が少し蒼くなった。そのことを見逃さないディカッシュ
「いや・・・あれは、ミドルフだ」
そういうと、デカッシュは、手にしていたタブレットを彼女に見せた。そこには、ミドルフ専用PCの姿がはっきりと映っていた。それを見て、拳に力が入る彼女・・・というより、ある種恐怖を感じているかのようだった。そんな彼女を見て
「そういう言う訳だ・・・」
タブレットをしまったディカッシュは、その場を離れようとしていた。
「バイソンで勝ってみせる」
その言葉を聞いて、振り返ったディカッシュ
「じゃぁ・・・その言葉を証明してくれ」
「えっ?」
「やっこさんも、もうすぐ、来る頃だろう」
すると、再び艦内に警戒音が鳴り響いた。
「後方よりPCが接近!!数、5基」
鳴り響く警戒音の中、ディカッシュは、艦橋に立った。
「提督!!民間人の収容は完了しました。」
「そうか」
すると画面上に、夕月艦長 ジムの姿が映った。
「ディカッシュ提督、我々はここでお別れです。バイソンを頼みます」
「承知した」
そこへ、別の画面に、バイソンに乗っている少女の姿が映ってきた。
「バイソン!!はるか!!出ます!!」
「待て!!」
叫んでは見たもののバイソンは飛び立ってしまった。
「さぁ~て・・どうするかな?」
そういって、頭を掻いたのは、ディカッシュだった。
丁度、その頃だった。黒き流星、ミドルフは、自身のPCの中でこう呟いた。
「これが吉と出るか凶と出るか」
その瞬間だった。目の前にあらわれた紫色の機体
「何だあれは」
急速回避をしたミドルフだったが、後続4機のうち、1機は、既に光と化していた。
「くそ!!」
そう言って、ミドルフ自身も照準を合わすが中々あわない。次の瞬間にもう1機がやられていた。しかし、その時だった。その機体にわずかな隙を見つけた。
「よし!!2機目」
そう叫んで、はるかは3機目に目を奪われていた。その時だった。機体に着弾を受けた。
「うわ~!!」
やられた!そう思ったが、機体は、ほぼ無傷の状態だった。と言うよりは、偶然にも、盾で避けることが出来たのだった。そのことに驚いたミドルフ
「なんだ。この攻撃かきかないのか?」
驚きつつも、至近距離で、そのPCに向かって、発砲した。すると、再び盾を直撃、したかのように見えた瞬間、自分のPCすれすれに敵の弾丸がそれていった。
「くっ!!」
体制を立て直していると既に、敵のPCは、こちらに照準をあわしている。
「くそ!!!」
立て直すのをあきらめ、その体制のまま、ジェットを最大噴射した。
照準からPCが消えたはるかは驚いた
「消えた?」
そう思ったらもう1機のPCが目に入って来て、直ぐに照準を合わせ、発射した。次の瞬間、その機体は、残骸へと化していた。
「またやられたのか!!まずい!!撤退する!!弾幕を張れ!!」
そういったミドルフは、PCの腰のあたりについているモノをはずし、バイソンに向け放り投げた。
「なんだ?」
すると、ミドルフは、それを目掛けて、機銃を照射した。閃光と共に、そのあたり一体に、ガスが立ち込め、視界が見えない状態。しかも、レーダも効かない状態だった。その隙にミドルフは、その場から去っていった。
「必ずこの借りは返えさせてもらうからな」
そのころ、ディカッシュとジムは、最後の通信をしていた。
「では、本当に頼みましたぞ」
「貴殿の武運を祈っております」
やがて、フェルナンデスへ戻って来た。バイソン・・・当然、はるかの機嫌は悪かった。
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