おばさんと呼ばないで

Seabolt

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告白

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----驚いて振り向いたら、そこには俊介が立っていた。

俊介の登場したのは驚いたし、うれしかったんだけけど、ある意味、期待はずれだった。
私は、武を待っていたのだった。そう本当のことを知りたくて・・・

「やっぱりここにいたか・・」

「やっぱりって・・・」

 俊介は顔を覗いてきた。

「教室に行ったらもう帰ったって聞いて・・・」

「え?」

 戸惑っていた心がどくんと音を響かせた。

「心配したんだぞ・・それと話もあったし・・」

「は・・話って」

「俺は真奈美を信じているから・・」

 うそ・・・

心臓は徐々に早くなっていった

けど・・・言わないと・・武とあったこと・・そして、何もなかったこと

そう思った私は鼓動を抑えるように軽くを息を吸って覚悟を決めた。

「実は、わたし・・・あの日、武と会って・・・・」

 自分でも頭の中はぐちゃぐちゃだった。しかし、そんな私の思考をとめる言葉を俊介は言った。

「知ってるよ」

「えっ?」

「真奈美があの後、武と会っていたこと・・・」

 予想外の言葉に声すら出ない・・・じゃぁ・・・抱きしめられていたのも?

そう焦っていると

「し・・知っているって」

 すると俊介は、私の両肩に手を置いた。ビクッとなる私に

「俺が出て行った後、武がここへ向かって走っているのを見かけたんだ。」

 俊介を見上げると私をじっと見つめていた。

「だったら・・・」

「俺は信じることにしたんだ・・・」

「信じるって・・」

 軽く頷いた俊介

「そう・・・真奈美を・・・」

「ど・・どうして・・・」

「あの日、言ったろう俺も同じだって・・・だから・・・」

「同じって・・・国府田さんでしょ?」

 俊介は軽く首を振り、私を驚かせた。

「ちがうよ・・」

「え?じゃぁ・・・え?」

 俊介は驚いている私のじっと見つめ、軽く頷いた。

「お前だ・・真奈美・・・」

「えっ?」

「好きなんだ・・・真奈美のことが・・」

 私は軽く頷いて近づくと俊介にやさしく包まれた・・・しばらくして、気が付くと頬を涙が流れていた・・・ただ・・・ただ・・・うれしくて・・・あんなことの後で・・・ま・・まさか・・・そして、顔を上げ俊介の眼差しをじっと見ていた。

徐々に近づく彼の顔に思わず目を瞑った。
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