おばさんと呼ばないで

Seabolt

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偽装 2

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 私が高取と付き合っている振りをするなんて!!私は自分のベッドの上でのた打ち回っていた。でもどうやって?私はさっきのことを思い出した。

「でも・・・どうやって・・・」

 私の質問に撫でていた手を止めた高取は、顔を近づけた。思わず引き下がる私を見て微笑んだ。

「それは、昨日、俺が告白したことにして?付き合いが始まったことにすれば?」

「そんな急に」

 戸惑う私に向かって、高取はさらに驚くことを言ってきた。

「ああ・・・それに月曜から俺達一緒に登校することになるんだから。別にいいだろう?」

「えっ?」

 驚く顔を見た高取は、不思議そうな顔をしたかと思うと再びにこやかな表情に戻って、私の肩をぽんと叩いた。

「何驚いてるんだ?俺明日からここに住むんだぞ!」

「あ・・・」

 そうだった・・・高取は、明日から一緒に住むんだった。すると私の心のどこからかなんと言えぬ不安が襲ってきた。どんな表情をしていたのだろうか・・高取はそんな私を見て、また、頭を撫でた。

「心配するなって・・・」

 そんなことを言われても・・・心配の20乗くらいの大きな不安が襲ってきていた。大丈夫だろうか・・わたし・・そんなことを思い出した私は思わず溜息をついた。ふと脳裏に急にやさしくなったのはこのためだったの?と言う疑問も訪れさらに私の中の不安を増大させていった。
 そして、高取が引っ越してくる日がやって来た。
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