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因縁の対決 3

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3回表、69ers(シックスティーンナイナーズ)の攻撃、打順は8番俺だった。この後9番は4年生の新人君だ。だから、ここで俺が何とかしないといけないのだが、多分、打たせてはくれないだろう。そういう訳で俺はクリーンナップから外されている。だから8番なんだがそれはそうと俺はバッターボックスに向かった。すると

「佐藤くーん!!ファイト―!!」

ベンチから女の子の声がしてきた。その声の主は岡田さんだった。彼女は何かの漫画の影響かどうかは知らないが、このチームのマネージャーをやっている。ただ、彼女にも家庭の都合があって、午前中の試合には参加できなかったのだが、この午後のこの試合から参加しているのだ。ベンチでは、麦茶を準備したりしている。麦茶と言ってもヤカンには入っている。それも大きなアルマイト製のヤカンにだ。この頃はまだスポーツ飲料が出た当初で高価なものだったから、麦茶が主流だった。それにアルマイト製のコップに入れて飲むのだった。そんな彼女が駆け寄ってきて俺に麦茶をくれた。

「がんばってね」

「わかっている」

まるで力士が土俵に入る前にもらう力水のように麦茶を飲み干してバッターボックスに向かった。

1球目

四谷君のウィンドミルが回った。

「ん?うぁああ!!」

俺は大きくのけぞったのだった。それもそのはず、四谷君が放ったボールは俺の顔面に向けて投げられたのだった。

「ボール!!」

この当時、危険球という概念がない時代。それに、子供がやることなので、当然、コント―ロールも甘く、時々、こんなボールが来ることはよくあることだったので、当然、スルーされるのだった。
そこで俺は考えた。多分、1球目で当てて、俺の戦意を喪失させるのが目的だろう。実は、まだ、俺は立ち上がっていない。わざと怯えているふりをしている。そして、チラリと相手ベンチのコーチの顔を見るとしてやったりといった顔をしている。なるほど、ということは、次はストライクが入ってくる可能性が高い。ということは、ビビッて、ホームから離れて立てば、奴は一番遠い外角低めのストライクを投げてくるに違いない。そう考え、俺はホームから離れてバッターボックスに立った。

「へいへい!!」

「バッター!!完全にビビっているぞ!」

「ここは簡単に!!」

2球目

最初から外角低めに山を張っていた俺は、投げられた瞬間、思いっきりホーム側へ突っ込んでスイングを始めた

「え?」

そして、俺は驚いた。なんとボールは内角に来たのだった。バットは既にスイングを始めていてどうにも止まらない。更に踏み込んでいるから内角の球を当てるには至難の業だ。俺は手をたたんでバットが体の近くを回るようにして内角のボールに対応した。

カツ!!

しまった。かろうじてバットに当たったのだが、そのボールはサードに向かってテンテンと転がっている。俺は全力で一塁に走っていると、相手のサードが

「え?ショ・・・ショート!!」

ボールと掴もうと前に進んでいくとテンテンと転がるボールには奇妙な回転がかかっていて、徐々にショートの方へ寄っていったのだった。そして、ショートがそのボールを補給しようとした瞬間

「うぁ!!」

ボールをファンブルしたのだった。

「セーフ!!」

なんとも格好悪い、出塁となったのだった。そして、9番はバントをして1アウト2塁と初回以来のチャンスを迎えるのだった。

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