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フラストレーション

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フラストレーション

女の子たちのモヤモヤはかなりなものだった。

実は、凛音の爆弾発言の後、女子たちが俺に対する行動がエスカレートしている。休み時間にはクラス以外からも天野さん、箭内さん、森さん、小宮山さんまでやってきて、俺を取り囲んでいる。

彼女たちの目的は誰がファーストキスをするかと言ことになっている。純真な彼女たちの気持ちを考えるとじゃんけんで決めるなんてことはまずできない。みんなが納得した方法でキスすること考えないといけないのだ。とりあえずは

「変な争いはしないでよ。もししたら、嫌いになるから」

この言葉で彼女たちの気を抑えるが

「でも、佐藤君のファーストキスよ。誰ができるかで一番好きな人はその人ということになるじゃない」

これは、凛音が置いた爆弾のせいだ。しかし、俺には、別な切り口がある。

「俺にとってのファーストキスは、大事かもしれない。けど、所詮俺は男だ。それより、君たちはもっとよく考えた方がいいよ。大事な大事なファーストキスを上げる相手を」

その言葉にぐっと固まった彼女たちだったが、すぐさま

「私は佐藤君に捧げます」

「私も」

「私も」

そう言ってみんなの決心は固いようだった。

そんな様子を冷たい視線で見ていた凛音は、帰り際、俺の横を通った時に

「佐藤君って、やっぱり、モテモテね。誰があなたのファーストキスを受けられるのかしら・・・」

とつぶやいて行ったのだった。

こうして放課後、今日はソフトボールの練習がある。

夏の大会で優勝したせいもあって、新しく入ってくる子がいた。小さい子は小学1年から来ているのだが、彼らは、まだ、試合に出られないので基本的な練習、キャッチボールや簡単なバッティング練習をして遊ぶようにする。そうしないと彼らはすぐに飽きてやめてしまうからだ。そんな気を使いながら練習をする。

しかし、そこへは当然、山田さん、天野さん、箭内さん、森さん、太田さんたちがやってきてくれる。更に、岡田さんや小宮山さんまで来る始末、

やべっちが

「わたる…どうすんだ?あの子たち」

「一応言っておくよ」

するとソフトボールをしたことがない彼女たちも練習の手伝いをしてくれる。本当にどうしたらいいのだろう。

さてと、彼女たちのことは置いておいて、2学期から転校してきた5年生、山本元輝君といのがチームに入ってきた。彼は、前のチームではエースで4番だったということで、練習に加わるとその運動神経の良さにみんなが驚いていたのだ。しかも、結構女の子にもてていたようで。恰好をつけていたようだ。
ピッチングを見るとそれなりの球威と制球力があり即戦力であることは間違いない。俺としては、戦力が増えたことで楽しみなのは事実だった。


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