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見えない戦い

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「みんなが佐藤君のこと好きなの?」

「「「「「「そうよ!!」」」」」」

凛音の前で仁王立ちをして”当然”といった顔をしてまるで俺を守るかのように立ち並んでいる。そんな光景を見て

「プッ!!ハハハ」

凛音は笑い出した。

「何がおかしいのよ」

「だって・・・みんなが佐藤君のこと好きって聞いたから、急に笑えてきちゃって。ハハハ・・あーおかしい」

凛音の笑いはしばらく続いた。そして、ようやく収まると俺に向かって話してきた。

「けど、佐藤君はこの中の誰が好きなの?」

「だれって・・・」

皆の視線が俺に突き刺さってきた。

「もちろん、みんな大好きだよ」

その言葉に機嫌を直す彼女達は、すぐさま凛音の方を向いた。すると彼女は頭をかしげていた。

「それって・・・おかしくない?」

「なにが?」

「みんなを一度に好きになることなんてできるの?」

すると天野さんが

「ちゃんとみんな平等に好きだって、現にみんな仲良くやっているし」

「へーそうなんだ・・」

凛音の冷たい視線が俺に向けられた。

「ふーん・・・みんな騙されてないわよね」

「それはないわ」

山田さんが言い返すと凛音の一言に皆顔を真っ赤にさせた。

「じゃぁ・・みんな、佐藤君とキスしたことあるの?」

エッチなことは散々してきたけど、頬にキス程度しかしていないのでキスといわれると彼女達は黙った。

「ということは、最初にキスをした人が佐藤君の好きなひとになるのね。たぶん・・」

凛音の一言に皆の視線は俺に集中した。

「そんなことはないよ。俺はちゃんとみんな平等に好きになるって決めたから」

するとまた凛音の冷たい視線が俺に突き刺さる。

「ふーん・・・平等ねぇ・・・」

そこへ天野さんが反撃に出た

「そんなこと言って、小林さん佐藤君に気があるんじゃないの?」

「あら?失礼ね・・モテモテの男子だからどんな子か知りたかっただけよ」

「本当?」

「本当よ。だって今日初めて会ったんだから・・・もし、ここで好きですなんて言ったら、それこそ運命の人です見たいなことになるじゃない」

「じゃ・・安心したわ」

「それ、どういう意味?」

「だってこれだけ多いのよ。これ以上増えたら困るから・・」

「へ~佐藤君って女たらしなんだ」

「それは違う。みんな、自分から好きになったんだから」

「そうなんだ・・・」

また凛音の冷たい視線が俺に刺さってきた。夫婦だった頃、俺がごみ捨てを忘れた日の夜によく見せていた視線だった。

「でも。誰もキスしていないから、ファーストキスの相手が大事な人になるのかな~」

キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン

凛音が落とした爆弾は大きなものとなっていたのに、俺が気付いたのは数日後のことだった。







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