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えっ?そっち?

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 教室に戻ると黒板には俺と岡田さんの相合い傘が描かれていて、それを見て、慌てて消している岡田さんの姿がそこにあったが、そのまま何食わぬ顔をして席に座ると途中まで消していた岡田さんがやって来て、

「佐藤君、手伝ってよ」

「何を?」

「あれを消さないと」

勿論、彼女が示しているあれとは相合い傘のことだった。俺は少し考えて振りをして、日直が描かれているところを見ると、そこにも俺と岡田さんの名前が、しかもご丁寧なことにこちらもわざわざ相合い傘のマークまで入れてくれている。

「あれ~?おかしいな?今日の日直は、川村と佐伯さんのはずなんだけど」

「何言っているのよ~!!恥ずかしくないの?」

黒板消しを手にして彼女は地団駄を踏んだ。

「別に・・・」

「別に・・・って」

「こんなくだらないこと俺は気にしないから」

すると彼女は俺の方をぼーっと見つめて立っている。

「日直!!早く消さないと先生に叱られるよ」

すると慌てた川村と佐伯さんは前に出て黒板を消し始めた。

「それと日直欄も間違っているから直しておいてね」

ぼーっとしたままゆっくりと歩いてきた岡田さんはそのまま席に着いた。その頃、先生が教室に入って来た。

「起立!!」


***

授業中、視線(プレッシャー)を感じる。しかも、あちらこちらからだ。ニュータイプか?ふと視線の方向を見ると見るんじゃなかった。山田さんが睨んでいる。ウ・・・太田さんも・・・やはり、井上さんも・・怒っている。

「佐藤?」

「え?」

俺?

「どこを見ている?」

トントンと黒板を叩いて、問題をさした。そこには漢字で夫婦と書かれていた。

「ふうふです」

「正解!!・・じゃ・・・教科書を読め」

「え?」

「いいからこれを読め?」

「は?」

先生は、嫌がらせなんだろう尋常小学校の教科書を持ってきていた。そこにはカタカナで文字が書かれていた。

「これ読むんですか?」

「いいから読め」

先生は真顔でいる。仕方がない・・

「コレ ハ ウンドウクワイ ノ エデス。イロイロナ ハタ ガ カゼ ニ ヒラヒラシテ ヰマス」

それを聞いて一部でクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「うるさいぞ」

「まだ読むんですか?」

「そうだ!!」

「イマ ツナヒキ ノ マツサイチユウ デス。ゴラン ナサイ、ミンナ ガ チカラ ヲ イレテ、一シヤウケンメイ デス」

「くそ・・・ちゃんと読めたか。座っていいぞ」

先生は残念そうにしている。周りは笑いをこらえるので精いっぱいの状態だ。隣の岡田さんも笑いをこらえるのに必死のようだった。こうして、授業は無事に?終わって放課後になった。俺が帰ろうとした時だった。

「あ・・・待って・・・」

そう言って立ち上がる俺の手を引いたのは岡田さんだった。すると川村が

「ひゅーひゅー熱いぜ」

三宅まで一緒になって、からかいに来た。女子は女子で、ひそひそと話をしている。そこへ山田さんがやってきた。

「ちょっといいかしら?」

「岡田さん、佐藤くんと大事な用事があるから連れて行くわね」

そう言い残して、俺は教室を後にした。そして、再び校舎裏へ行くことになった。

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