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決勝

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流石の怠慢なプレーに矢部っちが切れた。

「どうしてバットを、振らなかった!!」

「はぁ?なぜ、俺がバットを振る必要があるんだ?」

四谷くんの反応を、見て分かった。親が親なら子も子である。その発言に絹やんも怒り始めた。

「何、言ってるんだ。貴様!!」

すると

「俺は、ピッチャーをさせて貰えると親父から聞いたから試合に出たら、ライト?笑わせんな!!いてやるだけでも、ありがたいと思え!!」

そんな声を聞きつけた四谷くんのお父さんが出てきて、

「喧嘩するんだったら、龍馬を連れて帰ってもいいぞ!!」

その言葉を聞いたコーチが慌てた。

「何言ってるんですか!ここで帰られては困ります」

ふとこいつをよく見ると四十代前半にしか見えない。どうせ息子に自分が今度からコーチを引き受けるからピッチャーをさせてやるとでも言ったんだろう。それに四谷君自体もこの父親と二人三脚で練習しているのかも知れない。だとするとと思っていたら審判がやって来て

「何やってるんですか。早く守備について下さい」

そこへ案の定、四谷くんのお父さんが言い出した。

「龍馬を投げさせてくれれば、いさせてやっても構わないが」

審判が

「早くしないと没収試合にしますよ」

「すみません、もう少し時間をください」

俺がいうと

「じゃ、少しだけ待ちます」

そして俺は四谷くんを除いたみんなとヒソヒソと打ち合わせをした。

「わかった」

みんなの了解を得て俺が話を始めた。

「ピッチャーなんかいつでも譲ります。大人にとってたかが小学生の町内会の試合ですが、俺たち子供にとつては、優勝がかかった試合です。これで点をとられたらこの指示をした四谷くんのお父さんのミスですから、その事をよく理解してください。」

「?   ああ   分かった?」

この反応を見て、俺は直感的にこいつ馬鹿だと感じたんだが、それは置いといて、そこへ審判がやっても来た。

「そろそろいいかな?」

「はい。ピッチャーとライトを交代します」

こうして俺たちはグラウンドに散っていった。その間に、後ろから審判の声が聞こえた。

「あなたも大人気ない!子供相手につまらない事しないでください!!」

7回表ベアーズの強力打線は、四谷君に襲いかかったがなんとかみんながなんとかふんばって、ツーアウト満塁で岩ちゃんの打席、なぜか俺の方をチラチラと見ている。なんとなく、ライト線へジワリと守備位置をかえると

キン!!

岩ちゃんの打球はライト線へ痛烈な当たり、ダッシュでこれを抑えて、ファーストへ投げる

「アウト!!」

足が遅い岩ちゃんはライトゴロで終わったのだった。

こうしてなんとか7回表を抑えたのだった。7回裏は疲れが見えてきた小山君からランナー二人出すが得点はできなかった。

こうして試合は延長戦に突入した。

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