20 / 191
キャプテン誕生
しおりを挟む「くっそー!!」
今にも泣き出しそうな顔をして、俺を睨みつける矢部っちは、くそー!!くそー!!と言いながらベルトをはずし始めた。多分、彼が俺にやろうとした事、つまり、みんなの前でちんちんを晒すことを今度は自分がされると言う思いから暴走をはじめたその時だった。
「矢部!!何をしてる!!練習するぞ!!今から守備位置につけ!!」
橋本さんが彼の肩を叩いた。訳も分からないまま、矢部っちは、ピッチャーのポジションについた。すると驚いている俺に
「佐藤!!お前もだ!!」
俺は定位置のライトに行こうとすると
「矢部の次は佐藤がピッチャーだからな」
そう言うと俺の肩をポンと叩いた。
こうして、守備位置に着くと橋本さんが打席に立った。
「いいから、投げて来い!!」
戸惑いながらも矢部っちが投げるといとも簡単に打ち返した。すると
「次、佐藤!!」
こうして俺の番に、山なりのボールを投げたら、こちらも簡単に打ち返されてしまった。その光景に驚いているといつの間にか橋本さんがマウンドに来ていた。
「佐藤!!打席に入れ」
第1球、橋本さんの本気モードのストレートは外角低めへシューと唸りをあげて入ってきた。
第2球、ほぼ同じコースへストレートがバットを出す
キン!!
やや振り遅れたせいもあり、ライト線へのファールだった。
第3球、少し甘めのストレート、俺は素直にバットを出す
キン!!
これがセンター前ヒットになった。こうして謎の練習が終わって集められた俺たちに橋本さんは、驚愕のひとことを言った。
「佐藤!!お前が次のキャプテンだ!!」
「ええっ?!」
ここにいたみんなが驚いたのは言うまでない。特に矢部っち、絹やん、外やんは
「あのライパチ渉(わたる)が?」
すると橋本さんが3人に視線を向けた。
「お前達四年生に何があったかは知らないが、唯一俺からヒットを打ったのは佐藤だけだ。これは五年とも相談の上だ」
すると3人は納得いかない表情をしていた。
「でも」
そう言った矢部っちに橋本さんは視線を送った。
「矢部!!お前は佐藤を見下していないか?確かにあの試合までは、色々あった。しかし、佐藤はちゃんと努力をしてきたからこそ結果をだせたんだ。今日の試合でもわかったろう」
「「「はい・・・」」」
「それと今日のヤジは酷かった。同じチームとは思えない。多分、お前達は、佐藤が急に成長したのに驚いて妬んでしまったんだろう。けど、その妬みで嫌がらせをすることは、スポーツマンとして恥ずかいことだ!!悔しいなら練習して取り戻せ!!」
「「「はい・・・」」」
3人は、橋本さんの言葉を聞いて、自分達の行動を反省したようだった。
「同じチームの一員として信頼しないと野球はできない。だから、お前達四年生は、今、仲直りしろ。いいな!」
「「「「はい」」」」
こうして俺たちは、お互い謝り仲直りをしたんだけど、箭内さんが俺と矢部っちを呼んでいた。
「どうする?」
「・・・」
矢部っちは何も言わずに俺について来た。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる