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モヤモヤ

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モヤモヤの中を彷徨っていた。それが目を覚ました瞬間の出来事なのだがまだ目を開けていないというより開けることが出来ないでいる。それは、さっきまで感じていたモヤモヤした感覚はいまも頭の上に存在しているのだ、実はさっきのは夢で目を開けると別な世界にいる可能性もあるのだ。だから、俺は目を開けれないと思ったら

どん!!

うぐっ・・・

腹に思いっきり蹴りが入って来たのだ。ということは現実に戻ったんだ。このモヤモヤした感覚は頭をぶつけたせいで多分おかしくなっているに違いない。そして、今度は首のあたりにドンと蹴りが入ってて顎にドンと何かがあった。

はう!!

流石に目が開いてしまった。そして、目の前には2段ベット天井が見えていて横でアンリが寝ているのを見つけた。そうか・・小学生に戻ったんだった。そして、モヤモヤの正体は、アンリが暑くて脱ぎ捨てたパジャマだった。

「おにーちゃん!!早く起きて!!」

下の階からあやめの声がする。そうだ今日は決勝があるのだそろそろ起きないとと、俺の横で寝ているアンリを起こした。

「アンリ起きろ」

そう言って

「う・・・」

唸っているアンリを起こしながら、着替えさせる

「ねむいよ・・」

目をこすって駄々をこねている。

「起きないと朝ごはんご飯抜きになるよ」

「それはいや・・」

ようやくズボンを履かせと今度は服と急いでいると

「おんぶ・・」

そうだった・・いつもこうしてたんだった・・・おれは、アンリをおんぶして階段を降りた。

「また、おんぶしてきたの?アンリに甘いんだから」

あやめが愚痴を言うこれはいつものことだ。記憶が確かだったら俺より2つ下のあやめが一番しっかりしている。事実、身長は俺よりも少し高いくらいというより、クラスで前から数えて1,2番目くらいの身長をしているから仕方がない。するとあやめは、俺にあるカードを渡した。それは、夏休み恒例のあれ、そう、ラジオ体操のカードだった。

「早く行かないと・・」

俺は、アンリを背負ったままラジオ体操の集合場所のコーポの駐車場まで行くことになった。
そこへ行くと子供会のメンバーが集まっていた。矢部っちや絹やんに外やん、そして、森さんと太田さんがコーポの階段で座って話をしている。二人ともワンピースということもあって、ものの見事にパンチラをしている。そこへ玲奈がアンリの同級生の優愛ゆあを連れてきたので、アンリも優愛の所へ行って、肩の荷がようやく下りた。すると、俺の横で怜奈が

「今日の試合も打ってね」

「打ったらどうする?俺の言うこと何でも聞く?」

「うん。わかったから打ってね」

そう言うとそそくさと俺の横を離れて行った。俺は、矢部っち達の方へ行くと森さんと太田さんが俺に気付いたらしく駆け寄ってきた。それを見た箭内さんも近づいて来て

「決勝頑張ってね」

「まかせとけ!!」

絹やんと矢部っち、外やんがそう言っているが彼女たちの視線は俺の方を向いた。

「え?俺?」

「今日も打ってよ」

すると他の3人が

「あれはまぐれやで」

「そやそや、絶対にまぐれや」

「はーい集合!!」

 子供会会長の一言で全員が集まる。そこには、ラジカセが一台置いてあって、そのスピーカーからは懐かしい音楽が流れてきた。

あたーらしい・・朝が来た・・・

そして、ラジを体操が始まる。やがてラジオ体操第一を終わると会長は慌てて、ラジオを消すのだった。俺は知っている。この後、ラジオ体操第2があることを、しかし、ここでは時間がないのか、みんなの出席スタンプを押す時間と化していた。会長に群がる子供たちを見て、後にしようと思っていると俺の横に太田さんがやってきた。おっとりした性格の彼女、雰囲気は昔の堀ちえみといったところかもしれない。髪型もそんな感じだった。そんな彼女だからこんな時は、待つタイプなのだ。しかも、クラスが一緒ということもあって、時々話をすることがある。すると、彼女の口からも同じ言葉が出てきた。

「今日頑張って勝ってね」

「でも試合はわからないよ」

「じゃ・・・ホームラン見たいな昨日みたいな」

彼女は、目を輝かせていた。

「打ったらどうしてくれる?」

「う・・ん」

「じゃ・・打てたら、俺のお願いを聞いてくれる?」

しばらく考えた彼女は軽く頷いた。

「いいよ」

すると、あいつらがスタンプを終えてやってきた。そう矢部っちと絹やんと外やんの3人だ。

「お二人さんどうしたの?」

こういう時は、カップルにして囃し立てるのが彼らが一番やりたいことにちがいない。当時の俺もそうだったから、まちがいない。ここで否定すると一斉にくっつけようとする天邪鬼な連中だ。ここは意外な行動をとってみた。太田さんの肩に手をまわして

「うらやましいだろう」

その行動にがーーんとした表情を浮かべた3人、よくわかるよ。女の子とは一緒にいること自体が恥ずかしい時代というか女の子に慣れていないだろう彼らは悔しがった。

「羨ましくなんかないわい!!」

「あほちゃう」

「ほんまや、相手せんどこ」

そう負け惜しみを言ってそれぞれ家に帰って行った。すると俺の横にいた太田さんも顔を真っ赤にして、スタンプを押しに行ってしまった。それを後ろから森さんと箭内さんが見ていたとは知らなかった。俺がスタンプを押し終えると二人に呼びとめられた。

「佐藤君、太田さんに何したの?」

「いや・・・何もしてないよ」

「うそつき、さっき肩を組んでたじゃない」

「あ・・・あれは・・・」

俺が矢部っち達にからかわれるのを防ぐのにやったことだと説明したが二人は納得していない様子だ。そして、

「太田さん、顔真っ赤にしてたわよ」

「白状しなさいよ」

「実は、今日の試合でホームラン打ってと言われて、打てたらお願い聞いてねって言っただけなんだけど」

すると二人は顔を見合わせて、

「この~!!」

「そんな約束しても出来るかどうかわからないだろ」

「「たしかに~」」

「でも太田さん、絶対、佐藤君のこと好きよあの様子だと」

「そうよ私も同じこと言われたら、そうなるかも~」

「じゃ・・かけてみる?」

「何を?」

「今日俺がホームラン打つかどうか」

「ありえないわよ。昨日のホームランはすごかったけど、絶対まぐれでしょ」

箭内さんがそんなことを言ってくる。そこへ森さんも

「そうよ。まぐれよ」

二人の自信ありげな言葉に、俺もカチンと来てしまった。

「じゃ・・・打てたらどうする?」

「打てるわけないわよ」

「「ね~」」

そう言っている二人に、

「じゃ・・・本当に打てたら、俺のお願い聞いてくれる」

「どんな?」

「二人のあそこ見せて?」

「え?」

「変態」

と言いつつも、二人は結構笑顔をたたえていた。

「じゃ・・打てなかったら?」

「俺のちんちん見せてあげるよ」

「「よし乗った」」

彼女達と別れて、俺が家に着いた時、呆然となった。それは朝食が食パン一枚だけになっていたからだった。

「「お兄ちゃんか遅いから悪い」」

「そんな・・・」

こうして、このあと10時から決勝が始まるのだった。
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