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WW-I

フリーレンスの覚悟

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神聖歴1301年12月、帝政ボルシチはムガール帝国の傘下に入った。帝政ボルシチはガイア北東部のガイア4大強国の一つであった。残る3カ国はユニオン連合となっている。しかも、ボルシチを吸収したムガール帝国は、軍を進め、ジーメンの隣国ポートランドを制圧し、ジーメンと対峙していた。その隣のラプラスも戦々恐々としていた。それはサントスとの戦いですべての戦艦を失い。戦力は陸軍30万のみとなっていた。一方、ラプラスの南に位置するエンドウは、その中心にある神聖教会を利用し、ムガール帝国に対してガイア連合で集結するように各国へ呼びかけたのであった。しかも、敵対するサントス王国へもその呼びかけを行ったのであった。

「今こそ!!ガイアの力を結集する時だ!!」

フリーレンスはその言葉を鼻で笑った。

「何を今更…」

そうは言いながらも彼女自身、既にカルロスの傀儡であることが分かっていた。父であるカールルイスが死去して、叔父のベンジョンソンが継いだまでは良かったのだが、内紛でカルロス伯爵に敗れてしまった。しかし、カルロス伯爵は、王位につかず、私を王位につけたのだ。若干20歳の私に、そこへあのユニオン連合からの攻撃、これも、カルロス伯爵によって、守られた。正確には彼の義理の息子である村人が持つ艦隊によって守られたのだった。そして現在に至る。
つまり、私は、女王として君臨するには、彼の義理の息子を夫として迎えるしかない。それが私の生きる道なのだ。私は、村人を王宮へ呼びつけた。

「女王様!!お目にかかれて光栄です」

見た目、ぱっとしない村人そのもの、こんな奴がどんな能力を持っているのだ?よく調べるとカルロス伯爵の娘を妻としているだけでなく、あのタルタル王国の皇女アテナまで嫁いでいると聞く、こいつのどこがそんなにいいのだろうか?

「お前が村人か」

「左様でございます」

「面を上げ」

私の言葉で顔を上げるが、大した顔でもない。もう少しイケメンだったら、いいのに…こんなやつとHをする?そんなことを考えていると私の横にいる。王宮魔導士のゾフィーが耳打ちした。
彼は魔力ゼロです。そして、あらゆる能力が偏差値30であることを聞いて、ますます、覚悟が鈍る。

「村人とやら、お前の能力はなんだ?」

「の…能力ですか?」

「そうだ。見たところ魔力ゼロのようだ。ということは特別な能力があるのであろう」

村人は困った表情をしている。当然、カルロス伯爵も困った表情をしている。更に、今回は特別に帯同も許可したミネルバは、私の方を見て睨んでいる。彼女は、村人の妻だからだろう、女の感というやつか、私がこの男を狙っていることに気付いているやも知れぬ。だから、ミネルバに声を掛けた。すると、一歩前にでた。

「女王様!!失礼ながら進言いたします」

「ほう…ミネルバ、そなたの夫について、何か知っておるのか?」

「は…、我が夫には特別な能力がございますが…」

「ほう…あるのじゃな…一体なんだ?」

「それが、ここではちょっと…」

「どうした、サッサと言わぬか」

「言いにくいのですが…」

「どうしてじゃ、ここで言いにくい特別な理由でもあるのか」

「うーん…」

ミネルバも黙ってしまった。ええい…一体どういうことじゃ、周りを見るとカルロス伯爵は、よくわかっていないようだ。当の本人も何か言いにくそうにしている。ミネルバは黙り込んでいる。

「わかった…ミネルバよ。儂の耳元でこっそりと言ってみよ」

「それでは失礼いたします」

そして、ミネルバは耳元でこうつぶやいた。

「おっぱいモミの天才です」

その言葉に驚愕した私は、大声で

「なーにー?お…おっぱい?モミのてんさい?」

当然、周りからくすくすと失笑がこぼれだしていた。

「わかった。ミネルバよ。それはまことか?」

「はい…」

「そうか…とりあえず、ここで村人に爵位を与える」

「はは…ありがたき幸せ」

「これで解散とする。それと村人だけは、別室で待つように」

彼を待たせたのは、王室の特別な魔法陣で守られている部屋だ。ここで、魔法を使えるのは王族のみとなっている。つまり、私だけだ、私自身もSRクラスの魔力を持っている。だから、魔力ゼロの村人は全く怖くない。そして、ここで取引をするのだ。私の夫となることを、そして、私との間に子供をもうけて、その子にこの国を継がせること、これが私に課せられた使命。

部屋の中央にある椅子に村人は座っている。私は、気配を消す魔法を使って、彼の後ろまで行く、そして、思いっきり木刀で頭を叩いた。

パカーン

「痛ってーーー」

素直に頭を抱えてうずくまっている村人を見ていると笑えてきた。

「なぜ…よけない」

「痛いな~!!いきなり叩きますか?」

「お前の強さを調べてみたのじゃ、今のが本物の剣だったら、死んでおったぞ」

「確かにその通りです。ところで俺だけですか?」

「そうじゃ…お前だけじゃ」

「どういうことですか?」

「それは、お前を夫として迎えることにしたのじゃ」

「はい?」

すると奴は使えないはずのスマホで妻たちと連絡を取っていた。しかも、全員がOKだとか、カルロス伯爵もOKとは、更に、アテナまで、どうなっているんだという具合になっていった。しかし、ここからが問題だ。彼を正式な夫として迎えるには十分な戦果を挙げているのだが、貴族たちは、未だに認めていない。すると、村人は、ムガール帝国と交渉して、ジーメン侵攻作戦に我が国が貢献したら、サントス侵攻はしないこと、制圧した地域を分けてくれることを約束してくると言ったのだった。

このあと、おっぱいモミの天才の技に完全に逝かされた私は、この男を信じることにした。



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