目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

第１章 立身篇

第２７話 村人 巻き込まれる

あれから数日後のギルドでの出来事である。俺は仕事を探し来ているとミネルバ様がいた。この日は遠征の件もあって、勇者リンがいると聞いたミネルバ様もこのギルドに足を運んでいたのだった。ところが相変わらず頭がジャイアンの勇者リンは、ミネルバ様がいるにもかかわらず。

「この作戦に、俺たちが参加するには条件がある。それはこいつが荷物運びをすることだ！！」

このような条件をギルド側に突き付けてきたのだった。つまり、俺を荷物運び通称ポーターと呼ばれる馬引きなんだか、どうしても勇者は俺を荷物運びにしたいらしい。しかし、こんな無茶苦茶な条件をギルドは飲めるはずもないと思っていると

「はい！！わかりました！！」

対応しているサマンサちゃんが即答した。

え――――――――！！うそ！！

驚いた表情を見せているんだけど、サマンサちゃんは無視をしていている。

俺はというと後ろからオードリーに口を塞がれ何も言えないでいる。

「むぐぅーーーーー！！」

ニッコリとさも満足げな笑みを浮かべた勇者リン余程、条件を飲んでもらったことがうれしかったのか、

「そうですよねぇ」

そう言って俺の方に視線を向け、人を見下した視線を浴びせ、勝ち誇ったように

「という訳だ。村人、荷物運び頼んだよ」

勇者達はギルドを後にしたのだった。


＊＊＊

俺が解放されたのは勇者たちがギルドを去ってしばらくしてからのことであった。完全に無視された俺はサマンサちゃんの所へいった。

「どういうことだ！！」

するとサマンサちゃんもすみませんと頭を下げた。

「だから？どういうことなんだ？」

再び問いただすと後ろからミネルバ様が

「勇者の優先権という勇者にだけ与えられた権利だ」

「そんな・・しかし、俺にも拒否権はありますから」

「それはない！！」

「だったら！！実力行使で何もしないですよね」

「それは困る」

「何故？」

「これはサントス王国から与えられた権利だ。我々諸侯はどうすることも出来ない」

その言葉を聞いて二人に目をやるがいい顔をしない。

「だったら・・今回は、ミネルバ様、貸しにしておきますがいいですが？」

「貸しだと？」

するとサマンサちゃんはその言葉にすぐに反応した。

「村人様・・・その貸し、私が引き受けますから」

「じゃぁ・・サマンサちゃんヨロシクね・・」

軽く頷くサマンサちゃん、一方その言葉にミネルバは動揺した。

「貸しとはどういう意味だ！！」

するとサマンサちゃんが

「ミネルバ様申し訳ございません。ミネルバ様がご想像されている貸しです」

その言葉を聞いて

「サマンサ・・・」

するとサマンサちゃんが震える声で

「ミネルバ様を裏切る様な行為になります。すみません・・・でも・・・覚悟はしております。これもミネルバ様の為」

するとミネルバ様が彼女を抱きしめたのだった。

「すまぬ・・・お前にばかり苦労を掛けて」

「ミネルバ様・・・」

その場で泣き崩れるサマンサちゃんだった。そんな光景を見せつけられるとなんだか俺が悪者になったような気がする。俺は、単に貸しと言っただけなのに、彼女たちは何を考えているのあろうか？するとミネルバ様が振り返った。

「村人！！そなたの希望をかなえてやるぞ。今宵我が部屋へ来るがいい」

するとサマンサちゃんが、ミネルバ様と俺の間に入って来た。

「ミネルバ様！！それはなりませぬ！！ミネルバ様のお体まで汚れることは・・・汚れるのは私だけで十分です。お願いします。村人様。今宵私がお相手をいたしますので、なにとぞ、ミネルバ様には・・・この通りです」

するとミネルバ様はサマンサちゃんの肩に手を置いて

「いいか聞いてくれ。私は、お前を失いたくない。汚れたことで、私から離れて行ってほしくないのだ」

「で・・でも・・・あいつがスケベなだけですよ。汚れるのは私だけで十分です。お願いです。ミネルバ様だけは・・・ミネルバ様だけは・・・」

やはりどう見ても俺が悪者だとなっているようだ。こんなことはまっぴらだ

「わかった・・・貸しは、俺が生きて帰って来てからでいい」


こうして俺はギルドを後にしたのだった。