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第1章 立身篇

第26話 村人 勇者と戦う

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「はじめ!!」

サマンサちゃんのこの一声で始まった戦い、相手は何をするかわからない。と言訳でまずはバリヤーを展開した。

勇者リンの攻撃、剣で俺を切りつけてきた。

「うぉおおおお!!!」

力一杯走って来ている。徐々に加速をしてきて剣を大きく振りかぶり高く飛んだ

「この一撃でぇええええ!!」

そう叫びながらバリヤーに激突した。

ぐぁん!!

バリヤーに激しく衝突して目の前で崩れ落ちる勇者だったが、意外にも立ち直りが早く、なんて丈夫なんだと感心するほどだ。普通ならその状況を見たパーティーのメンバーは少しでもたじろぐはずなのだが、流石は勇者様御一行だ。全く動じていない。逆に闘志を燃やしているようだった。今度は、剣士ギザエフが

「ならば、このギザエフ様の剣の錆にしてくれるわ」

ギザエフはご自慢の長刀を振りかざし斬りつけてきた。

「きぇええええええ!!」

ぐぁわわわわーーーん!!

俺に向けて勢いよく駆け出しながら切り付けてきたザギエフは自らの長刀を振り降ろす前に、展開したバリヤーはじかれたのであった。しかも、こいつも丈夫で直ぐに立ち直って構えなおしている。

「何かおかしいぞ。ザギエフ気をつけろ」

ようやく気付いたようだなと思った瞬間、今度は、二人の魔導士が、ファイヤートルネードを放ってきた。これも、バリヤーで簡単に防ぐことが出来た。その瞬間だった。

バリン!!

勇者が俺のバリヤーをぶち破ってきた。

「俺をなめるなよ!!」

さすが勇者だ。バリヤーを破るとは何か持っているのかもと感心している暇はなさそうだ。すぐにバリヤーを展開すると勇者は再び、バリヤーと格闘しはじめ、何度も何度も剣で斬りつけている。なんだ、力任せか。すると

バリン!!

バリヤーを破ったのだ。驚いている暇はない。すぐさま懐にあるクナイを投げると念力サイコキネシスで勇者達の元に誘導する。

キン!!

簡単に刀で受け流した勇者は

「俺も舐められたものだなぁ、この程度の攻撃で倒せるとおもっているのか」

そんな台詞を悠長にはいている間に俺のクナイは彼らの背後へ飛んでいき、服を切っていった。

「え?」

「うわっ!!」

「きゃ!!」

「いやーん!!」

勇者リンとギザエフはズボンがずりおち、魔導士二人は上半身がはだけて、各々服を押えながら俺を睨んでいる。普通ならばこれで負けとなるんだけど、彼らはそれを認めようとしない。慌てて服を直した勇者リンは叫んだ。

「ジルゴンジ!!」

勇者から何やら訳の解らない光が飛んできた。しまった!!よけきれない!!そう思った瞬間、その光に包まれた。

ん?あれ?

何も起こらない。辺りを見回し何事もなかったことを確認している俺とは対照的に攻撃が効かなかったことに驚いている勇者

「リン!!今よ」

マーリンの声に我に返って、構え直し再び叫んだ。

「ジルゴンジ!!」

うわ~!!まさか同じ攻撃をしてくるとは、まさかの展開に両手で防ぐポーズをした。そして、再び光に包まれた。しまった!!やられた!!と思った瞬間

ん?あれ?

何も起こらない。その状態に驚いている。

「な・・なぜだ?なぜ効かない?」

そんな言葉を勇者リンが独りごちた。

「そんなこと俺が聞きたいわい」

勇者に釣られて話をしていると今度はファイヤートルネードが襲ってきた。しまった!!今度もよけきれない。目の前に業火の竜巻が俺に近づいてきた。そして、その業火は俺を素通りして行った。

あれ?

「え?うそ・・」

するとギザエフが刀を振りかざして突進してきた。

「キェエエ!!!」

テレポーテーションで避けて、空中へ逃げると

「貴様!!卑怯だぞ!!」

「そうだ!!空を飛ぶなんて反則だ!!」

「そうだ!!そうだ!!」

勇者リンが叫んだ。このままでは延々と戦い続けることになる。あの勇者たちはかなりタフだ。すると勇者が何やら召喚を始めた。

ギャァアアア!!

何やらドラゴン系の召喚獣が出てきたぞ、これはやばいと思った時、ドラゴンから受け継いだ龍の力が発動した。

威嚇!!

ぎゃっ!?

さっきまで威勢が良かった召喚獣は急に大人しくなった。

「どうした?ビルドラ!!」

声をかける勇者に力なく

「くーん」

と声を上げると白く光り出し消滅した。

「ビ…ビルドラ?」

このことで有名の攻撃が少し緩んだ。この時だった。俺は役仙人に教わったことを思い出した。勇者と戦う時は、光子玉ソライエを使った目くらましの後、気絶シンコペーションを使うのじゃ、さすれば、奴らを傷つけずに倒すことができるぞ。

光子玉ソライエ!!」

すると俺の目の前にまぶしい光の球が現れた。

「う・・まぶしい!!」

その光がその場全員を包んだそん時だった。

気絶シンコペーション

そして、光の球が消えるとその場にいた全員が気絶していた。もちろん、サマンサちゃんも・・・

こうして勇者との戦いは終わったのだった。

***

「サマンサちゃん・・・サマンサちゃん・・」

目を覚ましたサマンサちゃんだが、まだ虚ろな目をして辺りを見回し、勇者たちが倒れているの気付いた。

「え?あ?あれ?・・・村人、一体何があったの?」

「何があってのって?俺が聞きたいよ。目の前に眩しい光の球が現れたのを覚えている?」

「うん」

素直にうなずくサマンサちゃん

「俺もあの後意識がなくなったんだけど」

俺の一言を疑っている目をしている。

「俺もさっきまで気を失っていたんだ」

「本当なの?」

「ああ・・本当だ」

そして、俺達の前には勇者パーティーの4人が気絶している。それを見た。サマンサちゃん

「これって?」

「よくわからないけど、みんな気絶していたわけだから、この戦いはなかったことにしない?」

「そうよね。そうしないと勇者たちの立場がなくなるわ」

ちょうどその頃勇者たちも目を覚まし始めていた

「いったい何があったんだ?」

一人の魔道士は上半身裸になっていた。

「いやーん!!」

そして、ザギエフは下半身裸に・・・それをまともに見たもう一人の魔導士が

「きゃー!!なんてもの見せるのよ」

「うぁあああ!!すまんすまん!!」

ザギエフは大慌てで股間を隠した。すると勇者リンは周りを見て

「一体何があったんだ?」

そこへ、サマンサちゃんが説明をした。

「不思議な光でみんな気絶させられたみたいです」

「そんなことがあるのか?」

白昼夢リビリエが起きたと思われます」

白昼夢リビリエこれは、光に包まれて、その人たちが気絶するという現象で、昔から報告されている事象だった。それが発生したとみんなは納得したのだった。そう役仙人がおっしゃったとおりになったのだった。

こうして、この戦いは無効ということになった。勇者たちも変な現象のあとだから、すっかり熱も冷めていて、再戦はないということだった。けど、俺をどうしても荷物運びにしたいとサマンサちゃんに言っているようだった。

あの戦いで俺に魔法攻撃が一切効かなかったことについては、白昼夢リビリエが起きる時、似た様な現象が起きるという言い伝えもあり、俺に魔法が通用しなかったという訳ではないという結論が出ていたのだった。そして、今回の腕試しは無効となり、俺のギルドポイントに加点されることはなかった。
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