Love Trap

たける

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6.

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カフェを出た2人は、取り敢えず空港から離れた。ノッドがテレポートするにしては人が多過ぎる。

「パムラ……か。パバハムーラじゃなくていいのか?」

そう尋ねるノッドに、ハンクは頷いた。例え向かう先に罠が仕掛けられていても、何としてでもフィックスを救いたい。それに銃は、空港近くのパバハムーラでは販売していない。

「俺には銃がいるからな」

サバル空港裏の駐車場まで歩くと、随分と静かになった。更に人の少ない場所を探していると、1組のカップルが揉めていた。
どうやらタイヤがパンクしたらしく、彼女は最悪よ、と彼に怒っていた。
最悪か……ふとその言葉が引っ掛かった。どこかで聞いたような気がする。

「どうかしたか?」

足を止めたハンクを、ノッドが数歩歩いてから振り返る。

「最悪……最悪……」

何度か呟いた時、ハンクはそれをどこで聞いたか思い出した。
目を見開きノッドを見遣ると、彼は首を傾げていた。

「思い出したぞ……!」
「何を?」
「最悪のシナリオだ!」

確かに聞いた。ストレインの口から、ノッドにメモリーチップを入れたあの場面で。

「だから、何が?」

険しい顔をするノッドに説明してやると、彼の顔は困惑に変わった。

「それってどう言う意味?」
「分からない。だがストレインが何かを企んでるのは確かだ」

それは、自分達にとっては最悪であり、ストレインにとっては最高のシナリオ。

「待て……フィックス……」

そう呟いたノッドは、次の瞬間には満面の笑みを浮かべていた。

「良かった。やっと通じた」




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