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第25章.変動
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あれから1週間のお正月休みがあり、今日、朋樹は出社して行った。俺はまだ謹慎中で──同棲を始めてから──1人、朋樹の家で時間をもて余している。トレーニングをしたくても、家で出来る事は限られていて、掃除でもしようかなと考えていると、携帯が鳴った。
──出社の許可でももらえるんだろうか?
そう期待してディスプレイを確認すると、登録していない番号が表示されている。受けていいものかと考えあぐねている間にも、呼び出し音は鳴り続けていた。
「もしもし……?」
結局、出る事にし、恐る恐る呼び掛けてみる。
『あぁ、良かった。出てくれてありがとう』
聞き覚えのある声がし、次いで我孫子だ、と、名乗られた。
「我孫子監督?どうして僕の番号を?」
『沢村に、どうしてもって頼んで教えてもらったんだ』
──そんな、俺の許可なく教えるなんて……!
「そうなんですね。で……ご用件は?」
監督に当たっても仕方ないのに、つい刺々しい物言いになってしまう。だけど監督は、気を悪くするでもなく、小さく笑った。
『君に話したい事があるんだ。それに、先日の事もちゃんと謝罪したいし』
「結構です」
その時の情景が甦り、胸が痛む。だから、会いたくないと、きっぱり断った。
『そう言わないで。沢村の事で、君に伝えたい事があるんだよ』
「沢村さんの……?電話でいいでしょう」
謹慎中なので、と、付け加える。
『じゃあ、オレが行くよ。どうしても会って伝えたいんだ』
そう食い下がる監督に──この分だと絶対引いてくれないだろう──渋々了承するしかなかった。
「でも僕、今朋樹の家にいるんです」
『分かった。そっちに行くよ』
それじゃあ、と、電話を切る。
──康介さんの話って、何だろう……?
とにかく、今から監督が来る事に、気が重くなった。
──出社の許可でももらえるんだろうか?
そう期待してディスプレイを確認すると、登録していない番号が表示されている。受けていいものかと考えあぐねている間にも、呼び出し音は鳴り続けていた。
「もしもし……?」
結局、出る事にし、恐る恐る呼び掛けてみる。
『あぁ、良かった。出てくれてありがとう』
聞き覚えのある声がし、次いで我孫子だ、と、名乗られた。
「我孫子監督?どうして僕の番号を?」
『沢村に、どうしてもって頼んで教えてもらったんだ』
──そんな、俺の許可なく教えるなんて……!
「そうなんですね。で……ご用件は?」
監督に当たっても仕方ないのに、つい刺々しい物言いになってしまう。だけど監督は、気を悪くするでもなく、小さく笑った。
『君に話したい事があるんだ。それに、先日の事もちゃんと謝罪したいし』
「結構です」
その時の情景が甦り、胸が痛む。だから、会いたくないと、きっぱり断った。
『そう言わないで。沢村の事で、君に伝えたい事があるんだよ』
「沢村さんの……?電話でいいでしょう」
謹慎中なので、と、付け加える。
『じゃあ、オレが行くよ。どうしても会って伝えたいんだ』
そう食い下がる監督に──この分だと絶対引いてくれないだろう──渋々了承するしかなかった。
「でも僕、今朋樹の家にいるんです」
『分かった。そっちに行くよ』
それじゃあ、と、電話を切る。
──康介さんの話って、何だろう……?
とにかく、今から監督が来る事に、気が重くなった。
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