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第2章.年下
4.
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「では、失礼いたします」
点検を終えた後、姫野と共に教頭先生のところへ戻り、応接室で新商品の説明も済ませた。
「ありがとうございます。いただいたパンフレットは、校長先生に渡しておきますね」
「ご検討、よろしくお願いします」
会釈し、応接室を姫野と出る。どうやら駐車場まで見送ってくれるらしい。
「しかし、まさかここで姫野に会うなんてな」
「ボクだってそうですよぉ。営業だって言ってたけど、まさかねぇ?」
駐車場へ向かう長い石階段を並んで下りる。潮の香りが鼻腔を擽り、最近釣りに行ってないなーって思った。
「また近いうちに会おうな」
「はい!あー、そうだ、剣崎先輩。今度の土曜日、暇っすか?」
来賓用の車は俺のだけで──他は教師達の自家用車が並んでいる──満車状態だった。ロックを解除したタイミングでそう言われたから、つい、動きを止めて見つめてしまう。
「予定はないけど……?」
圭人はその日、職場の先輩に付き添いを──何に、とは聞かなかったけど──頼まれて、会えないと言ってた。
「じゃあ、公開練習、見に来ませんか?」
──プライベートじゃないんだ。
近いうちに会おうなって言ってた矢先だから、期待したんだけど。
「いいよ」
ちょっとした不満は顔に出さず、自然と笑顔で答えていた。
点検を終えた後、姫野と共に教頭先生のところへ戻り、応接室で新商品の説明も済ませた。
「ありがとうございます。いただいたパンフレットは、校長先生に渡しておきますね」
「ご検討、よろしくお願いします」
会釈し、応接室を姫野と出る。どうやら駐車場まで見送ってくれるらしい。
「しかし、まさかここで姫野に会うなんてな」
「ボクだってそうですよぉ。営業だって言ってたけど、まさかねぇ?」
駐車場へ向かう長い石階段を並んで下りる。潮の香りが鼻腔を擽り、最近釣りに行ってないなーって思った。
「また近いうちに会おうな」
「はい!あー、そうだ、剣崎先輩。今度の土曜日、暇っすか?」
来賓用の車は俺のだけで──他は教師達の自家用車が並んでいる──満車状態だった。ロックを解除したタイミングでそう言われたから、つい、動きを止めて見つめてしまう。
「予定はないけど……?」
圭人はその日、職場の先輩に付き添いを──何に、とは聞かなかったけど──頼まれて、会えないと言ってた。
「じゃあ、公開練習、見に来ませんか?」
──プライベートじゃないんだ。
近いうちに会おうなって言ってた矢先だから、期待したんだけど。
「いいよ」
ちょっとした不満は顔に出さず、自然と笑顔で答えていた。
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