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第4章
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見張りの警官はまだ廊下に待機していて、家族全員がいると教えてくれた。そしてローレン達が病室に入るなり、ドリー以外の3人が嫌悪感を露にした。
「本来なら事情聴取を行うのに、娘さんに署へ来てもらう必要があったんですが……まぁ、彼女の状態が状態なだけに、ここで行わせて頂きます」
窓がカタカタと秋風で音を立てた。それにドリーは一瞬体を震わせたが、ローレンへと小さく頷いて同意した。
「ドリー、無理をするんじゃないぞ?嫌な事はちゃんと嫌だと言うんだぞ?」
サイモンが言った。ドリーがまた首肯したのを見てから、ローレンは話し出した。
「君は夕食会の時、どうして参加しなかったんだい?」
いきなりドリーの顔が曇り、代わりにサイモンが答える。
「ドリーは今大変な状態なんだよ、刑事さん!体調が悪くて部屋で寝て……」
「モーリスさん」
ローレンは厳しい口調でサイモンの言葉を遮った。
「僕はドリーに聞いているんです。貴方には後で質問しますから、黙っていて下さい」
そう言うと、サイモンは奥歯を噛み締めはしたが、黙った。
「ドリー、貴女が遭った誘拐未遂事件を調べたわ。怖かったでしょうね……」
ジェシカが言うと、家族全員に緊張が走った。ローレンはそんな家族を順に見遣り、最後にドリーを見つめた。
「それで、君は部屋で何を見たんだい?」
暫く考えてから、ドリーは口を開いた。その言葉はまるで、練習したような印象を受けた。
「私が部屋で休んでると、知らない男の人が入ってきて、首を吊ったんです」
口裏を合わすように言われていると感じたローレンは、手帳からドナルドの写真を取り出してドリーに見せた。
「その男の人は、この人?」
バストアップの写真だが、よく見ればセルクトラとは違う。だがドリーは、一瞬だけ写真を見た後すぐに顔を伏せた。
「その人よ!そいつが入ってきたの!」
「ドリー、よく見て。本当に彼だった?」
写真をドリーに近付け更に問い質すと、サイモンが怒鳴った。
「娘はそいつだと言ってるんだ!これ以上娘を怖がらせるんじゃない!」
ローレンはドナルドの写真をベッド脇の棚に置くと、新たな写真を手帳から取り出し並べた。
「こっちの男の人だったんじゃないかな?」
そう優しく言ったが、ドリーは違う、と言ってきかなかった。仕方なくローレンはデントの写真を指した。
「いいかい、ドリー。彼はドナルド・デントと言って、君を誘拐しようとした犯人だ。だけどね、彼は随分前……そう、君の事件が記事になった時に亡くなってるんだ」
ローレンが言うと、ドリーは漸く──恐々とだが──ドナルドとセルクトラの写真を見比べた後、涙を溢して呻いた。
「あぁ……私……怖いの……」
マイラは娘の肩を抱いて引き寄せると、同じ様に泣いた。カールは顔色を失い、サイモンだけが激昂して顔が赤かった。
「モーリスさん、僕は得られた証拠からこの事件を推測しました。もし間違っているなら仰って下さい」
ローレンはそう言うと、車内でジェシカに話した事を家族の為にもう1度話した。
「本来なら事情聴取を行うのに、娘さんに署へ来てもらう必要があったんですが……まぁ、彼女の状態が状態なだけに、ここで行わせて頂きます」
窓がカタカタと秋風で音を立てた。それにドリーは一瞬体を震わせたが、ローレンへと小さく頷いて同意した。
「ドリー、無理をするんじゃないぞ?嫌な事はちゃんと嫌だと言うんだぞ?」
サイモンが言った。ドリーがまた首肯したのを見てから、ローレンは話し出した。
「君は夕食会の時、どうして参加しなかったんだい?」
いきなりドリーの顔が曇り、代わりにサイモンが答える。
「ドリーは今大変な状態なんだよ、刑事さん!体調が悪くて部屋で寝て……」
「モーリスさん」
ローレンは厳しい口調でサイモンの言葉を遮った。
「僕はドリーに聞いているんです。貴方には後で質問しますから、黙っていて下さい」
そう言うと、サイモンは奥歯を噛み締めはしたが、黙った。
「ドリー、貴女が遭った誘拐未遂事件を調べたわ。怖かったでしょうね……」
ジェシカが言うと、家族全員に緊張が走った。ローレンはそんな家族を順に見遣り、最後にドリーを見つめた。
「それで、君は部屋で何を見たんだい?」
暫く考えてから、ドリーは口を開いた。その言葉はまるで、練習したような印象を受けた。
「私が部屋で休んでると、知らない男の人が入ってきて、首を吊ったんです」
口裏を合わすように言われていると感じたローレンは、手帳からドナルドの写真を取り出してドリーに見せた。
「その男の人は、この人?」
バストアップの写真だが、よく見ればセルクトラとは違う。だがドリーは、一瞬だけ写真を見た後すぐに顔を伏せた。
「その人よ!そいつが入ってきたの!」
「ドリー、よく見て。本当に彼だった?」
写真をドリーに近付け更に問い質すと、サイモンが怒鳴った。
「娘はそいつだと言ってるんだ!これ以上娘を怖がらせるんじゃない!」
ローレンはドナルドの写真をベッド脇の棚に置くと、新たな写真を手帳から取り出し並べた。
「こっちの男の人だったんじゃないかな?」
そう優しく言ったが、ドリーは違う、と言ってきかなかった。仕方なくローレンはデントの写真を指した。
「いいかい、ドリー。彼はドナルド・デントと言って、君を誘拐しようとした犯人だ。だけどね、彼は随分前……そう、君の事件が記事になった時に亡くなってるんだ」
ローレンが言うと、ドリーは漸く──恐々とだが──ドナルドとセルクトラの写真を見比べた後、涙を溢して呻いた。
「あぁ……私……怖いの……」
マイラは娘の肩を抱いて引き寄せると、同じ様に泣いた。カールは顔色を失い、サイモンだけが激昂して顔が赤かった。
「モーリスさん、僕は得られた証拠からこの事件を推測しました。もし間違っているなら仰って下さい」
ローレンはそう言うと、車内でジェシカに話した事を家族の為にもう1度話した。
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