幻想序曲

たける

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第五章

2.

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骨の頭領を守るように、骸骨達は囲み、そして攻めてくる。いくらそいつらを灰にしても、骨の頭領が再生させてしまう。キリがなかった。次第に4人は疲れてきていた。

「美山さん、キリがないですよ。僕、もう駄目だ」
「本当にキリがないです。ここは骨の頭領を狙うしかないでしょう。オレら3人が回りを灰にしますから、美山さんが頭領をお願いします」

京助はなんとか頷いたが、心臓が悲鳴を上げている事は確かだった。持つのか?なんとしても持たせなければならない、なんとしても。
帝のぎこちなく危なっかしい力の使い方も、なんとかコツを掴んでいた。体力のない帝と澤木は、肩を忙しそうに上下させている。

「辛いだろうけどしっかりするんだ!」

頷く。

──カタカタカタ

3人は骸骨の群れの前へ飛び出した。それに少し遅れて京助が飛び出た。骸骨たちは次々に灰になり、再生していく。隙を見つけなければ。だが再生する骸骨の数も減ってきている。骨の頭領も疲れてきているのだ。どちらが先に参ってしまうのだろうか。京助はゴクリと唾を飲んだ。

「消えろ!」

帝が大きく叫んだ。すると帝の回りから幾つもの光る球ができ、骸骨達に向かって飛んでいく。その光に触れると、骸骨はいっぺんに灰になった。

「ミカド、イイナア。ハヤクソノノウリョクガホシイヨ」
「お前なんかにくれてたまるか!」

最初は50体程もいた骸骨達も、今はたったの10体程度に減っていた。

「美山さん、あと少しですがんばって……!」

京助はガクリと膝をつき、口元を手で押さえた。喉が熱い。何か湧き出てくる。

「ぐっっ……!」

大量の血が溢れ出た。体内だけの悲鳴が、ついに体外にも及んだのである。

「美山さん!」

3人が口々に叫んだ。骨の頭領は笑っている。

「モウオワリミタイダネ、ミヤマキョウスケ。ワタシヲコロセナカッタネ、カタキヲトレナカッタネ」

──カタカタカタ

悔しい、ここまできて自分は死ぬなんて。今の今までこいつらだけ、こいつらを倒すためだけに必死になって……

「ハァハァ……」
「美山さん、しっかりしてや。こんな中途半端なままで死ぬなんてアカン!」

帝は京助を抱え上げた──恐ろしく軽い──こう言ったものの、帝の目にも京助は、もうあと少しの命と言う事が分かっていた。
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