幻想序曲

たける

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第二章

2.

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街灯がポツリポツリあるとはいえ、来た事のない道をたった1人で走るのは悲しかった。恐かった。だんだん息も切れ切れになり、帝は1度足を止めた。

「ゼェゼェ……」

呼吸が荒い。こんなに走ったんは、高校の持久走の授業以来やわ、などと思いながら、必死で呼吸を整える。地図によると、もう少ししたところになっている。それにもうそろそろ、30分経ってしまう。本当なら休まず走り続けた方がいいのだろうが、帝にはそれは無理な相談だった。体力がないのである。

「もうちょっとや」

ヨロヨロと壁に添って歩く。いつからか、回りでカタカタと骨の音がするようになった。藤崎の手か
らうまく逃れたモノだろう、そんな奴等が近くにいるのだ。帝は急いだ。
やがて目の前に、目的の家が見えた。かなり大きく、お屋敷といった感じだ。表札には澤木とあ
る。
六望星が更に薄れると、骸骨たちが姿を現し始めた。

「くぅ……」

残った力を使い、帝は走った。門が行く手を阻むように思えたが、帝が走ってくると知っていたかのように、門は開いた。そこに何の躊躇いもなく、帝は入っていった。帝が入りきると、門はひとりでに閉まった。骸骨たちは門の向こうでカタカタと言っている。

「アオヤマミカド、オマエ、オレタチノナカマ、ナル」

耳を塞ぎ、帝は玄関の扉にもたれた。もう1歩も歩けない、ズルズルと座り込んだ。

「誰がアンタらの仲間になんかなるか!」

ついに六望星が消えた。しかし、それでも骸骨たちは門の向こうでカタカタと言っていて、入っては来なかった。その時、急に玄関の扉が開いた。1人の男が立っている。

「アンタが、澤木さん?」
「そう言う君は、青山帝さん?」

お互い頷いた。それから帝は中に招き入れられた。




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