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取調室へ酒井護を連れて入るなり、加藤は山下に家宅捜査の令状を取ってくるよう指示した。
「アンタは重要参考人だ、そんなに固くならないで、知ってる事を話して欲しい」
そう促すと、酒井は祭壇前にあった魔方陣とは別に、自身も魔方陣を描いてこの悪魔を喚起したのだと告白した。
「何故そんな事を?」
「私はそれを見た時、父を殺した犯人は、悪魔喚起をしようとしたんだと悟りました。ですが、あの魔方陣は失敗作だったんです。だから、私が悪魔を使って犯人をつきとめ、父を死に追いやった報いを受けてもらおうと考えたんです」
それを聞きながら、加藤はタバコに火をつけた。相変わらず悪魔は酒井の側にいて、ニヤニヤと笑っている。加藤からしてみれば、酒井の言い分はおよそ納得出来るようなものではなかったが。
「何で悪魔に頼ろうとしたんだ?神を信仰するアンタが」
「目には目を、歯には歯を、と言うでしょう?」
そう言った酒井の目は真剣そのものだった。加藤は納得したフリをしながら、新たな質問をした。
「今、あれは失敗作だって言ったな?何故だ?高木聖夜は、あれから悪魔が出てきたと言っていた。その証拠に、それの載った本も見せてもらったよ。それについては、どう説明する?」
そう尋ねると、酒井は首を傾げて見せた。金髪が揺れる。
「それは知りません。以前にも言いましたが、私はそれを別の本で見たんです。それとは違っていたから、失敗作だと思ったので……」
「それなら、悪魔はもう1体いるって事か?」
まったくややこしい。警察には悪魔を逮捕する権限などない。ましてや、探し出す事も無理だろう。高木聖夜の力を借りれば別だが。
「それで……アンタは、その悪魔に願い事を叶えてもらったのか?」
タバコを灰皿で揉み消し、加藤は立ち上がった。酒井はその問いに対し首を振っただけで、黙ってしまった。
──願い事を叶えていたら、酒井は犯人を教えてもらっている事だろう。もしかしたらもう、叶えてもらっていて、俺達に言わないだけなのか……?
疑問が浮かんだが、加藤は警官に命じて酒井を留置所に入れてもらった。すると山下が捜査令状を手にかけてきた。
「さて、一体何が出るか……」
2人は再び教会に赴いた。
「アンタは重要参考人だ、そんなに固くならないで、知ってる事を話して欲しい」
そう促すと、酒井は祭壇前にあった魔方陣とは別に、自身も魔方陣を描いてこの悪魔を喚起したのだと告白した。
「何故そんな事を?」
「私はそれを見た時、父を殺した犯人は、悪魔喚起をしようとしたんだと悟りました。ですが、あの魔方陣は失敗作だったんです。だから、私が悪魔を使って犯人をつきとめ、父を死に追いやった報いを受けてもらおうと考えたんです」
それを聞きながら、加藤はタバコに火をつけた。相変わらず悪魔は酒井の側にいて、ニヤニヤと笑っている。加藤からしてみれば、酒井の言い分はおよそ納得出来るようなものではなかったが。
「何で悪魔に頼ろうとしたんだ?神を信仰するアンタが」
「目には目を、歯には歯を、と言うでしょう?」
そう言った酒井の目は真剣そのものだった。加藤は納得したフリをしながら、新たな質問をした。
「今、あれは失敗作だって言ったな?何故だ?高木聖夜は、あれから悪魔が出てきたと言っていた。その証拠に、それの載った本も見せてもらったよ。それについては、どう説明する?」
そう尋ねると、酒井は首を傾げて見せた。金髪が揺れる。
「それは知りません。以前にも言いましたが、私はそれを別の本で見たんです。それとは違っていたから、失敗作だと思ったので……」
「それなら、悪魔はもう1体いるって事か?」
まったくややこしい。警察には悪魔を逮捕する権限などない。ましてや、探し出す事も無理だろう。高木聖夜の力を借りれば別だが。
「それで……アンタは、その悪魔に願い事を叶えてもらったのか?」
タバコを灰皿で揉み消し、加藤は立ち上がった。酒井はその問いに対し首を振っただけで、黙ってしまった。
──願い事を叶えていたら、酒井は犯人を教えてもらっている事だろう。もしかしたらもう、叶えてもらっていて、俺達に言わないだけなのか……?
疑問が浮かんだが、加藤は警官に命じて酒井を留置所に入れてもらった。すると山下が捜査令状を手にかけてきた。
「さて、一体何が出るか……」
2人は再び教会に赴いた。
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