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アルテミス号では、ジョシュの作戦に僅かな興奮を皆感じていた。
「そのシールド解除コード、どこで教えて貰ったんだよ?」
そうデルマが持ち場に着きながら尋ねると、ジョシュは人差し指を唇に宛てがった。
「程密。そう簡単には言えないよー」
ジョシュはそう言いながらウィンクし、自分の胸元に通信器をつけるホップスを見下ろした。黒く艶やかな彼女の髪が照明で光っている。
「本当に1人で大丈夫?」
さっき説明されたジョシュの作戦は、とてつもなく無茶なものだった。だが、いくら止めてもこの男は行ってしまう。
「あぁ、大丈夫さ。多分ね。向こうにはファイ副艦長もいるし」
そう言いながらも、ジョシュは頭の中にラナフ号の艦内地図を広げていた。
通常艦内の造りは、それに乗船するクルーか造船に立ち会った機関士、及び宇宙艦隊に所属する艦長クラスの者しか知らない。だがジョシュは、それを図書室にある古い文献の中に見た。そこには、現存する5つの航宙艦の設計図が記されていた。だがそのうちの1つ、ルドルフ号はもうない。またその設計図を元に再造船されるだろう。それには長い年月を要する。
「地図は頭の中にあるし、転送装置でメインブリッジに突然現れたら、みんなびっくりするだろうし」
その混乱を利用し、ジョシュは3人を確保するつもりだった。
「俺が転送されたらすぐ解除コードを入力し、一斉攻撃を始めるんだ」
そうデルマとミューズに言い、ジョシュはカールと共にリフトへと乗り込んだ。そして扉が閉まり仲間達にカッコイイ挨拶をしようとした時、ワイズが駆け寄ってきた。その顔は心配と飛行恐怖症の為青ざめている。
「ジョシュ、頼んだぞ」
「任せろって……!俺は、かの有名なジョシュ・デビットだぞ……?」
そう笑いながら扉が閉まり、リフト内にカールと2人だけになった。
「ラナフ号のメインブリッジの座標は、さっき言った通りだから」
「OK。しかしお前凄いな。解除コードだけじゃなく、コードも変更してシールドをかけ直す事まで出来るなんてよ」
リフトから降り、ジョシュはそのまま転送台に上がった。
「まぁね」
救出のシュミレーションは何度となく熟してはいるが、実戦は初めてだ。ジョシュの胸は緊張でいっぱいだった。カールは素早く座標を入力すると、ジョシュに敬礼した。
「健闘を祈る……!」
ジョシュも敬礼で返すと、カールは転送ボタンを押した。瞬く間にジョシュの体は光の螺旋に包まれ、そして転送台から姿を消した。カールはコンソール前に座ると、無事親友が戻る事を願い指を強く組んだ。
「そのシールド解除コード、どこで教えて貰ったんだよ?」
そうデルマが持ち場に着きながら尋ねると、ジョシュは人差し指を唇に宛てがった。
「程密。そう簡単には言えないよー」
ジョシュはそう言いながらウィンクし、自分の胸元に通信器をつけるホップスを見下ろした。黒く艶やかな彼女の髪が照明で光っている。
「本当に1人で大丈夫?」
さっき説明されたジョシュの作戦は、とてつもなく無茶なものだった。だが、いくら止めてもこの男は行ってしまう。
「あぁ、大丈夫さ。多分ね。向こうにはファイ副艦長もいるし」
そう言いながらも、ジョシュは頭の中にラナフ号の艦内地図を広げていた。
通常艦内の造りは、それに乗船するクルーか造船に立ち会った機関士、及び宇宙艦隊に所属する艦長クラスの者しか知らない。だがジョシュは、それを図書室にある古い文献の中に見た。そこには、現存する5つの航宙艦の設計図が記されていた。だがそのうちの1つ、ルドルフ号はもうない。またその設計図を元に再造船されるだろう。それには長い年月を要する。
「地図は頭の中にあるし、転送装置でメインブリッジに突然現れたら、みんなびっくりするだろうし」
その混乱を利用し、ジョシュは3人を確保するつもりだった。
「俺が転送されたらすぐ解除コードを入力し、一斉攻撃を始めるんだ」
そうデルマとミューズに言い、ジョシュはカールと共にリフトへと乗り込んだ。そして扉が閉まり仲間達にカッコイイ挨拶をしようとした時、ワイズが駆け寄ってきた。その顔は心配と飛行恐怖症の為青ざめている。
「ジョシュ、頼んだぞ」
「任せろって……!俺は、かの有名なジョシュ・デビットだぞ……?」
そう笑いながら扉が閉まり、リフト内にカールと2人だけになった。
「ラナフ号のメインブリッジの座標は、さっき言った通りだから」
「OK。しかしお前凄いな。解除コードだけじゃなく、コードも変更してシールドをかけ直す事まで出来るなんてよ」
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「まぁね」
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「健闘を祈る……!」
ジョシュも敬礼で返すと、カールは転送ボタンを押した。瞬く間にジョシュの体は光の螺旋に包まれ、そして転送台から姿を消した。カールはコンソール前に座ると、無事親友が戻る事を願い指を強く組んだ。
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