arkⅡ

６．

１

艦長から、暫く自室休憩、を貰った乗組員達は、各部屋に入った。ノッドも自室へ向かおうとしたが止め、その足で恋人の元へ向かった。

「ファーイ……！いる？」

教えて貰った暗証番号を入力し部屋に入ると、ファイの姿はなかった。代わりに、ユニットバスの方からシャワーの音が聞こえた。
上がって来るのを待っていようかと考えたが、すぐに恋人を抱きしめたかったノッドは──制服を脱ぎ散らかして──シャワールームへと入った。
湯煙の中に白い肌が見え、後ろから抱きしめる。

「ノッド……！」

僅かだけ驚いたファイは、シャワーを頭からかぶったまま振り返った。黒い艶やかな髪も、長い睫毛も濡れている。

「一緒に入ろう……？」

とは言え、ここで断られたらどうしようか、とも思う。

「既に入ってきてるじゃありませんか」
「待てなかったんだよ」

ノッドもシャワーを浴びながら、細いファイの首筋に口付けた。

「なぁファイ……こっち向いて」

そうねだると、ファイはゆっくりとノッドに向き直った。

「まさか、ここで？」
「そう。そのまさか、さ」

戸惑うファイをタイル壁に押しあて、首筋から鎖骨、胸元へと唇を這わせて行く。シャワーで上気する肌は温かく、鼓動が少し早い。

「ノッド……ここでは……んっ」

堅苦しい事を言いそうになる唇を塞ぎ、ノッドは指を這わせた。
突起する果実のようなそれを摘み、こねるように弄る。すると、ファイはピクリと震えた。

大切な人を失った王女。
好きな人に告白しなかった艦長。
愛しい人がいる自分。
３人を比べたら、自分が１番の幸せ者だと気付く。


──失いたくない。


「愛してる……ファイ」

ずっと告げていたい気持ちを囁いた。