Love Monster

３．

６

閲覧室に戻ったフィックスは、ノッドに喜怒哀楽以外にも感情がある事を語った。彼は黙ったまま聞いている。

「君もすぐ分かるさ。感情は頭で感じるのではなくて、心で感じるものだから」

そう結ぶと、ノッドは悪戯な笑みを浮かべた。

「快感は知ってる」

その言葉に顔がまた熱くなる。

「それで……ハンクって奴と付き合ってやるのか？」
「いや……どうだろう。今までそんな事、考えた事なかったから」

好きは好きだ。だが、だからと言ってそれが、直接交際に結びはつかない。

「好きなのに付き合わないってのは、何て感情なんだ？」

ノッドに尋ねられ、フィックスは口ごもった。
分からない。

「分からない……」

他に、気にかかる人がいるからだとも思う。それはファイなのか、それとも別の誰かなのか。

「別の誰かって？」

また心を読まれ、フィックスは戸惑った。そう再々心を読まれたのでは、堪ったものではない。

「いいかい、ノッド。君が心を読める事はよく分かってる。だが、そう度々読むものではないよ。普通の人は、君みたいにはっきりと心は読めないんだから」

そう窘めると、ノッドはそっぽを向いてしまった。

「ノッド、そっぽを向かないでくれ」

お願いだ、と言うと、ノッドはゆっくりと振り返った。

「いつになったら外に出られるんだ？」
「もう１度、ストレイン博士に頼んでみるよ」

そう言って立ち上がりながらノッドの頭を撫でる。

「分かった。待ってる」

ノッドはそう言うと、世界の鳥類を開いた。