Love Monster

１．

２

警部補に呼び出されたフィックスは、執務室で彼と向き合って座った。

「私をお捜しだったみだいですが……何か？」
「ケリー、新聞は読んだか？」

デリアム・ジグザ警部補はそう言い、フィックスの前に新聞を投げ出した。それはさっき、相棒のブラス・エンカートと読んでいたものと同じ新聞だった。

「えぇ、目は通しました。これが何か？」

薄々気付いていた。だが、まさか自分が、とは思いたくない。

「だったら話が早いな。このサイボーグ坊やの護衛を頼まれたんだが、君が行ってくれないか？」

やはり、と内心舌打ちするが、表情には出さない。上司からの直々の命令に、フィックスのような刑事が歯向かえる訳はないのだ。

「分かりました。引き受けましょう。それで……いつからなんです？」

新聞をデスクの脇へ避けながらそれを横目に睨む。

「先方さんは、今日の１２時にサバル図書館へ来て欲しいそうだ」

何故図書館？そう思った瞬間、ジグザの顔が近付いた。

「いいか、これは極秘だからな……！誰にも何処へ行くかなんて言うんじゃないぞ」
「ですが、エンカートには何と言えば……？」

彼は相棒だ。事件があれば一緒に行動する。

「別件を任せると言っておく。いいか、ケリー刑事。極秘だからな……！」

念を押され、フィックスは黙って頷くしかなかった。

「これだけは俺の口からも言える情報だが……」

警部補は護衛対象者の、サイボーグの名前をフィックスに教えてくれただけだった。後は向こうに行った時に聞け、と言われ、執務室を追い出された。