道化の情

たける

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序章

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ビリーに連れられ、繁華街から少し放れた路地に来たマイケルは、その角に美しいブロンドの女を見た。

「あいつ、ナターシャって言う俺の友達なんだが、可愛いぜ……!」

肩を抱かれたままナターシャに近寄られ、マイケルは狼狽えた。

「はぁい、ビリー。久しぶりじゃない」

えくぼが愛らしい。胸元が露出した挑発的なワンピースを着たナターシャは、2人に軽く手を上げた。

「こいつ、俺の友達のマイケルっつーんだけどよ、暗くてたまんねーんだ。ちょっと明るくしてやってくんねーかな?」

そうビリーが言うと、彼女は──長い睫毛を幾度か瞬かせた後──マイケルを見つめてきた。

「ふふ……いいわよ。でも初めてっぽいわね、彼」

腕を組み、ナターシャがマイケルの前に立った。甘い香水の匂いが頭を痺れさせる。
こんな近距離で異性と向き合ったのは、エレメンタリースクール以来ではないだろうか、とマイケルは緊張し、彼女を見つめ返せなかった。




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