2人

たける

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3.鳴海ケンイチ

2.

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そうやって拐った村上ハヤトは、随分と静かなものだった。
俯き、涙に濡れる茶色い瞳を覗いても、焦点はオレに合わない。


──なる程、本物ってわけか……


だからと言って、見逃す訳にはいかない。
ただ、オレから見てもコイツは綺麗な顔をしてやがる。運転手でありオレの右腕の栗山も、同じ感想を言っていた。

「死ぬ前に楽しい事をしてやる」

ガキの柔肌に触れると、ビクリと肩を震わせて体を捻る。その反応は可笑しく、オレは何度もガキに触れた。

「鳴海さん、そのガキ気に入ったんですか?」
「あぁ?そんなんじゃねーよ。ただ、反応が面白いんだ」

止めてと、小さく抵抗しているだけで、強引に行けばこのまま抱けそうな予感がする。オレはガキの顎を掴むと、無理矢理引き上げた。相変わらず焦点の合わない瞳は、遠くを見ている。

「お前、セックスした事ないだろ?」
「え……」

見る間に赤く染まる頬。
今まで数多の女や男を抱いてきたが、その誰とも違う反応。


──面白い……


無理に犯したら、泣き叫ぶだろうか?例えそうなったとしても、誰も助けには来ない。

「死ぬ前に経験させてやるって言ってんだよ……!」
「嫌だ!やだ!」

強引に引っ張ると、セーターが伸びた。漸く抵抗らしい抵抗を見せたが、振り回す腕が空を切っている。

「最初は痛いだろうが、すぐ自分から腰を振るようになるぜ」
「いやぁ!ミノル、助けて!」

バタバタする足から、ズボンを引き下ろす。生っ白い足がやけに艶かしい。

「大人しくしろ!」

つい手が出た。ガキの頬が赤くなり、ぐったりする。

「あーあ、可哀想に」
「ッルセー!お前は黙って運転してろ」

バックミラーに映る部下を睨み、オレは次いでガキを見下ろした。気を失っているのか、諦めたのか、静かだ。

「だからガキは嫌いなんだよ」

ガキの下着を下ろし、下半身を外気に晒す。流れる景色は既に暗く、窓が鏡のようにオレ達を映していた。




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