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第11章
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リリがカルロスとの待ち合わせ場所に指定されたホテルは、ブレイブシティでも名高い高級なホテルだった。その駐車場にクレイズは車を乗り入れると、様子を窺うべくノートパソコンを取り出した。
画面にはホテルの各部屋の写真開かれ、クレイズはその1部屋ずつを隈なくクリックし、カルロスの姿を捜した。程なくして4階の402号室にその姿を確認する事が出来た。
カルロスは1人くつろいでいる。どうやらリリはまだ来ていないようだった。画面から目を放さずコートのポケットから携帯を取り出すと、クレイズはゲイナーにかけた。
「ゲイナー、聞こえるか?リリはまだ、カルロスと接触していないみたいだ」
辺りを警戒しながらクレイズは静かに話した。
『そうか。なぁクレイズ、本当に私は、そっちに行かなくてもいいのか?』
ついて来たがるゲイナーを何とか言い包め警察署に留まらせたクレイズは、その言葉に笑みを浮かべた。
「大丈夫だ。話しを聞くだけだから、そんな心配する必要はない」
そうクレイズが答えると、駐車場に1台のタクシーが入って来た。そちらに目を凝らすと、後部座席からリリが下りて来た。
「リリが来たぞ」
『あぁ、そんな……!』
歎くゲイナーに、クレイズは優しく大丈夫だ、と言うと、そっと携帯を切った。
リリは辺りを警戒しながらホテルに入って行く。それを見遣りながら、クレイズは画面に視線を落とした。
カルロスはまだソファに腰掛けている。
ここからが問題だ。そう思い、クレイズは息を飲んだ。ゲイナーにとって悪い話しではない事を祈っていると、パソコンから軽いノックの音が聞こえた。
『私よ』
『開いている、入れ』
画面にリリの姿も映り、クレイズは更に神経を集中させた。
リリはカルロスに示されるままにその向かいに腰掛けると、暗い表情をカルロスに向けた。
『話しって言うのは?』
リリは、真っ直ぐカルロスを見つめながら尋ねた。
『お前にとって、悪い話しじゃない』
そう言うと、カルロスは微笑を浮かべリリに視線を合わせた。
『勿体振らないで』
『じゃあ、本題に入ろう』
カルロスは笑ったまま足をゆっくりと組み、肘かけに右腕を乗せた。
『ゲイナーを助けたいならある人物をここへ連れて来るんだ』
『ある人物?誰よ、それ……?』
クレイズも同じ事を思った。
するとカルロスは肘かけから腕を下ろすと、少し前傾になりながら口を開いた。
『お前にとって邪魔な女だ。そう言えば、分かるか?』
『……クレイズ……?』
少し考えてから、リリが目を丸くしながら答えた。何故自分の名前が出てくるのか分からず、クレイズも目を丸くした。
『あぁ、そうだ。すぐに、クレイズをこの部屋へ連れて来るんだ。比較的たやすいだろう?』
カルロスはそう言って意地の悪い笑みを浮かべると、腕時計に視線を落とした。
『どうしてクレイズを?』
『お前は知らんでいい。俺の言った通り、連れて来るだけでいいんだ』
冷たくそう言うと、カルロスは再びリリを見遣った。
『早く連れて来い』
そう言われ、リリは黙ったまま立ち上がった。
クレイズも画面から視線を上げると、カルロスの企みを考えた。どうして自分を連れて来いと言ったのか。ゲイナー殺害に、もっとも邪魔な存在だからか?などと考えていると、ホテルからリリが沈んだ顔で出て来た。それを見たクレイズは──慌ててノートパソコンを鞄に仕舞い──偶然を装う為、運転席からゆっくりと下り、リリをさも今見つけた、と言わんばかりに声をかけた。
「リリじゃないか。こんなところでサボリか?」
そう言いながら、いつかリリに髪を切ってもらった事をふと思い出した。
「クレイズ……!貴方こそ、どうしてここへ?」
リリはタクシー乗り場へ向けていた足をクレイズの元へ向けると、ゆっくりと近付いて来た。
「オレは神出鬼没なんだ」
はぐらかすように答えると、車の前でリリはため息をついた。
「まぁいいわ。調度良かった、貴方を捜していたのよ。話しがしたくて」
腰に手を宛がい、リリがそう言うとクレイズは笑みを返した。
「オレも、お前を捜していたんだ。偶然だな」
「じゃあここのホテルで話しをしない?人に聞かれたくないのよ」
うまく言った物だと内心でほくそ笑むと、クレイズはリリの申し出を受けホテルへ向かった。
リリは部屋を取るフリまでして、クレイズをカルロスのいる部屋まで案内すると、扉を開けて先にクレイズを部屋の中へと通した。
カルロスがいると分かっていても、クレイズは妙な緊張を覚えていた。まだ目的は分かっていない。だからかも知れない、と思いながら、クレイズは扉を潜った。そして真っ直ぐ見据えると、カルロスがソファに座っていた。それに驚いたフリをすると、リリは後ろ手に扉を閉めた。
「リリ、お前はもういい」
カルロスがゆっくりと立ち上がりながら言うと、リリはクレイズを睨んだ後、部屋を出て行った。
室内にカルロスと2人きりになったクレイズは、取り敢えずソファの前まで移動するとカルロスを睨んだ。
「何故、オレを誘い出せとリリに言ったんだ?」
「盗聴でもしていたのか?だとしたら、趣味が悪いな」
そう言いながら、カルロスは今までリリが座っていた場所へクレイズに座るよう手で示した。
「お前がゲイナーを狙っているからだ」
示されたソファに腰掛け、クレイズは足を組んだ。黒いコートの裾から、ジーパンが覗いている。
「じゃあ、何故俺がお前を呼び出したかも検討がついているんだろう?」
カルロスが微笑みながら尋ねて来た。自分を呼び出した件については推測はしている。
「邪魔をするなと言いたいんだろう?だがな、そう言う訳にはいかないんだ、カルロス」
「それは、お前がドーズよりもゲイナーを愛しているから、なのか?」
そう言ったカルロスの言葉に、クレイズは奥歯を噛み締めた。
「だから何だと言うんだ?そんなもの、俺には関係ない。クレイズ、これ以上邪魔をするな」
静かに、だが、威圧的にカルロスが言った。
「無理な話しだ。オレはゲイナーを守る為なら、何だってするさ……!」
話しにならない。そう思ったクレイズは、ソファから立ち上がろうと腰を浮かせた。
「そうか。ならば、俺も手段は選ばんぞ」
「何をするつもりだ?これ以上誰を罠にかけるつもりだ?リリだけじゃ、不満なのか?」
立ち上がり、カルロスを見下ろす形になったクレイズは、小さな拳を握りしめカルロスを睨んだ。だがカルロスは、相変わらずの余裕の笑みを見せている。
「さぁな。リリは、別に罠にかけた覚えはない。向こうから俺に交渉を持ち掛けて来たんだ」
そう言うと、カルロスもゆっくりと立ち上がった。
「だから、ゲイナーを助けたければと、こちらは条件を出しただけだ」
カルロスは不気味な笑みを浮かべたまま、クレイズへと歩み寄って来た。ドーズより、ゲイナーよりも背の高いカルロスは、クレイズにとって威圧的に感じる。
「お前も、もっと利口になったらどうだ?あんな男など、いなくなっても困らんだろう?」
クレイズの目の前に立ったカルロスは、そう言いながらクレイズの細い顎を引き上げた。
「馬鹿を言え……!ゲイナーはこの街に必要な人間だ」
「フン……まるでただの女だな?クレイズ」
カルロスの親指が、そっとクレイズの唇をなぞった。
「ただの、女……だと?」
その言葉に、クレイズは激しい怒りと嫌悪を覚えた。
「その言葉、撤回しろ!オレはただの女じゃない!」
顎を掴んでいるカルロスの腕に手をかけ、クレイズは精一杯カルロスを睨みつけた。
「だったら、お前は何だと言うんだ?」
カルロスは掴んでいるクレイズの手を簡単に引き離すと、素早く腰に腕を回し自身へと引き寄せた。
「オレは、悪党だ……!」
「ほぅ。だが、ゲイナーと言う男の為に、何の利益もなく身を削る馬鹿な女のようにしか、俺には見えんがな?」
引き寄せられたカルロスの腕に力が篭り、クレイズは逃げようとしても逃げる事が出来ないでいた。
「それも撤回しろ……!」
そう言うものの、クレイズには言い訳が出来ない。
「むきになる姿も、なかなか女らしいじゃないか」
「煩い!」
そう怒鳴り、クレイズは俯いた。
悔しい。ただの女だなんて、馬鹿にしてる。だがそれに剥きになる自分も許せなかった。
「ゲイナーは始末させて貰うからな、クレイズ」
そう言うと、カルロスはクレイズを解放した。
「何故、ゲイナーを狙う?」
床を見つめたままクレイズが尋ねると、カルロスが再びソファへと腰掛ける音がした。
「邪魔だからだ」
「それだけでゲイナーを?奴は本部長だ、殺すにしてはリスクが高すぎやしないか?」
顔を上げカルロスを睨むと、肘かけに頬杖をついていた。その仕種が、いかにもマフィアのボスらしく見える。
「疑ってるのか?」
「あぁ。それだけで必要以上にゲイナーを狙うはずがない」
そう言うと、カルロスは鼻先で笑った。
「そうだな、目的はそれだけではない」
「じゃあ、何だ?」
「お前が欲しい」
そう言ったカルロスの言葉に、クレイズは目を見開いた。また嘘をついている。しかも笑えない冗談だ。そう思ったクレイズは顔をしかめた。
「それも嘘なんだろ?本当の事を言え……!」
見開いた目を細めカルロスを睨みつけると、クレイズは腕を組んだ。
「嘘は言っとらん。信じんならそれでいい」
画面にはホテルの各部屋の写真開かれ、クレイズはその1部屋ずつを隈なくクリックし、カルロスの姿を捜した。程なくして4階の402号室にその姿を確認する事が出来た。
カルロスは1人くつろいでいる。どうやらリリはまだ来ていないようだった。画面から目を放さずコートのポケットから携帯を取り出すと、クレイズはゲイナーにかけた。
「ゲイナー、聞こえるか?リリはまだ、カルロスと接触していないみたいだ」
辺りを警戒しながらクレイズは静かに話した。
『そうか。なぁクレイズ、本当に私は、そっちに行かなくてもいいのか?』
ついて来たがるゲイナーを何とか言い包め警察署に留まらせたクレイズは、その言葉に笑みを浮かべた。
「大丈夫だ。話しを聞くだけだから、そんな心配する必要はない」
そうクレイズが答えると、駐車場に1台のタクシーが入って来た。そちらに目を凝らすと、後部座席からリリが下りて来た。
「リリが来たぞ」
『あぁ、そんな……!』
歎くゲイナーに、クレイズは優しく大丈夫だ、と言うと、そっと携帯を切った。
リリは辺りを警戒しながらホテルに入って行く。それを見遣りながら、クレイズは画面に視線を落とした。
カルロスはまだソファに腰掛けている。
ここからが問題だ。そう思い、クレイズは息を飲んだ。ゲイナーにとって悪い話しではない事を祈っていると、パソコンから軽いノックの音が聞こえた。
『私よ』
『開いている、入れ』
画面にリリの姿も映り、クレイズは更に神経を集中させた。
リリはカルロスに示されるままにその向かいに腰掛けると、暗い表情をカルロスに向けた。
『話しって言うのは?』
リリは、真っ直ぐカルロスを見つめながら尋ねた。
『お前にとって、悪い話しじゃない』
そう言うと、カルロスは微笑を浮かべリリに視線を合わせた。
『勿体振らないで』
『じゃあ、本題に入ろう』
カルロスは笑ったまま足をゆっくりと組み、肘かけに右腕を乗せた。
『ゲイナーを助けたいならある人物をここへ連れて来るんだ』
『ある人物?誰よ、それ……?』
クレイズも同じ事を思った。
するとカルロスは肘かけから腕を下ろすと、少し前傾になりながら口を開いた。
『お前にとって邪魔な女だ。そう言えば、分かるか?』
『……クレイズ……?』
少し考えてから、リリが目を丸くしながら答えた。何故自分の名前が出てくるのか分からず、クレイズも目を丸くした。
『あぁ、そうだ。すぐに、クレイズをこの部屋へ連れて来るんだ。比較的たやすいだろう?』
カルロスはそう言って意地の悪い笑みを浮かべると、腕時計に視線を落とした。
『どうしてクレイズを?』
『お前は知らんでいい。俺の言った通り、連れて来るだけでいいんだ』
冷たくそう言うと、カルロスは再びリリを見遣った。
『早く連れて来い』
そう言われ、リリは黙ったまま立ち上がった。
クレイズも画面から視線を上げると、カルロスの企みを考えた。どうして自分を連れて来いと言ったのか。ゲイナー殺害に、もっとも邪魔な存在だからか?などと考えていると、ホテルからリリが沈んだ顔で出て来た。それを見たクレイズは──慌ててノートパソコンを鞄に仕舞い──偶然を装う為、運転席からゆっくりと下り、リリをさも今見つけた、と言わんばかりに声をかけた。
「リリじゃないか。こんなところでサボリか?」
そう言いながら、いつかリリに髪を切ってもらった事をふと思い出した。
「クレイズ……!貴方こそ、どうしてここへ?」
リリはタクシー乗り場へ向けていた足をクレイズの元へ向けると、ゆっくりと近付いて来た。
「オレは神出鬼没なんだ」
はぐらかすように答えると、車の前でリリはため息をついた。
「まぁいいわ。調度良かった、貴方を捜していたのよ。話しがしたくて」
腰に手を宛がい、リリがそう言うとクレイズは笑みを返した。
「オレも、お前を捜していたんだ。偶然だな」
「じゃあここのホテルで話しをしない?人に聞かれたくないのよ」
うまく言った物だと内心でほくそ笑むと、クレイズはリリの申し出を受けホテルへ向かった。
リリは部屋を取るフリまでして、クレイズをカルロスのいる部屋まで案内すると、扉を開けて先にクレイズを部屋の中へと通した。
カルロスがいると分かっていても、クレイズは妙な緊張を覚えていた。まだ目的は分かっていない。だからかも知れない、と思いながら、クレイズは扉を潜った。そして真っ直ぐ見据えると、カルロスがソファに座っていた。それに驚いたフリをすると、リリは後ろ手に扉を閉めた。
「リリ、お前はもういい」
カルロスがゆっくりと立ち上がりながら言うと、リリはクレイズを睨んだ後、部屋を出て行った。
室内にカルロスと2人きりになったクレイズは、取り敢えずソファの前まで移動するとカルロスを睨んだ。
「何故、オレを誘い出せとリリに言ったんだ?」
「盗聴でもしていたのか?だとしたら、趣味が悪いな」
そう言いながら、カルロスは今までリリが座っていた場所へクレイズに座るよう手で示した。
「お前がゲイナーを狙っているからだ」
示されたソファに腰掛け、クレイズは足を組んだ。黒いコートの裾から、ジーパンが覗いている。
「じゃあ、何故俺がお前を呼び出したかも検討がついているんだろう?」
カルロスが微笑みながら尋ねて来た。自分を呼び出した件については推測はしている。
「邪魔をするなと言いたいんだろう?だがな、そう言う訳にはいかないんだ、カルロス」
「それは、お前がドーズよりもゲイナーを愛しているから、なのか?」
そう言ったカルロスの言葉に、クレイズは奥歯を噛み締めた。
「だから何だと言うんだ?そんなもの、俺には関係ない。クレイズ、これ以上邪魔をするな」
静かに、だが、威圧的にカルロスが言った。
「無理な話しだ。オレはゲイナーを守る為なら、何だってするさ……!」
話しにならない。そう思ったクレイズは、ソファから立ち上がろうと腰を浮かせた。
「そうか。ならば、俺も手段は選ばんぞ」
「何をするつもりだ?これ以上誰を罠にかけるつもりだ?リリだけじゃ、不満なのか?」
立ち上がり、カルロスを見下ろす形になったクレイズは、小さな拳を握りしめカルロスを睨んだ。だがカルロスは、相変わらずの余裕の笑みを見せている。
「さぁな。リリは、別に罠にかけた覚えはない。向こうから俺に交渉を持ち掛けて来たんだ」
そう言うと、カルロスもゆっくりと立ち上がった。
「だから、ゲイナーを助けたければと、こちらは条件を出しただけだ」
カルロスは不気味な笑みを浮かべたまま、クレイズへと歩み寄って来た。ドーズより、ゲイナーよりも背の高いカルロスは、クレイズにとって威圧的に感じる。
「お前も、もっと利口になったらどうだ?あんな男など、いなくなっても困らんだろう?」
クレイズの目の前に立ったカルロスは、そう言いながらクレイズの細い顎を引き上げた。
「馬鹿を言え……!ゲイナーはこの街に必要な人間だ」
「フン……まるでただの女だな?クレイズ」
カルロスの親指が、そっとクレイズの唇をなぞった。
「ただの、女……だと?」
その言葉に、クレイズは激しい怒りと嫌悪を覚えた。
「その言葉、撤回しろ!オレはただの女じゃない!」
顎を掴んでいるカルロスの腕に手をかけ、クレイズは精一杯カルロスを睨みつけた。
「だったら、お前は何だと言うんだ?」
カルロスは掴んでいるクレイズの手を簡単に引き離すと、素早く腰に腕を回し自身へと引き寄せた。
「オレは、悪党だ……!」
「ほぅ。だが、ゲイナーと言う男の為に、何の利益もなく身を削る馬鹿な女のようにしか、俺には見えんがな?」
引き寄せられたカルロスの腕に力が篭り、クレイズは逃げようとしても逃げる事が出来ないでいた。
「それも撤回しろ……!」
そう言うものの、クレイズには言い訳が出来ない。
「むきになる姿も、なかなか女らしいじゃないか」
「煩い!」
そう怒鳴り、クレイズは俯いた。
悔しい。ただの女だなんて、馬鹿にしてる。だがそれに剥きになる自分も許せなかった。
「ゲイナーは始末させて貰うからな、クレイズ」
そう言うと、カルロスはクレイズを解放した。
「何故、ゲイナーを狙う?」
床を見つめたままクレイズが尋ねると、カルロスが再びソファへと腰掛ける音がした。
「邪魔だからだ」
「それだけでゲイナーを?奴は本部長だ、殺すにしてはリスクが高すぎやしないか?」
顔を上げカルロスを睨むと、肘かけに頬杖をついていた。その仕種が、いかにもマフィアのボスらしく見える。
「疑ってるのか?」
「あぁ。それだけで必要以上にゲイナーを狙うはずがない」
そう言うと、カルロスは鼻先で笑った。
「そうだな、目的はそれだけではない」
「じゃあ、何だ?」
「お前が欲しい」
そう言ったカルロスの言葉に、クレイズは目を見開いた。また嘘をついている。しかも笑えない冗談だ。そう思ったクレイズは顔をしかめた。
「それも嘘なんだろ?本当の事を言え……!」
見開いた目を細めカルロスを睨みつけると、クレイズは腕を組んだ。
「嘘は言っとらん。信じんならそれでいい」
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