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第10章
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結婚式を終えた翌日、ドーズが新婚旅行の提案をしてきたが、クレイズはそれを断った。今この街を離れたら、カルロスは確実にゲイナーを狙うだろう。だからと言って、自分に何が出来る訳でもないだろうが、ゲイナーを守りたかった。
「どうして断るのさ?」
そう尋ねるドーズに、クレイズは遅刻した理由を話した。カルロスがゲイナーを狙い殺そうとした事。そして自分も拉致された事。だが、カルロスに犯された事は話さなかった。言える筈もない。それに、もっと重大な事をクレイズは隠していた。ドーズは勿論、ゲイナーも知らない。
「大丈夫の割に沈んでいるね」
背中を向けているクレイズにドーズが近寄り、その肩をそっと抱いた。
「気も滅入るさ。ゲイナーの命が狙われたんだからな」
それも、クレイズの不安要素の1つだった。これでカルロスが手を引く訳がない。また何か仕掛けてくるだろう、そう考えただけで気が重い。
あと1つはまだ言えない。言うべきなんだろうが、怖くて言えなかった。
きっとトランクから脱出した時だろう。腹部をぶつけた。激痛を感じながら、それを隠し教会に向かった。控室に入る前にトイレに入ると、血が流れた。
──多分、流れた。
その事実を、ドーズに隠している。バレてしまわないだろうか不安だった。いや、いつかは知られてしまう事だろうが、それを話す時は、カルロスに犯された事も話さないといけないだろう。
「また本部長か。君は、事あるごとに本部長なんだね。やっぱり、まだ好きなの?」
クレイズの肩を引き自身の方へ向かせると、ドーズは僅かに体を折り曲げ、そう尋ねてきた。
ドーズは明らかに妬いている。ここで素直にまだ愛してると答えれば、ドーズもゲイナーに何をするか分からない。それも避けたかった。
「ゲイナーは親友だ。夫であるお前の友でもある。心配するのは当然だろ?」
もっともらしい言葉に、ドーズが喜ぶ単語を使って言ってやる。するとドーズは、満足そうに頷きクレイズを抱きしめた。
「愛してる、クレイズ」
「オレもだ、ドーズ。お前だけはオレを裏切らないでくれ」
そうクレイズは囁き、ドーズの首に腕を絡ませた。
「裏切らないとも」
ドーズは切なげに目を細め、大切そうにクレイズの顎を引き上げてそっと唇を重ねた。
「愛してる……クレイズ」
そう囁きながら、ドーズは何度も角度を変え唇を重ね直した。その度、絡まる舌が軽い水音を立てる。
ドーズの体を抱きしめている腕にクレイズが力を込めると、指先が僅かに上着に食い込んだ。
「ハァ……ハァ……ドーズ……んぅ……んっ……」
求め合うような口づけを交わした後、ドーズはクレイズをベッドへと押し倒し、パジャマを剥ぎ取った。
「あぁ、綺麗だ」
芝居がかったようにも聞こえるドーズの言葉に、クレイズはくすぐったさを感じた。素直で誰にでも愛想がいい。そして歪んでいるようにも思える愛情を無償で与えてくれるドーズに、クレイズは愛しさを感じる。深く愛されているのを感じる事が出来る。
クレイズは笑って見せると、ドーズを引き寄せた。鼻先が触れる程の近距離は、ドーズの荒い息遣いも感じられる。
「助けてくれ」
「君が望むなら」
即座に答えるドーズにキスをすると、ドーズはクレイズを抱きしめた。そして下着を脱がせ足を開かせると、既に興奮している自身をクレイズに挿入した。
「ふぅっ……あっ……!」
熱いドーズの体温に、クレイズはひっそりと目を細めた。
「好きだ、ドーズ」
そうクレイズが言うと、ドーズは口元を緩め、嬉しそうに笑った。そんなドーズに内心罪悪感を抱きつつ、クレイズもまた笑い返した。
「ドーズ……そんなに……あぁっ……オレが好きか?」
律動を開始したドーズに、突然尋ねてみた。するとドーズは、クレイズの胸を揉みながら強く頷いた。
「君は僕の全てさ。なによりも愛してる」
「そう……あっ……あんっ……オレも、お前が……ひっあぁっ……いなかったら、どうにかなって……しまいそうだ……あっ……!」
愛されている快感に身を震わせながら、クレイズはドーズを求め続けた。
夕方目を覚ましたクレイズは、隣で眠っているドーズを揺り起こした。
「今からゲイナーの様子を見てくる」
そうクレイズが言うと、ドーズは少し嫌な顔をした。
「そんな必要ないよ」
「カルロスがゲイナーの命をまだ狙っているんだ。カルロスの本当の目的が分かるまでの間だから、頼む」
わざとらしく甘えた声を出してやると、ドーズは渋々だが承諾した。
「で、カルロスの本当の目的って言うのは、いつ分かるの?」
クレイズが身支度を整えている背中から、ドーズが尋ねてきた。それについてはまだクレイズにも分からなかった。何故カルロスはドーズではなく、ゲイナーを狙うのか?ただ、犯罪がやりやすくなると言うだけではなさそうだ。そう感じているクレイズは、ドーズにそう言った。
「ハリスに、それとなく探りを入れてもらうよ」
着替え終えたクレイズは、名残惜しそうに見つめるドーズを置いて部屋を出た。
「どうして断るのさ?」
そう尋ねるドーズに、クレイズは遅刻した理由を話した。カルロスがゲイナーを狙い殺そうとした事。そして自分も拉致された事。だが、カルロスに犯された事は話さなかった。言える筈もない。それに、もっと重大な事をクレイズは隠していた。ドーズは勿論、ゲイナーも知らない。
「大丈夫の割に沈んでいるね」
背中を向けているクレイズにドーズが近寄り、その肩をそっと抱いた。
「気も滅入るさ。ゲイナーの命が狙われたんだからな」
それも、クレイズの不安要素の1つだった。これでカルロスが手を引く訳がない。また何か仕掛けてくるだろう、そう考えただけで気が重い。
あと1つはまだ言えない。言うべきなんだろうが、怖くて言えなかった。
きっとトランクから脱出した時だろう。腹部をぶつけた。激痛を感じながら、それを隠し教会に向かった。控室に入る前にトイレに入ると、血が流れた。
──多分、流れた。
その事実を、ドーズに隠している。バレてしまわないだろうか不安だった。いや、いつかは知られてしまう事だろうが、それを話す時は、カルロスに犯された事も話さないといけないだろう。
「また本部長か。君は、事あるごとに本部長なんだね。やっぱり、まだ好きなの?」
クレイズの肩を引き自身の方へ向かせると、ドーズは僅かに体を折り曲げ、そう尋ねてきた。
ドーズは明らかに妬いている。ここで素直にまだ愛してると答えれば、ドーズもゲイナーに何をするか分からない。それも避けたかった。
「ゲイナーは親友だ。夫であるお前の友でもある。心配するのは当然だろ?」
もっともらしい言葉に、ドーズが喜ぶ単語を使って言ってやる。するとドーズは、満足そうに頷きクレイズを抱きしめた。
「愛してる、クレイズ」
「オレもだ、ドーズ。お前だけはオレを裏切らないでくれ」
そうクレイズは囁き、ドーズの首に腕を絡ませた。
「裏切らないとも」
ドーズは切なげに目を細め、大切そうにクレイズの顎を引き上げてそっと唇を重ねた。
「愛してる……クレイズ」
そう囁きながら、ドーズは何度も角度を変え唇を重ね直した。その度、絡まる舌が軽い水音を立てる。
ドーズの体を抱きしめている腕にクレイズが力を込めると、指先が僅かに上着に食い込んだ。
「ハァ……ハァ……ドーズ……んぅ……んっ……」
求め合うような口づけを交わした後、ドーズはクレイズをベッドへと押し倒し、パジャマを剥ぎ取った。
「あぁ、綺麗だ」
芝居がかったようにも聞こえるドーズの言葉に、クレイズはくすぐったさを感じた。素直で誰にでも愛想がいい。そして歪んでいるようにも思える愛情を無償で与えてくれるドーズに、クレイズは愛しさを感じる。深く愛されているのを感じる事が出来る。
クレイズは笑って見せると、ドーズを引き寄せた。鼻先が触れる程の近距離は、ドーズの荒い息遣いも感じられる。
「助けてくれ」
「君が望むなら」
即座に答えるドーズにキスをすると、ドーズはクレイズを抱きしめた。そして下着を脱がせ足を開かせると、既に興奮している自身をクレイズに挿入した。
「ふぅっ……あっ……!」
熱いドーズの体温に、クレイズはひっそりと目を細めた。
「好きだ、ドーズ」
そうクレイズが言うと、ドーズは口元を緩め、嬉しそうに笑った。そんなドーズに内心罪悪感を抱きつつ、クレイズもまた笑い返した。
「ドーズ……そんなに……あぁっ……オレが好きか?」
律動を開始したドーズに、突然尋ねてみた。するとドーズは、クレイズの胸を揉みながら強く頷いた。
「君は僕の全てさ。なによりも愛してる」
「そう……あっ……あんっ……オレも、お前が……ひっあぁっ……いなかったら、どうにかなって……しまいそうだ……あっ……!」
愛されている快感に身を震わせながら、クレイズはドーズを求め続けた。
夕方目を覚ましたクレイズは、隣で眠っているドーズを揺り起こした。
「今からゲイナーの様子を見てくる」
そうクレイズが言うと、ドーズは少し嫌な顔をした。
「そんな必要ないよ」
「カルロスがゲイナーの命をまだ狙っているんだ。カルロスの本当の目的が分かるまでの間だから、頼む」
わざとらしく甘えた声を出してやると、ドーズは渋々だが承諾した。
「で、カルロスの本当の目的って言うのは、いつ分かるの?」
クレイズが身支度を整えている背中から、ドーズが尋ねてきた。それについてはまだクレイズにも分からなかった。何故カルロスはドーズではなく、ゲイナーを狙うのか?ただ、犯罪がやりやすくなると言うだけではなさそうだ。そう感じているクレイズは、ドーズにそう言った。
「ハリスに、それとなく探りを入れてもらうよ」
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