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ノナカ司令官達を収容したジョシュは、彼とその部下を客室へと案内した。滅多に使用しないとは言えど、きちんと清掃は行き届いている。
「では司令官、先程申し上げた様に、我々が責任を持って貴方達を第7字宙基地までお送りします」
振り返ったノナカは、客室に満足しているようだった。
「あぁ、分かったよ。だが、彼はどうしたのかね?」
「ノッドですか?私にもまだ分かりませんが、酷く疲れているんです。ですので、大事を取って現在は休ませております」
疲労の原因を、この後ファイから聞く事になっていた。本来なら、すぐにでも報告を受けるべきだったが、あれこれしているうちに、聞けずじまいになっていたのだ。
「疲れている、ねぇ……彼はサイボーグなんだろう?機械なのに疲れるなんて事があるのか?」
馬鹿にされたようで、ジョシュは内心腹が立った。だがそんな感情を表に出すまいと努めながら、ニコリと微笑む。
「彼は特別なサイボーグです。より人間に近く作られているのですよ」
「ふん、まぁいい。それで、どのぐらいで到着するんだ?」
それは予め、ルートを宇宙基地へ設定し直した際に、操舵士のハンク・デルマに確認を取ってあった。
「ワープ2で向かいますので、2日はかかります」
「そんなにか?私としても、ヨラヌス星が平和軍に加入した事を、一刻も早く本部に報告したい。何とかならないのか?」
──何て無茶を言いやがるんだ!艦にワープ2以上を出せと言うのか?
出来なくはないが、スピードを出せば出す程、彼女に負担がかかってしまう。多分カールはそれを承知しないだろうし、ジョシュとて受ける気にはならなかった。
「申し訳ありません、司令官。ワムールとの戦いで艦も負傷しております。ここはワープ2で行くより方法はありません。それ以上出すと、艦が大破する恐れがありますので……」
こう言っておけば、司令官も納得するだろう。現にノナカは唸るように頷くと、渋々それでいいと承諾した。
「では司令官、ごゆっくり」
踵を返し、客室を離れる。ジョシュの頭はもう、ファイからの報告を受けるような体制に入っていた。
リフトに乗り込み、音声認識装置にメインブリッジ、と告げると、あっと言う間に到着した。
「艦長、出発しますか?」
デルマが、自席からジョシュを振り返った。
「いや、まだだ。もう少し待ってくれ」
ワイズからの連絡がないところを見ると、まだジュリアは戻ってきていないようだ。一体、どれだけ時間がかかるのだろう?
「ただ今戻りました」
そう言ってブリッジへ入ってきたのは、ファイだった。きりりと唇を引き締めている。
「早速なんだが、ワムールとの戦いはご苦労だった。よく撃退してくれたな」
「いえ、艦長代理として、当然の事をしたまでです」
指令席に座ったジョシュの横へ、ファイが姿勢正しく立った。
「それで、ノッドの事なんだが……どうしてあんなに疲労しているんだ?」
そう尋ねると、ブリッジが静寂に包まれた。機器が立てる小さな音以外、何も聞こえない。
「彼には、4隻のワムール艦を止めてもらいました。そこでパワーを、ほぼ使い果たさせてしまったのです。私の責任です艦長、申し訳ありません」
通常の人間なら、こう言ったファイの淡々とした口調から、謝罪の気持ちを汲み取る事は出来ないだろう。だが彼をよく知るジョシュには、それがひしひしと伝わってきていた。
「……そうだったのか。いや、君が悪い訳じゃない。もし君がノッドにそう指示を出していなかったら、もしかしたら我々は、こうしていられなかったかも知れないからな」
ファイは頭を下げた。それにはさすがのジョシュも驚いた。
「いやいやいや!そんな事はしなくていい!ファイ、早く顔を上げるんだ」
慌てると、副艦長はゆっくりと体を起こした。
「とにかく、司令官には我々が送ると言ってある。ノッドにはその間、休んでいてもらうよ。だから君が、暫く科学席についてくれ」
「分かりました。あの、艦長。ディック機関士に、ノッドの様子を見て頂いてもよろしいでしょうか?」
科学席に移動しようとし、足を止めたファイが言った。ジョシュがそれに頷くと、副艦長はすぐにインターコムのスイッチを押した。
「こちらはファイです。ディック機関士長、ノッドの様子を見て頂きたいのですが」
そう言うと、すぐにカールの元気な返事があった。
『あいよー。すぐ向かうぜ』
「お願いします」
インターコムを切ったファイへと、ジョシュは指令席から立ち上がりながら言った。
「各部署に、出発準備をして待機せよと伝えてくれ。俺はちょっと船医長に会ってくる」
「では司令官、先程申し上げた様に、我々が責任を持って貴方達を第7字宙基地までお送りします」
振り返ったノナカは、客室に満足しているようだった。
「あぁ、分かったよ。だが、彼はどうしたのかね?」
「ノッドですか?私にもまだ分かりませんが、酷く疲れているんです。ですので、大事を取って現在は休ませております」
疲労の原因を、この後ファイから聞く事になっていた。本来なら、すぐにでも報告を受けるべきだったが、あれこれしているうちに、聞けずじまいになっていたのだ。
「疲れている、ねぇ……彼はサイボーグなんだろう?機械なのに疲れるなんて事があるのか?」
馬鹿にされたようで、ジョシュは内心腹が立った。だがそんな感情を表に出すまいと努めながら、ニコリと微笑む。
「彼は特別なサイボーグです。より人間に近く作られているのですよ」
「ふん、まぁいい。それで、どのぐらいで到着するんだ?」
それは予め、ルートを宇宙基地へ設定し直した際に、操舵士のハンク・デルマに確認を取ってあった。
「ワープ2で向かいますので、2日はかかります」
「そんなにか?私としても、ヨラヌス星が平和軍に加入した事を、一刻も早く本部に報告したい。何とかならないのか?」
──何て無茶を言いやがるんだ!艦にワープ2以上を出せと言うのか?
出来なくはないが、スピードを出せば出す程、彼女に負担がかかってしまう。多分カールはそれを承知しないだろうし、ジョシュとて受ける気にはならなかった。
「申し訳ありません、司令官。ワムールとの戦いで艦も負傷しております。ここはワープ2で行くより方法はありません。それ以上出すと、艦が大破する恐れがありますので……」
こう言っておけば、司令官も納得するだろう。現にノナカは唸るように頷くと、渋々それでいいと承諾した。
「では司令官、ごゆっくり」
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リフトに乗り込み、音声認識装置にメインブリッジ、と告げると、あっと言う間に到着した。
「艦長、出発しますか?」
デルマが、自席からジョシュを振り返った。
「いや、まだだ。もう少し待ってくれ」
ワイズからの連絡がないところを見ると、まだジュリアは戻ってきていないようだ。一体、どれだけ時間がかかるのだろう?
「ただ今戻りました」
そう言ってブリッジへ入ってきたのは、ファイだった。きりりと唇を引き締めている。
「早速なんだが、ワムールとの戦いはご苦労だった。よく撃退してくれたな」
「いえ、艦長代理として、当然の事をしたまでです」
指令席に座ったジョシュの横へ、ファイが姿勢正しく立った。
「それで、ノッドの事なんだが……どうしてあんなに疲労しているんだ?」
そう尋ねると、ブリッジが静寂に包まれた。機器が立てる小さな音以外、何も聞こえない。
「彼には、4隻のワムール艦を止めてもらいました。そこでパワーを、ほぼ使い果たさせてしまったのです。私の責任です艦長、申し訳ありません」
通常の人間なら、こう言ったファイの淡々とした口調から、謝罪の気持ちを汲み取る事は出来ないだろう。だが彼をよく知るジョシュには、それがひしひしと伝わってきていた。
「……そうだったのか。いや、君が悪い訳じゃない。もし君がノッドにそう指示を出していなかったら、もしかしたら我々は、こうしていられなかったかも知れないからな」
ファイは頭を下げた。それにはさすがのジョシュも驚いた。
「いやいやいや!そんな事はしなくていい!ファイ、早く顔を上げるんだ」
慌てると、副艦長はゆっくりと体を起こした。
「とにかく、司令官には我々が送ると言ってある。ノッドにはその間、休んでいてもらうよ。だから君が、暫く科学席についてくれ」
「分かりました。あの、艦長。ディック機関士に、ノッドの様子を見て頂いてもよろしいでしょうか?」
科学席に移動しようとし、足を止めたファイが言った。ジョシュがそれに頷くと、副艦長はすぐにインターコムのスイッチを押した。
「こちらはファイです。ディック機関士長、ノッドの様子を見て頂きたいのですが」
そう言うと、すぐにカールの元気な返事があった。
『あいよー。すぐ向かうぜ』
「お願いします」
インターコムを切ったファイへと、ジョシュは指令席から立ち上がりながら言った。
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