上 下
29 / 33

名前 ※

しおりを挟む
 エリオットは肩で息をしてぐったりしている天音の腰を抱え込み、尻に指を這わせると天音は慌てたように身を起こした。

 「で、殿下!?何を……」
 「いいから寝ていろ」
 
 そう言って天音の身体を優しく押してベッドに再び寝かせる。手早く手元にあった瓶を手に取って中の液体を手につけていく。
 
 (わかっていたけど……!やっぱり緊張する!)

 ドキドキしながら身構えていると、エリオットは自然に力を入れていた天音の蕾を指でほぐしていく。オイルをつけている指がじんわり暖かくてなんとも言えない不思議な感覚がする。

 「ひっ、う、あ……」
 「力を入れるな、深呼吸しろ」

 額にちゅっと唇を落としてエリオットは天音の唇を啄むようにしてから深く口づけをする。あんなに緊張していたのにすぐさまエリオットとの口づけに夢中になる。
 エリオットの舌の動きを受け止めながらも自身も絡めるようにするとなお深くなった。
 鼻で呼吸していてもなんだか苦しくて思わず自分から離すとエリオットの瞳は獣のようにギラつかせて舌で唇を舐めた。
 力が入らないくらいに口づけを交わしながら尻の蕾を入念にほぐしたせいで、すっかり顔を隠す気力も無くなった天音は快楽に身を委ねるようにして喘ぐようになり天音自身も再度上を向いていた。

 「挿れるぞ」

 猛り立つエリオットのそれは天音の何倍も大きく、怯みそうになるもエリオットはガシッと天音の腰を抱えて濡れそぼった蕾にあてがった。

 「んっ!──いっ」

 ゆっくりと天音の体内に侵入してくるエリオット自身の痛みに力が思わず入る。
 狭い入り口に眉を顰めながらエリオットは痛みに呻く天音の唇を食んだ。エリオットの唇を受け止めた天音は感じていた痛みがすぐに快楽に変わっていくのがわかった。
 舌の裏側をなぞられてふるりと震えた天音は甘えるように自ら舌を絡ませてきた。唇を塞ぎながらエリオットは天音の腕をとって自分の首に回す。
 身体をピッタリと密着させるとわずかに汗ばんだ身体からお互いの熱を感じ取り、いっそう興奮をかき立てる。
 ゆっくりと少しずつ天音の体内にエリオット自身を埋めていくと、きゅうきゅうとエリオット自身を締め付ける天音の体内にエリオットは欲望のまま動かしたい衝動を抑えながら根元まで到達させた。

 「全部、入ったぞ……」

 繋がった部分を見ると天音の体内がエリオット自身を飲み込んでいて、天音の陰茎の先からは絶え間なく汁がこぼれているおり、なんとも言えない淫靡な眺めにエリオットは思わず眩暈がした。
 とろんとした表情の天音の瞼に口づけを落とすとエリオットは腰をゆっくりと動かす。

 「あ、はっ……んん!やっ、でんか……っ」
 「大丈夫だ、から」

 天音の頬をするりと撫でながらこぼれた涙を舐め救う。グチュグチュと水音と吐息が部屋中にこだまする。
 天音の表情をもっと見たいエリオットは口づけをやめて今度は大きく上を向いた天音自身を握り上下に扱いた。力を向いたと同時に今度はずるりと腰を引いては押してを繰り返す。

 「あ、あ、殿下ああ、なんか、これ、変ですっ……」

 押しては引いてを繰り返す快楽の波に天音は頭の芯が痺れたような感覚に陥る。

 「エリオットだ、殿下と呼ぶな……天音」
 
 耳元で自分の名前を囁かれたことで天音は思わず自分の下半身が疼いて身をよじらせた。

 「エリ、……オット……」
 「天音、好きだ。好きだっ」
 「あうっ……俺も好き、好き……エリオット──!」

 息も絶え絶えにエリオットの名前を紡ぐと、エリオットの腰の動きが途端に激しくなる。
 卑猥な水音がいっそう部屋にこだまして天音は声を上げた。

 「ああああっ!」
 「天音、天音、俺の名前をもっと呼んで」
 「エリオット…!──うあっ……エリオット……ッ」
 
 その瞬間頭の中が真っ白になって、天音が果てるのと同時にエリオットも欲望を吐き出した。生温かい自分の体液が腹を再度濡らす。
 ずるりと引き抜かれた感覚に少し名残惜しさを感じながら天音は遠くなる意識の中でエリオットに口づけをされたのを最後に意識を手放した──。
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【魔導具師マリオンの誤解】 ~陰謀で幼馴染みの王子に追放されたけど美味しいごはんともふもふに夢中なので必死で探されても知らんぷりします

真義あさひ
BL
だいたいタイトル通りの前世からの因縁カプもの、剣聖王子×可憐な錬金魔導具師の幼馴染みライトBL。 攻の王子はとりあえず頑張れと応援してやってください……w ◇◇◇ 「マリオン・ブルー。貴様のような能無しはこの誉れある研究学園には必要ない! 本日をもって退学処分を言い渡す!」 マリオンはいくつもコンクールで受賞している優秀な魔導具師だ。業績を見込まれて幼馴染みの他国の王子に研究学園の講師として招かれたのだが……なぜか生徒に間違われ、自分を呼び寄せたはずの王子からは嫌がらせのオンパレード。 ついに退学の追放処分まで言い渡されて意味がわからない。 (だから僕は学生じゃないよ、講師! 追放するなら退学じゃなくて解雇でしょ!?) マリオンにとって王子は初恋の人だ。幼い頃みたく仲良くしたいのに王子はマリオンの話を聞いてくれない。 王子から大切なものを踏みつけられ、傷つけられて折れた心を抱え泣きながら逃げ出すことになる。 だがそれはすべて誤解だった。王子は偽物で、本物は事情があって学園には通っていなかったのだ。 事態を知った王子は必死でマリオンを探し始めたが、マリオンは戻るつもりはなかった。 もふもふドラゴンの友達と一緒だし、潜伏先では綺麗なお姉さんたちに匿われて毎日ごはんもおいしい。 だがマリオンは知らない。 「これぐらいで諦められるなら、俺は転生してまで追いかけてないんだよ!」 王子と自分は前世からずーっと同じような追いかけっこを繰り返していたのだ。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~

アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。 これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。 ※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。 初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。 投稿頻度は亀並です。

[R18] 転生したらおちんぽ牧場の牛さんになってました♡

ねねこ
BL
転生したら牛になってて、毎日おちんぽミルクを作ってます♡

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

猫が崇拝される人間の世界で猫獣人の俺って…

えの
BL
森の中に住む猫獣人ミルル。朝起きると知らない森の中に変わっていた。はて?でも気にしない!!のほほんと過ごしていると1人の少年に出会い…。中途半端かもしれませんが一応完結です。妊娠という言葉が出てきますが、妊娠はしません。

【完結R18】異世界転生で若いイケメンになった元おじさんは、辺境の若い領主様に溺愛される

八神紫音
BL
 36歳にして引きこもりのニートの俺。  恋愛経験なんて一度もないが、恋愛小説にハマっていた。  最近のブームはBL小説。  ひょんな事故で死んだと思ったら、異世界に転生していた。  しかも身体はピチピチの10代。顔はアイドル顔の可愛い系。  転生後くらい真面目に働くか。  そしてその町の領主様の邸宅で住み込みで働くことに。  そんな領主様に溺愛される訳で……。 ※エールありがとうございます!

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?

み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました! 志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...