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1章
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精霊召喚の儀はティアお姉様の時と同じくサーナイト家の中庭で行われることとなった。
この中庭は主に魔法の訓練や、剣術の稽古をつけるときに使われる。中庭の真ん中にロープで囲いがしてある。
お父様が簡易的に土魔法で作った土台があり、その上に石板が敷き詰められている。そして石板の上にはものものしい雰囲気の魔法陣が描かれている。
魔法陣の横には祭壇が設置されており、儀式に使用する魔石や、精霊が好むとされているルリの花、ワイン、リンゴを使ったお菓子などが置かれている。
前回は料理長が作ったアップルパイが置かれていたが、今回はエヴァンお兄様が昨夜私にリンゴを使ったお菓子を作って欲しいと頼まれた。
精霊に嫌われているかもしれない私が作ったお菓子で万が一儀式に失敗してしまったらと思うと恐ろしくなり、最初は断っていたがエヴァンお兄様がどうしてもと頼んでくるので引き受けてしまったのだ。
精霊が食べるかはわからないが見ても楽しいように薔薇の形のアップルパイを作った。
儀式にはリンゴそのまま使用する家庭も多いけど、我が家では代々リンゴのお菓子を作るようにしている。
アップルパイなのはお父様もアップルパイで精霊を召喚したかららしい。原担ぎの意味合いも込めて私もアップルパイにしたのだ。
それでもスタンダードなアップルパイではないけど。見ても楽しい方がいいかなと考えて薔薇の形取ったものにした。
それにしてもなんでリンゴなんだろう……。
頭に疑問を浮かべながら作ったものをエヴァンお兄様に見せたら、すごく驚いて喜んでくれた。
食べたがるティアお姉様を宥めながら急いで二つ目を焼くことになったのは少し大変だったけど。
アップルパイは食べやすいサイズの物を大輪の薔薇を寄せ集めたような形にした。ホールで出す方が豪華に見えるけれど、精霊が食べることを想定して食べやすいサイズにしている。
前回ティアお姉様の時はお姉様から手づから精霊に食べさせてあげたらしい。その様子を見たかったけど、本来精霊は契約者以外には見向きもしない存在のため、お姉さまと二人きりの時に食べさせたのだとか。
「それでは精霊召喚の儀を行うとする」
お父様が高らかに宣言した。ここには家族とシリル、サラ、ハンナがいる。
緊張の面持ちでエヴァンお兄様はゆっくりと魔法陣が描かれている石板の上に立つ。魔導書を片手に魔石を順に魔法陣に設置していく。
いつもヘラヘラしているシリルもどことなく真剣な表情をしてエヴァンお兄様を見守っている。長い詠唱が始まる。エヴァンお兄様の足元の魔法陣が光り出す。
「精霊よ、古の盟約により我が声に応えよ。召喚者エヴァン・サーナイトのもとに」
最後の詠唱と思われる文言を唱えた途端魔法陣から一際眩い光が放たれる。
ティアお姉様の時と違う!
肌が粟立つ。何か、大きな何かがくる。ティアお姉様が私を庇うように抱きしめる。
ティアお姉様の肩越しに光の元を見ると水のような物体がぐるぐると魔法陣の上で繭のような物を作っている。見守っていると繭がゆっくりと開かれていく。
そこから綺麗なコバルトブルーの髪の美女が現れた。絹のような肌に額には青い石が輝きを放っていてまるで物語に出て来るような、絶世の美女だ。
美女はゆっくりと瞼を開いた。瞳もまるで虹のような色彩を帯びていて、髪と同じコバルトブルーの色だった。白い薄絹のドレスを身に纏っていてあまりの美しさとに思わず唾を飲む。
そして先ほどから膨大な魔力が感じられてずっと肌が粟だっている。
「汝が精霊を呼び出したものか」
「はい、私が召喚をしたものです」
エヴァンお兄様に向けて、美女は浮遊したまま近づく。お兄様は跪いていた。両親達も跪いている様子を見て私とティアお姉様も慌てて跪いた。
その様子をチラリとみた美女は「楽にして良い、幼子を跪かせる趣味はない故、他のものも表をあげよ」と鈴を転がすような声で言った。
私は恐る恐る顔を上げると美女と目があった。美女は私をじっと見た後「ほう……そちが妹か」とつぶやいた。
なんの話だろうとドキマギしているとエヴァンお兄様が美女を見据えて言った。
「貴方様はもしや上位の精霊様でしょうか」
「いかにも。妾は水を司る上位精霊である。人の身でありながらお前は精霊に対して色々と注文をつけていたようじゃが」
「私にも譲れないものがあるのです」
「ほう……それがあれか」
やっぱり上位精霊だったんだ!感じられる魔力がすごい。
いや、それよりもエヴァンお兄様との会話がなんだか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど。
お兄様?精霊に対して注文って?困惑して、横にいるティアお姉様を見るとお姉様は眉を顰めている。
「良い、長らく人と契約などしなかったが汝と契約してやろう。面白いものもあるしな」とチラリとこちらをみやる。
さっきから心臓が早鐘を打っていて落ち着かない。
「では、お願いいたします」
上位精霊の美女は指先をお兄様の額に近づけた。
「我、水の上位精霊がエヴァン・サーナイトの守護精霊となることをここに表す。名付けを」
「召喚者エヴァン・サーナイトの名の下に水の上位精霊の名を『グレース』と名付ける」
その途端、グレースと名付けられた上位精霊の美女の指先から青色い光がエヴァンお兄様の額に吸い込まれていく。
「契約完了だ」
グレース様が微笑むとお兄様は微笑み返す。跪いている美少年を見下ろす美女はまるで絵のようだ。
思わず見惚れていているとグレース様が今度はしっかりとこちらを、いや、私をしっかりと見ている。途端にティアお姉様の時の記憶が蘇る。
どうしよう……上位精霊なんて機嫌を損ねてしまったらもしかしたら攻撃されるかもしれない。
緊張で身体が固まっているとグレース様はフッと口元をあげた。
「そう、不安な顔をせずとも良い。お前の体質のこともわかって妾はエヴァンと契約した。お前を攻撃したりなどしないから安心するが良い」
「私の体質……」
「ああ、まずは妾は菓子が食べたい故、話はそのときにするとしよう」
そういうとグレースは祭壇の方へくるりと方向を変えて、スーッと滑るように移動した。私が作った薔薇のアップルパイをじっと見つめる。
「ほう……これは美しい」
褒められたことに顔が熱くなる。エヴァンお兄様がこちらに向かって微笑んでいた。
「それは妹が作ったものです」
「そのようじゃの、わずかに魔力が感じられる。面白い、茶をいただこうかの」
「それでしたら家族を紹介がてらあちらでお茶にしませんか」
いつの間にか少し離れたところにテーブルが設置されているそこへエヴァンお兄様が案内する。
こうして上位精霊グレース様との不思議なお茶会が始まったのだった。
この中庭は主に魔法の訓練や、剣術の稽古をつけるときに使われる。中庭の真ん中にロープで囲いがしてある。
お父様が簡易的に土魔法で作った土台があり、その上に石板が敷き詰められている。そして石板の上にはものものしい雰囲気の魔法陣が描かれている。
魔法陣の横には祭壇が設置されており、儀式に使用する魔石や、精霊が好むとされているルリの花、ワイン、リンゴを使ったお菓子などが置かれている。
前回は料理長が作ったアップルパイが置かれていたが、今回はエヴァンお兄様が昨夜私にリンゴを使ったお菓子を作って欲しいと頼まれた。
精霊に嫌われているかもしれない私が作ったお菓子で万が一儀式に失敗してしまったらと思うと恐ろしくなり、最初は断っていたがエヴァンお兄様がどうしてもと頼んでくるので引き受けてしまったのだ。
精霊が食べるかはわからないが見ても楽しいように薔薇の形のアップルパイを作った。
儀式にはリンゴそのまま使用する家庭も多いけど、我が家では代々リンゴのお菓子を作るようにしている。
アップルパイなのはお父様もアップルパイで精霊を召喚したかららしい。原担ぎの意味合いも込めて私もアップルパイにしたのだ。
それでもスタンダードなアップルパイではないけど。見ても楽しい方がいいかなと考えて薔薇の形取ったものにした。
それにしてもなんでリンゴなんだろう……。
頭に疑問を浮かべながら作ったものをエヴァンお兄様に見せたら、すごく驚いて喜んでくれた。
食べたがるティアお姉様を宥めながら急いで二つ目を焼くことになったのは少し大変だったけど。
アップルパイは食べやすいサイズの物を大輪の薔薇を寄せ集めたような形にした。ホールで出す方が豪華に見えるけれど、精霊が食べることを想定して食べやすいサイズにしている。
前回ティアお姉様の時はお姉様から手づから精霊に食べさせてあげたらしい。その様子を見たかったけど、本来精霊は契約者以外には見向きもしない存在のため、お姉さまと二人きりの時に食べさせたのだとか。
「それでは精霊召喚の儀を行うとする」
お父様が高らかに宣言した。ここには家族とシリル、サラ、ハンナがいる。
緊張の面持ちでエヴァンお兄様はゆっくりと魔法陣が描かれている石板の上に立つ。魔導書を片手に魔石を順に魔法陣に設置していく。
いつもヘラヘラしているシリルもどことなく真剣な表情をしてエヴァンお兄様を見守っている。長い詠唱が始まる。エヴァンお兄様の足元の魔法陣が光り出す。
「精霊よ、古の盟約により我が声に応えよ。召喚者エヴァン・サーナイトのもとに」
最後の詠唱と思われる文言を唱えた途端魔法陣から一際眩い光が放たれる。
ティアお姉様の時と違う!
肌が粟立つ。何か、大きな何かがくる。ティアお姉様が私を庇うように抱きしめる。
ティアお姉様の肩越しに光の元を見ると水のような物体がぐるぐると魔法陣の上で繭のような物を作っている。見守っていると繭がゆっくりと開かれていく。
そこから綺麗なコバルトブルーの髪の美女が現れた。絹のような肌に額には青い石が輝きを放っていてまるで物語に出て来るような、絶世の美女だ。
美女はゆっくりと瞼を開いた。瞳もまるで虹のような色彩を帯びていて、髪と同じコバルトブルーの色だった。白い薄絹のドレスを身に纏っていてあまりの美しさとに思わず唾を飲む。
そして先ほどから膨大な魔力が感じられてずっと肌が粟だっている。
「汝が精霊を呼び出したものか」
「はい、私が召喚をしたものです」
エヴァンお兄様に向けて、美女は浮遊したまま近づく。お兄様は跪いていた。両親達も跪いている様子を見て私とティアお姉様も慌てて跪いた。
その様子をチラリとみた美女は「楽にして良い、幼子を跪かせる趣味はない故、他のものも表をあげよ」と鈴を転がすような声で言った。
私は恐る恐る顔を上げると美女と目があった。美女は私をじっと見た後「ほう……そちが妹か」とつぶやいた。
なんの話だろうとドキマギしているとエヴァンお兄様が美女を見据えて言った。
「貴方様はもしや上位の精霊様でしょうか」
「いかにも。妾は水を司る上位精霊である。人の身でありながらお前は精霊に対して色々と注文をつけていたようじゃが」
「私にも譲れないものがあるのです」
「ほう……それがあれか」
やっぱり上位精霊だったんだ!感じられる魔力がすごい。
いや、それよりもエヴァンお兄様との会話がなんだか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど。
お兄様?精霊に対して注文って?困惑して、横にいるティアお姉様を見るとお姉様は眉を顰めている。
「良い、長らく人と契約などしなかったが汝と契約してやろう。面白いものもあるしな」とチラリとこちらをみやる。
さっきから心臓が早鐘を打っていて落ち着かない。
「では、お願いいたします」
上位精霊の美女は指先をお兄様の額に近づけた。
「我、水の上位精霊がエヴァン・サーナイトの守護精霊となることをここに表す。名付けを」
「召喚者エヴァン・サーナイトの名の下に水の上位精霊の名を『グレース』と名付ける」
その途端、グレースと名付けられた上位精霊の美女の指先から青色い光がエヴァンお兄様の額に吸い込まれていく。
「契約完了だ」
グレース様が微笑むとお兄様は微笑み返す。跪いている美少年を見下ろす美女はまるで絵のようだ。
思わず見惚れていているとグレース様が今度はしっかりとこちらを、いや、私をしっかりと見ている。途端にティアお姉様の時の記憶が蘇る。
どうしよう……上位精霊なんて機嫌を損ねてしまったらもしかしたら攻撃されるかもしれない。
緊張で身体が固まっているとグレース様はフッと口元をあげた。
「そう、不安な顔をせずとも良い。お前の体質のこともわかって妾はエヴァンと契約した。お前を攻撃したりなどしないから安心するが良い」
「私の体質……」
「ああ、まずは妾は菓子が食べたい故、話はそのときにするとしよう」
そういうとグレースは祭壇の方へくるりと方向を変えて、スーッと滑るように移動した。私が作った薔薇のアップルパイをじっと見つめる。
「ほう……これは美しい」
褒められたことに顔が熱くなる。エヴァンお兄様がこちらに向かって微笑んでいた。
「それは妹が作ったものです」
「そのようじゃの、わずかに魔力が感じられる。面白い、茶をいただこうかの」
「それでしたら家族を紹介がてらあちらでお茶にしませんか」
いつの間にか少し離れたところにテーブルが設置されているそこへエヴァンお兄様が案内する。
こうして上位精霊グレース様との不思議なお茶会が始まったのだった。
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